日本旅行は16日、次期社長にJR西日本副社長の丸尾和明氏(56)を迎える人事を固めた。これに先立つ9日には読売旅行が巣瀬一常務(61)を次期社長に昇格する人事を内定した。今年に入りKNTやトップツアー、HISで相次ぎ社長が交代。4月にはJTBが次期社長を発表している。大手4社をはじめとする旅行各社のトップが大きく入れ替わり、業界に新たな風が吹き込みそうだ。 日本旅行の次期社長に決まった丸尾氏は、7月初旬に正式就任予定。金井耿社長(63)は代表権を持つ会長に就任。安富徹副社長(58)は6月23日付で辞任し、京都駅観光デパートの社長に就任する予定。 読売旅行は土井誠社長(65)は代表権を持つ会長、鎌倉日出夫会長(71)が常勤最高顧問にそれぞれ就任する。6月12日の株主総会後の取締役会で正式決定する。 同社では現社長の土井氏がネット事業や社内諸制度の改革、読売新聞社との連携推進などを軌道に乗せたことから、営業経験に富んだ巣瀬氏にバトンタッチして営業態勢の強化を図るとしている。 今年大手旅行業では、JTBが4月25日に田川博已専務(60)を次期社長に内定。3月28日には前近畿日本鉄道副社長の吉川勝久氏(62)がKNT社長に、また1月4日にはトップツアーの石川邦大執行役員旅行業務本部長(46)が、4月1日にはHISの平林朗取締役情報システム本部長(40)がそれぞれ社長に就任しており、日本旅行の社長交代で大手旅行各社のトップの顔ぶれが一新することとなる。 燃油サーチャージ問題や、食品価格の高騰からの家計の圧迫による旅行の手控えなど、旅行業を取り巻く環境は厳しさを増しており、各社とも新社長の手腕が問われそうだ。 ◆丸尾 和明氏(まるお・かずあき) 1951年9月28日生。大阪大学法学部法学科卒。昭和50年国鉄入社。JR西日本代表取締役専務取締役兼執行役員総合企画本部長、福知山線列車事故対策審議室長などを経て06年6月から同社代表取締役副社長兼執行役員鉄道本部長。 ◆巣瀬 一氏(すせ・はじめ) 1946年7月6日生。66年読売旅行入社。北陸・中部営業本部長、関東北営業本部長などを経て05年取締役、07年常務取締役。
JR北海道、JTB北海道、日本旅行北海道、KNTの4社は19日までに、洞爺湖サミット開催30日前イベントとして、「地球を知り、人の営みを考えるエコ・ジオツアー」を設定した。6月に1泊2日の日程で実施する。 ツアーは6月7〜8日に実施するが、旅行3社はJR北海道の商品を受託販売する形となる。募集人員は80人。旅行代金は1万9800円から。 ツアーでは洞爺湖町の昭和新山や豊浦町のカムイチャシ史跡公園、伊達市の北黄金貝塚公園などを見て回るほか、火山噴火予知などで有名な岡田弘北大名誉教授のレクチャーなどがある。
JTBは15日、6月の役員人事を発表した。取締役の日比野健氏が旅行事業本部副本部長から1日付で旅行事業本部長に就任、30日付で常務取締役に昇格し、グローバル事業推進担当も兼ねる。伊藤正人氏は、常務取締役の総合企画担当から1日付の特命事項担当を経て、30日付で執行役員のJTBトラベランド社長に就く。 1日付で、常務取締役の志賀典人氏が、事業創造本部長、CIOから総合企画部長、事業創造担当、CIOに。旅行事業本部副本部長には、グループ本社執行役員となる総合企画部長の村川義次氏が就く。 事業創造本部長にはJTBビジネスイノベーターズ代表取締役社長でJTB事業創造本部企画開発チームマネージャーの黒澤信也氏が、社長職はそのままに着任。経営監査室監査企画担当部長の白井敬二氏は経営監査室長となる。 30日付で、山口順三氏が取締役財務担当。JTB法人東京常務取締役の川村益之氏が執行役員のJTB法人東京社長に就く。30日付の役員人事は株主総会と取締役会を経て正式に決定する。
