今年のゴールデンウイーク(GW)は曜日配列が悪く、長期・遠距離旅行に向きにくい。JTBは「休日をはさんだ平日を1〜2日休めば7〜10連休になったここ4年と比べると、短期集中型のGWになる」と見ており、国内、海外旅行とも5月3〜6日の後半4連休に集中しそうだ。旅行会社、温泉・観光地の動向を探った。【国内旅行動向取材班】
旅行会社
「4月は苦戦しているが、5月は前年並みを若干上回る状況」と言うのはKNT。5月については3〜4日に予約が集中している。「北海道や九州、沖縄などのロングが好調、近場の宿泊がやや苦戦している」とか。売れ筋商品の1つは、東北の桜を見るメイト貸切列車「和(なごみ)」で、すでに完売状態。
日本旅行の予約状況は4月(26〜30日)が前年比53.4%、5月(1〜6日)が103.8%。5月については、北海道(111.1%)や東北(113.7%)、京阪神(110.7%)などが好調。「海外は前年の70%台で推移している方面が多く、国内の方がまだましという状況。ただ数字を見る限りでは海外からのシフトは感じられない」としている。
「3月下旬時点での数字だが、人員ベースで予約は前年比約180%となっており、ほぼ全方面で前年を上回っている」と阪急交通社。特に東北方面が好調で、予約ベースで210%、実績比では105%と言う。
「国内は前年比100%程度で推移。近場のバス旅行は気候の様子見もあり、出足がやや鈍い」とクラブツーリズム。GW期間(4月25日〜5月5日発)は前年並みの24万人程度の取り扱いを見込んでいる。東北の桜を含めて「花をメーンに持ってきたコースの好調が目立つ」としており、ツツジで有名な群馬・館林や芝桜の埼玉・秩父羊山公園を挙げる。「茨城の国営ひたち海浜公園のネモフィラがさいたま旅行センター企画実施分だけで4千人以上の集客があり、大ヒットした」と顔をほころばせる。
「5月は堅調だが、4月の不振が響き、現時点では前年比95%」とJALツアーズ。日並びの問題が影響しているようだ。好調な方面は東北と沖縄。売れ筋商品については、「ふらり商品」でGWスペシャルを設定し、沖縄は4日間、北海道は3日間コースに手ごたえが。
ANAセールスは「今年の予約状況を見ると、昨年と比べ日取りが良くないこともあって全体的に低調。しかし、国内旅行は微増」と言う。国内パッケージ商品では北海道方面が前年比110%、東北94%、関東105%、中四国95%、九州103%、沖縄98%などでトータル105%となっている。
温泉・観光地
岩手県の平泉観光協会は5月1〜5日の期間で、例年の約1割増の約30万人の入り込みを見込んでいる。周辺の宿泊施設もほぼ満室で「これから予約は取れないだろう」とうれしい悲鳴。桜の観賞や春の藤原まつり目当ての観光客がほとんど。「7月の世界遺産登録を控えてホームページ(HP)上での外国人からの問い合わせも増えている」と言う。
「間際化が進んでいると言われるが、今年は1カ月前からかなり予約が入り、例年より出足が早かった」と宮城県の鳴子温泉観光協会。5月3〜5日は満室状態だ。
山形県の天童温泉協同組合によると、5月3〜4日がピークですでに満室のところも数軒見られる。「出足、予約の入りとも例年並みといったところ」だ。
「年末年始は例年並みだったが、それ以降は約5%減という状況が続いており、GWも例年に比べ低調。旅館からは『首都圏の客足が鈍っている。』との声もある。」と渋い表情は福島県の磐梯熱海温泉旅館協同組合。例年「三春の滝桜」を観賞する客足が期待できたが、「首都圏近辺から日帰りの観賞ツアーが多く出ており、宿泊客数に影響が出ている」。ピークは3〜4日だという。
栃木県の鬼怒川・川治温泉観光協会では「3、4の両日は満室状態。5日は現時点で若干空きがある程度」と話す。「GW直前になると毎年予約が殺到する。例年通りならば5日も満室になるのではないか」と見る。
「40軒ある宿泊施設の現在の予約状況は、5月3〜5日はほぼ埋まっている。1〜2日、6日はまだ空きがあるが、有名旅館はすでに満室。1泊2日のお客さまが多い傾向にある」と群馬県の四万温泉観光協会。
5月4日に温泉街で初の朝市を開く静岡県の伊豆長岡温泉。旅館組合によると、「3〜4日は満室だが、5〜6日はまだ空室がある」。
長野県の鹿教湯温泉旅館組合では、「23軒ある宿泊施設の予約状況は5月3〜6日にかけ、まだ空きがある状態。ただ、当日泊のお客さまも多いので、まだ何とも言えない」と話す。
滋賀県大津市を舞台に展開されている通年イベント「源氏物語千年紀in湖都大津」。市内のおごと温泉旅館協同組合によると、加盟旅館の状況は「3〜4日はほぼ満室。団体客など早い時期から予約が入っている」。連休後半を中心に問い合わせも多いという。
世界遺産の石見銀山遺跡。島根県の太田市産業振興部では、GWの来場者数をほぼ前年並みの5万人と予想している。世界遺産登録は昨年7月だが、すでにGWの時点で注目を集めていたことに加え、今年の曜日配列を考えると大きな増減はないと見ている。また、4月26日から大型坑道跡「大久保間歩」が一般公開される。見学にはツアーへの参加(定員1日80人)が必要になるが、石見観光によると、申し込み状況は「5月4日を中心に埋まり始めているが、動きはこれからだろう」としている。
岡山県の湯郷温泉旅館協同組合によると、5月3〜4日はほぼ満室に近い状況だが、「GW前半や5日の動きが鈍い。直前の予約に期待している」。
3月から「花・人・土佐であい博」が開かれている高知県。であい博推進室では、近年、旅行者の傾向はイベント、体験型にシフトしているととらえており、であい博への期待も高まっている。
大分県の黒川温泉旅館組合では「予約は前年並みで、宿泊施設もほぼ満室状態だ」と話す。GWに限らず、昨年から中国、韓国を中心とする外客が増加。また、団体旅行で立ち寄った人が、今度は家族を連れて個人で宿泊する傾向も見られ、ブランド力の強さは健在なようだ。
「連休は約8割が個人客。ガソリン代の動向も気になるところだ。マイカー利用者の予約が伸びず、例年に比べ、まだ若干空きがあるようだ」と大分県の別府市ホテル旅館組合連合会は話す。ただ、5月3日以降はほぼ満室状態にある。 |