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  観光行政 ■第2468号《2008年5月24日(土)発行》  

「観光圏整備法」が成立、今夏に施行

 「観光圏の整備による観光旅客の来訪及び滞在の促進に関する法律案」(観光圏整備法案)が16日、参院本会議で可決、成立した。誘客や滞在促進に広域で取り組む隣接する複数市町村を「観光圏」に認定し、長期滞在につながる観光地づくりを補助事業などで総合的に支援する。8月までに施行される見通し。初年度は、10数カ所の支援を想定している。

 観光圏整備法は、国内客、外国人客を問わないものとしては、観光地づくりを支援するための初めての法律と言える。また、同法に基づき市町村や都道府県が策定する観光圏整備計画を農山漁村活性化法の規定による活性化計画の提出とみなし、別途に交付金も受けられるなど、横断的な支援制度になっている点も特色だ。

 複数の観光地を観光圏として連携させ、国内外の観光客による2泊3日以上の滞在を促進するのが狙い。周遊・体験型の観光メニューの充実や宿泊の魅力向上、移動の快適化、観光案内の強化などに向けた地域の取り組みを支援する。

 市町村や都道府県は、関係団体や観光事業者などで構成する法定協議会の立ち上げを受けて、観光圏整備計画を国に提出。観光圏整備のための事業を実施する事業者らは、さらに具体的な実施計画を申請する。国に認定されると、事業費に対して最大40%の国費補助が受けられる。

 観光圏整備に関する今年度予算額は、調査費などを含めて約2億8千万円。「初年度には10数カ所の観光圏を支援したい。すでに高い関心を持っている地域もあると聞いており、実際に自治体からの問い合わせも多い」(国交省観光地域振興課)。観光圏の詳しい認定基準などは、基本計画を策定し、今後公表することにしている。

宿泊施設も支援 財投に特例措置
 観光圏の中には、宿泊サービス向上のための事業を重点的に実施する「滞在促進地区」を設定する必要がある。宿泊の魅力向上には実施計画に基づいた補助事業による支援のほか、同地区内の宿泊施設が客室改修などの設備投資を行う場合、中小企業金融公庫から特別融資が受けられるようにした。貸付後の5年間は最優遇金利が適用されることになっている。

 また、同地区内の宿泊業者には、旅行業法の特例措置として、観光圏内を範囲とする宿泊旅行商品を取り扱う旅行業者代理業を認める。一定の研修などの条件を満たせば、旅館・ホテルのフロントで着地型旅行の受け付けなどが可能になる。



国交省、観光親善大使にハローキティ起用
国交省は19日、中国・香港向けのVJC大使にサンリオのキャラクター「ハローキティ」を任命。
韓国の大使にはユンナさん(左)を再任した


 国土交通省は19日、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の中国・香港観光親善大使に、日本を代表するキャラクター“キティちゃん”の愛称でおなじみの「ハローキティ」を任命した。キャラクターの起用は初めて。韓国観光親善大使には、引き続き人気歌手のユンナさんを任命した。

 ハローキティの着ぐるみとユンナさんが同日、国交省を訪問。冬柴鐵三国土交通・観光立国担当相から任命状が手渡された。

 冬柴大臣は、ハローキティに「中国、香港の若い女性に日本をPRしてほしい」、大使2期目を迎えるユンナさんに「おかげで昨年は韓国から260万人の旅行者が来てくれた。これからもよろしく」と活躍を期待した。

 ハローキティは、サンリオ(東京都品川区、辻信太郎社長)が1974年に誕生させたキャラクター。世界で幅広い年齢層に支持され、現在60カ国で5万種類の商品が販売されている。今年は中国でハローキティを主役とするミュージカルが始まり、3年間で600公演を予定する。



子ども農山漁村交流プロジェクトで3省事業が本格化


 子ども農山漁村交流プロジェクト全国推進協議会と総務省、文部科学省、農林水産省は19日、東京都渋谷区で、「『子ども農山漁村交流プロジェクト』発足記念シンポジウム」を開いた。児童受け入れ地域の関係者のほか、教育、観光分野の関係者ら約700人が参加。事例報告や講演を通してプロジェクトの意義を確認したうえで、本事業のスタートを高らかに宣言した。

 シンポの冒頭であいさつした、川勝平太同プロジェクト全国推進協議会会長(静岡文化芸術大学学長)=写真=は、「農山漁村体験は、子どもの心を確実に豊かにするとともに、受け入れ地域を元気にする。引率する先生方の心も変えることができ、まさに『三方良し』。国民全体で推進できるようにしていこう」と参加者に力強く訴えた。また若林正俊農林水産相、池坊保子文部科学副大臣、二之湯智総務大臣政務官も登壇。各省の観点からプロジェクトの意義を説明、協力して事業をすすめることを確認した。

 シンポジウムではこのほか、千葉市教育委員会や長野県飯田市などの先進事例を紹介したほか、川勝会長がプロジェクトの意義について講演した。最後には、公募で集まった1356点から選んだ同プロジェクトの愛称「ふるさと子ども夢学校」を発表。併せてキックオフ宣言を行い、産官学一体となった取り組みの開始を宣言した。

 同プロジェクトは、全国の小学生が農山漁村で1週間程度の長期宿泊体験活動を経験できるようにするもの。5年後までに全国2万3千の小学校、1学年あたり約120万人全員が体験活動をできる体制を作る。初年度の今年は、受け入れモデル地域50地域と体験モデル校約170校がすでに決定しており、今後プロジェクトを推進するための課題の洗い出しや体制整備、ノウハウの蓄積などをすすめる計画だ。



UNWTOと国交省、6月に神戸で大都市観光国際会議

 世界観光機関(UNWTO)と国土交通省は6月9日、神戸市の神戸国際会議場で「UNWTO大都市観光国際会議」を開く。日本での開催は初めて。

 会議には世界の大都市観光を熟知したUNWTOの専門家や、欧州、アジア太平洋地域、日本国内の大都市から、第一線で活躍している実務者が出席。

 専門家など出席者たちが観光客を受け入れるにふさわしい都市環境や景観のあり方、観光客増加に伴う負の部分への対処などについて考える。

 日本からは矢田立郎神戸市長、石原慎太郎東京都知事、建築家の安藤忠雄氏らが後援する。

 使用言語は日本語、英語(同時通訳)。参加費は無料。

 問い合わせは同会議参加登録係(TEL078・303・1101)。

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