国土交通省は10日、バリアフリー(BF)化の推進に努めた個人と団体5件を表彰した。1回目である同表彰では、建築物の評価基準制定やBF観光事業などの案件を表彰。今後も継続的に表彰事業を行うことで優れたBF化への取り組みを奨励し、国土交通分野でのBF化運動の推進を図る考えだ。 高橋儀平・東洋大学ライフデザイン学部人間環境デザイン学科教授らでつくる選考委員会が、33件の候補案件から表彰対象を決めた。各代表者に表彰状を手渡した冬柴鐡三・国交相は、「表彰事例はいずれも先進的かつ優れた事例ばかり。表彰制度を契機に、バリアフリー化の動きが一層活発化することを期待したい」と述べ、受賞者の活動にエールを送った。 表彰を受けたのは、▽さいたま新都心バリアフリーまちづくりボランティア▽特定非営利活動(NPO)法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンター▽大阪府豊中市▽広島県廿日市市▽宮崎県宮崎市──の5件。 このうちNPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンターは、日本で初めて開設したBF観光の案内システムなどが評価された。地元の28軒の宿泊施設をはじめ、伊勢志摩の観光施設60軒への施設調査や指導を地元の障害を持つ専門員が実施するほか、同地域への旅行を希望する障害者や高齢者などへの施設あっせんや情報発信を行っている。「利用者の数だけバリアがある」という、利用者基点の「パーソナルバリアフリー基準」を運用、旅行の楽しみを最優先したサービス提供が利用者に支持されている。 同NPOの中村元理事長は「いずれは全国レベルの事業へと拡げていきたい」と意欲を示した。現在、佐賀県の嬉野温泉に同法人のノウハウを活用したバリアフリーセンターが設置されているほか、福島県の土湯温泉などでも同様の取り組みを始めようという動きが広まっている。
日本商工会議所の観光専門委員会(委員長・須田寛JR東海相談役)はこのほど、「全国商工会議所観光振興大会」の来年度開催計画や今後の検討課題などについて話し合い、同大会で新たな表彰制度を創設する方針を決めた。 表彰制度は「観光振興大賞」(仮称)とし、今年11月に鹿児島市内で開く同大会で初の表彰を行う。 全国に商工会議所は517あるが、観光振興に取り組んでいる会議所を対象にその振興事業を募集、ユニークな試みや地域活性化に結び付いていると思われる事業を表彰する.5月ごろまでに募集要項を固める。 同大会は鹿児島大会で5回目の開催となる。なお、09年度は神戸市で開く予定だ。
総務省の今年度の地域づくり総務大臣表彰受賞者(団体)が決まり、13日、東京都内で表彰式が行われた。今年度は全国の26団体(うち自治体7団体)、個人3人が受賞し、大賞には島根県海士町が選ばれた。 海士町は「島の未来は自ら築く」の信念で、財政の見直しや産業振興、雇用創出などに取り組んでおり、「小さな自治体のこうした姿勢こそが表彰の趣旨に合致する」と同省。元気発信基地というホームページのユニークさ、大学との連携を始めとする都市と地方の共生も「今後の過疎対策を考える上で注目される」と評価した。 団体表彰では、大分県の別府SGGクラブ(別府外国人観光客案内所)や富山県の八尾町商工会女性部などが受賞。 別府SGGクラブはボランティアで観光案内事業を展開。同案内所を2カ所設置し外客の観光を手助けするとともに、留学生と市民の交流のための「国際交流サロン」を併設、外国人のための日本語レッスンなどを行っている。 「おわら風の盆」で多くの観光客を集める八尾町。しかし、その期間以外は観光客が極端に少なくなるのが悩みだった。商工会女性部では通年での観光客を増やすため、女性たちが町を歩いて地域資源を見直し、野の花展や坂のまちアートなど、女性の目で地域づくりを行っている点が評価された。