リクルート(東京都千代田区、柏木斉社長)は国内宿泊予約サイト「じゃらんnet」で韓国人インバウンドに参入する。15日、韓国で宿泊予約サイトを運営する旅行博士(ソウル市、シン・チャンヨン代表取締役)と業務提携。8月から韓国人向け宿泊予約サイト「旅行博士」で、じゃらんnet上の宿泊商品の閲覧と予約をできるようにする。じゃらんnetのインバウンド予約サービスは今回が初めて。 宿泊施設の参画料は無料。宿泊施設が負担する手数料も8%(シングル利用は4%)に据え置く。宿は追加費用を一切負担せずに韓国人インバウンド客の予約を受けることができるようになる。 じゃらんnetに掲載されている宿泊施設情報と宿泊プラン情報を旅行博士が韓国語に翻訳し、サイトに掲載。韓国人利用者からの問い合わせを旅行博士の手配担当者が受け、じゃらんnet上で予約登録をする仕組み。宿泊料は、旅行博士が韓国人利用者から事前決済し、じゃらんnet経由で宿泊施設に支払う。取消料も同様だ。 同サービスの8月開始に向けリクルートは、韓国人インバウンド受け入れ支援ツールの宿泊施設への配布を6月から始める。風呂の入り方などを韓国語でまとめた宿泊客配布用の冊子と、宿の従業員向けの韓国語会話集の2種類を希望施設に順次配っていく。 旅行博士は00年年8月設立の旅行会社で従業員300人、売上高は157億6300万ウォンの規模。韓国の旅行会社の中でアウトバウンド送客数は6位。訪日韓国人旅行客の送客数は年間17万人で1位だという。 ネット専業者では、楽天トラベルが英語、韓国語、中国語(繁体字・簡体字)のインバウンド予約サービスを既に行っている。ただ手数料は10%で、同社の通常の手数率7〜9%より1%以上高い。
外国人観光客とのコミュニケーションを図るツール開発に総務省や企業の動きが進んでいる。多言語自動翻訳ソフトウエアが総務省の進める研究開発の中で、開発された。宮城県仙台市の光ディスク製造会社は専用テキストに触れると音声を発するペン型の音声再生プレイヤー商品を開発した。外国人観光客とのコミュニケーションを図るツール開発が、全国の観光地で見られる通訳ガイド不足問題の解決に一役買うか──2事例を追った。 情報通信研究機構(NICT)は外国人観光客との会話などに活用してもらう目的で、自動翻訳ソフトウエアの開発を加速する。総務省の研究開発の一環で取り組む。7月にはNICT内に実証実験を行うプロジェクト組織が発足し、この自動翻訳ソフトウエアを使って社会実験を行う。課題となっている観光地の通訳ガイド不足の解消に一役買いそうだ。 総務省が進める、誰もが条件を問わずにコミュニケーションが取れる「ユニバーサルコミュニケーション」技術の研究開発を受けて同社会実験は行われる。開発された自動翻訳ソフトウエアは現在、英語、中国語に対応し、5万語の語彙が蓄積されている。10年後までに、100万語の語彙を翻訳できるように開発していく。 NICTはこのソフトウエアを観光情報、自治体の情報サービスなどに対し、場所や場面に応じて多言語に翻訳する自動翻訳ソフトウエアの開発を進める。産業界の研究者、大学、観光地などと産学官が連携して、サービスの実現を目指す。 利用者は同自動翻訳ソフトウエアをネットワークと繋がったパソコンや携帯電話などから利用することで誰でも外国人観光客と会話ができる。 同自動翻訳ソフトウエアは自治体などのウエブサイトから自動的に語彙情報を収集。声や、筆記の情報からも語彙がデータベースに蓄積される。これにより、最新の情報、専門用語などに対応した翻訳ができる。 外国人観光客に活用してもらおうと、光ディスク製造会社、オプトロム(宮城県仙台市)は、外国語と和訳の音声を発するペン型内蔵音声再生プレイヤー商品「スピーキングペン」を開発した。6月から東北6県と新潟県、北海道で販売する。旅館ホテル、土産販売店などに売り込んでいく。 同社は10月から12月にまでの3カ月間行われる大型観光キャンペーン事業「仙台・宮城デスティネーションキャンペーン」や平泉の文化遺産の世界遺産登録に向けた動きをにらみ東京のソフトウエア会社などと共同で開発した。 同商品の紹介と使用場面を再現した映像をDVD化して収録。個々の宿泊施設にアピールしていく方針。 同商品はペン型内蔵音声再生プレイヤーと専用の会話テキストがセットになっている。利用者がペン先を英文で書かれた専用テキストの文面に触れると音声を発する仕組み。英語と韓国語、中国語に対応している。 テキストは観光、食事、買い物、交通など8カテゴリーの場面に分けられ使用頻度の高い単語や、フレーズ約800の語彙が日本語とともに記されている。 希望小売価格は2万7千円前後を予定。初年度1千セットを販売する。 同社は旅館ホテルの要望に応じて、テキストに追加できるシールを作る。販売地区は売れ行きを見て販売網を広げていきたい考えだ。