旅行業界の経営管理者約100人で構成する任意団体、トラベル懇話会(糟谷慎作会長=西武トラベル社長)は18日、伊勢丹の中込俊彦常務執行役員をセミナー講師に迎えて、4月特別例会を東京・霞ケ関ビル内にある東海大学校友会館で開いた。 「顧客起点からの営業戦略について・リモデル事例をふまえて」というタイトルで講演した中込氏は「百貨店業は斜陽産業。97年に約10兆円あった売上げが06年には7兆8千億円まで落ちている」と業界の厳しい現状を説明。 伊勢丹の歴史と社風については「三越から約2百年遅れて開業した後発の呉服店であったため、お客さまの声に真摯に耳を傾けて速やかに実行するという顧客第一主義の社風ができあがった。どうしたらお客さまにご来店いただけるか、再度ご来店いただけるかを繰り返し考え続ける精神が伊勢丹の根本にある」と語った。 さらに、新宿本店で03年にメンズ館、06年に1階の婦人雑貨売り場、07年に地階食品売り場をそれぞれリモデルした事例を詳細に紹介。「世の中と同じ事をやっていたら伊勢丹は負けてしまう。お客さまに耳を傾け、ご要望を分析して、市場を開拓するしかない」とその理由を述べた。 最後に伊勢丹の経営戦略について触れ「絶対的価値はやるが相対的価値はやらない。百貨店のダウントレンドの中で生き残るためには、価値の最大化を図らなければならない」と強調した。
国民生活金融公庫の生活衛生関係営業の景気動向等調査(今年1〜3月期)によると、旅館など生活衛生関係業種の業況DI(「よい」とする企業割合から「悪い」とする企業割合を引いた値)はマイナス45.6で、前の期に比べ21.4ポイント低下した。ホテル・旅館単独のDIも前期から大幅に低下。同公庫では「生活衛生関係営業の景況にはかげりがみられる」としている。 調査は2月上旬、ホテル・旅館、飲食業、理容業など生活衛生関連営業3220企業に個別訪問面接調査方式で実施した。このうちホテル・旅館業は255企業に聞いた。 業況DIは昨年7〜9月期から3期連続の低下となった。例年1〜3月期は低下するが、今期は特に低下幅が大きくなっている。前年同期に対しては13.5ポイントの低下となった。ただ、来期(今年4〜6月期)は今期から27.0ポイントの大幅な上昇でマイナス18.6になる見通し。 売上DIは前期から5.5ポイント低下してマイナス36.3になった。5年ぶりに3期連続の低下となったが、低下幅は前期に比べ縮小した。来期は今期比17.9ポイント上昇のマイナス18.4になる見通し。採算DIは前期から7.6ポイント低下のマイナス17.7。前年同期比では5.7ポイント低下した。 ホテル・旅館業をみると、業況DIは前期から30ポイント以上低下してマイナス43.9になった。昨年7〜9月期はプラス値を記録したが、これで2期連続で低下し、マイナス値にとどまった。ただ、来期は今期から30ポイント以上上昇する見通し。売上DIはマイナス27.6で、前期から約10ポイントの低下。採算DIはマイナス17.3で、前期から約15ポイント落ち込んだ。 ホテル・旅館の特徴的な業況判断理由は次の通り。 ◎今季・好調 「NHKの大河ドラマ『篤姫』の放映開始の影響で、鹿児島県への関心が高まり、宿泊客の入り込み数が増えている。また、九州新幹線の開通により、ビジネスマンの宿泊客も順調に増えている」(鹿児島県)。 ◎今期・悪化 「温泉地の老舗旅館では、ここ数年来宿泊客の少人数化から団体客用の多数の大部屋の稼働率が低下している。また、経営の行き詰まりから経営権が再生スポンサーへ移行した大型ホテル・旅館が、低料金で宿泊客を集めているため、地域内に宿泊料金の低下が波及し、採算が悪化するホテル・旅館が増えている」(栃木県)。 ◎来期・好転 春は観光客や行楽客が増えるが、近年は大仏殿や興福寺などの歴史的建造物に桜の花が色添える風景に魅せられた絵画や写真撮影グループが増えつつある。最近の特徴としては、インターネットによる宿泊予約が増えていることである。来期は春の観光シーズン真っ盛りであり、大いに期待している」(奈良県)。 ◎来期・不変 宮崎市内の中心市街地に数件のホテル建設が計画されており、この工事関係者が5月予約が入るものと期待している。しかし、一般の宿泊客は、年々減少しているので現状維持が精一杯である」(宮崎県)。 ◎来期・悪化 灯油等燃料費の高騰が続くと思われ、今後も採算に大きな影響を与えるのではと不安である。宿泊価格に転嫁したいが、予約が減る可能性を考慮すると、宿泊価格を上げることは難しい。来期もこの状態が続けば経営は厳しい」(秋田県)。
大阪市経済局の中小企業、ベンチャー企業に対する支援拠点、大阪産業創造館(大阪市中央区)は5月21日、同館内マーケットプラザで、ヘルスケアビジネスセミナー「注目のヘルスツーリズムビジネスに参入しよう」を開催する。 地域資源を健康に活用、地域活性化を図る旅として全国で急速に進展しているヘルスツーリズムは、ヘルスケア事業の新しい切り口としても注目を集めている。セミナーでは、ヘルスツーリズム市場の現状や展望、先進事例を紹介し、新規参入や既存企業とのマッチングなどで新たなビジネスの可能性を探る。 セミナーでは、JTBヘルスツーリズム研究所の高橋伸佳副所長による「ヘルスツーリズムの現状と展望」と題した基調講演のほか、「新たな切り口でヘルスケアビジネス創出の可能性を探る」と題したパネルディスカッションなどがある。 パネルディスカッションは、高橋副所長をはじめ、ベネフィット・ワンの白石徳生社長、和歌山県広報室の日根かがり課長補佐がパネラー。ベンチャーラボの卯津羅泰生氏は事例紹介を行う。 事例紹介ブースとして、JTB、和歌山県地域振興課、NPO日本ヘルスツーリズム振興機構などが参加する。 セミナーの対象者はヘルスケア、医療、旅行、旅館・ホテル、レジャー、イベント企画に関連する企業など。定員は100人。料金は1千円。 問い合わせは、大阪産業創造館イベント・セミナー事務局(TEL06・6264・9911)またはホームページ(http://www.sansokan.jp)。