沖縄県はこのほど、観光客1千万人を目指し、重点的な施策を展開する08年度「ビジットおきなわ計画」と目標値を発表した。入域観光客数の目標は、07年度見込み比4.6%増の620万人。国内観光客は4.1%増の598万人、外国人観光客数は22.2%増の22万人を目標に設定。観光収入は11.4%増の4770億円、観光客1人当たりの県内消費額は6.6%増の7万7千円とした。目標の達成に向けて積極的な誘客プロモーションを展開する。 08年度「ビジットおきなわ計画」の重点項目は、(1)外国人観光客の誘客促進(2)MICE(ミーティング、インセンティブツアー、コンベンション、イベント)の誘致促進(3)ニューツーリズムの推進(4)リゾートウエディングの推進──。 海外からの誘客については、重点地域のマーケット調査、航空路線の拡充のための働きかけ、欧米のクルーズ会社に対するトップセールスなどを展開する。 MICEは、国際会議や企業インセンティブツアー、スポーツキャンプなどの誘致促進に加え、プロモーションの強化、環境貢献型モデルツアーの造成などを展開する。 好調なリゾートウエディングは、一般向けのウエディングフェアと旅行会社向けの説明会を実施。市場開拓に向け東アジアの動向を調査する。 また、受け地整備として、観光街づくりを推進する。各地域で行政、民間団体と協議。課題を整理し、取り組み状況を踏まえた上で支援を決めていく。持続可能な観光地づくりのため、観光地における観光客容量の定量化手法の研究も行う。 質の高い人材の確保に向けては、小学校の観光学習教材を充実させる。教育機関、観光関連業界、行政などが参加する連絡会を開催していく。 ほかにも観光客の多様なニーズに対応するため、シニア、エコ、ロングステイ、修学旅行、健康保養型の観光に取り組む。
有馬温泉観光協会と有馬ふれあいのまちづくり協議会は2月14日、兵庫県神戸市の有馬の工房・多目的ホールで、昨年末に同観光協会が美術品オークションで落札した、有馬山温泉寺伝来の「銅製経箱」について講演会を開催した。同日から24日までの期間、温泉寺に隣接する太閤の湯殿館で展示会も開き、銅製経箱を披露した。 温泉寺には、平安時代の高僧・尊恵(そんえ)が、閻魔王から経典を贈られたという縁起が伝えられていた。その経典を収めていたのが銅製経箱という。1983年以降、所在不明だったが、昨年末、京都の美術品オークションに出品され、同観光協会が173万円で落札した。 落札した銅製経箱は、外箱(28.1×18.8×14.0センチ)と内箱(27.2×17.7×12.7センチ)の2点からなる。神戸市文化財保護審議会審議委員を務める安藤佳香・佛教大学教授は「遺品の少ない中世に製作された銅製経箱として貴重」との解説を同観光協会に寄せている。 講演会では、神戸市立博物館の学芸員、問屋真一氏が経箱の由来について、川野憲一氏が経箱に彫られた蓮華文様などの美術的価値について解説。午前と午後の2回開催され、約100人が参加した。 同観光協会の當谷正幸会長は「古くから温泉寺に伝わる宝物の1つで、まさに有馬の名宝。閻魔王と有馬の物語が残っており、有馬の新たな観光資源として期待できる」と話している。 銅製経箱は3月1日から31日まで、神戸市立博物館で展示される。
日本三大つるし飾りの地と言われる山形県酒田市、福岡県柳川市、静岡県稲取の3地域が一堂に集まる「三大つるし飾りサミット」が2月24日、稲取温泉で開かれた。3地域が一堂に集まるのは初めて。3地域はつるし飾りを歴史資源とする「三大地域」として国内外に共同発信することを宣言、つるし飾りを生かした観光振興に、連携して取り組んでいく。また、中国の書道家・李凌氏がサミットを記念し、揮毫を実演した。 同サミットでは3地域が各地域のつるし飾りを紹介。山形県はつるし飾りを「傘福」、柳川市は「さげもん」、稲取は「雛のつるし飾り」としてひな祭りに飾り祝っている。稲取旅館協同組合の村木さとみさんは「旅館組合の女将が中心となって雛のつるし飾りを伝承させる活動に力を注いできた。次世代に子孫を思いやるやさしい気持ちを伝えていきたい」と強調した。 つるし飾りのシンポジウムでは「地域の魅力を活かした新たな観光振興に向けて」をテーマに3地域が意見を交わした。酒田市は「地域の女性の参加が観光振興をしていく上では欠かせない」と述べた上で、酒田市の女性で結成する「女性会」について紹介。柳川市は「参加型の観光地づくりが観光振興の秘訣」と話す。稲取は「観光基盤整備としてハード面ではなく、『おもてなしの心』といったソフト面の強化に取り組んでいる」と現状を話した。 シンポジウムでは同温泉観光協会事務局長の渡邊法子氏がコーディネーターとなり、渡邊氏は「各地域でつるし飾りをアピールしながら、3地域の特徴を携えて海外に発信していきたい」と締めくくった。 サミットの最後には李氏が「雛」の一文字を力強く揮毫した。 来年は福岡県柳川市で同サミットが開かれる。