楽天(東京都品川区)が15日発表した08年度第1四半期(1〜3月期)決算で、楽天トラベルを中核とするトラベル事業ビジネスユニットは売上高が前年同期比28.4%の37億5百万円と好調だった。 ただ、人員増強などで営業費用がふくらんだ結果、営業利益は同2.8%増の13億2700万円にとどまった。 営業費用は同49.2%増の23億7700万円。07年3月に297人(うち正社員は154人)だった社員数を08年3月には397人(うち正社員は226人)まで33.7%増強。その結果「人件費の伸び率が売上げの伸び率を上回ってしまった」(三木谷浩史楽天会長)。 楽天トラベルは昨年8月、港区六本木のアーク八木ヒルズから現在の品川シーサイド楽天タワーに移転したが、アーク八木ヒルズとの賃貸契約が残っており現在も無人となった事務所の賃料を支払い続けている状況で「オフィスのダブルコスト」(同会長)も費用増の要因となった。 旅行会社の取扱額にあたる予約流通総額は同22.9%増の602億3千万円。予約泊数は同8.9%増の621万5千泊。右肩上がりの傾向は衰えておらず「旅行予約サイトの中で高いポジションを維持している」(同会長)とした。
クラブツーリズムは15日、中高年向けSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイト「趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)」の中に公式コミュニティ「全国縦断オフ会」を開設した。 オフ会とは、インターネットを通じて知り合った人々などがネットを離れ、実際に集まる交流会のこと。クラツーは同コミュを通じて参加者を募り、「公式オフ会」を開いていく。6月に東京で、7月に大阪と名古屋で開き、順次全国に広げていく。公式オフ会ではクラツーのスタッフが幹事を務め、参加者間の交流をサポートするという。シニア同士が触れある機会を提供し、旅行需要につなげる。 通常のSNSのオフ会は、コミュの中の利用者同士が自然発生的に集まって行われる場合が多く、SNSの運営者が当日の幹事役まで務めるのは珍しい。 全国縦断オフ会には、無料会員登録後、同コミュに参加すれば、応募できる。原則40歳以上であれば登録できる。 趣味人倶楽部は昨年12月、クラツーが日本最大の携帯SNSサイト、モバゲータウンを運営するディー・エヌ・エーと共同で開設した中高年向けのSNSサイト。パソコンを通じて共通の趣味をもった仲間たちと情報交換したり、日記を公開しあったりすることができる。
国土交通省が20日発表した今年3月の主要旅行業者63社の旅行取扱状況(速報)は、総取扱額が前年同月比1.0%減の5670億3397万円で8か月ぶりの前年割れ。このうち国内旅行は同0.9%増の3398億1612万円。海外旅行は同3.7%減の2226億4142万円で9カ月ぶりの前年割れ。外国人旅行も同2.5%減の45億7643万円と低調で、7カ月ぶりに前年を割り込んだ。 国内旅行は「企画旅行が好調」(観光事業課)で、5カ月連続前年比プラス。阪急、エイチ・アイ・エス、ANAセールスの好調が目立つ。KNT、日本旅行、トップツアー、クラブツーリズムは前年割れした。 海外旅行は大きな伸びは見られず、日本旅行、トップツアーは大きく前年を割り込んだ。 旅行商品ブランドの総取扱額は前年同月比0.8%減の1633億6560万円。このうち国内旅行は同1.0%増の976億5221万円、海外旅行は同3.4%減の654億494万円、外国人旅行は同24.2%増の3億845万円。総取扱人数は、同1.6%増の463万2544人。国内旅行は同2.6%増の418万9224人、海外旅行は同7.6%減の42万4728人、外国人旅行は同21.4%増の1万8592人。