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  トラベル ■第2470号《2008年6月7日(土)発行》  

JTBグループの07年度決算、経常27%減の225億円

 JTBが5月30日に発表した07年度(07年4月〜08年3月)のグループ連結決算は、旅行事業を中心に営業が順調で売上高が前年度対比4.7%増の1兆3281億円だった。広告宣伝や人材、基幹システムなどへの積極的な投資により減益となったものの、営業利益で25.4%減の187億円、経常利益で26.9%減の225億円と黒字計上。前年度に旅行券などの未使用分引当処理が済ませたため、当期純利益では214.7%増の111億円となった。

 連結対象会社は国内94社、海外62社、持分法適用会社20社を合わせて計176社。対前年で4社増えた。

 旅行事業は、売上高で4.5%増の1兆1836億円と堅調に推移。うち国内旅行は1.1%増の6054億円。「自然災害が多かったものの、世界遺産登録や祭りなどの日本文化を見直すマーケットの動きを捉えエースJTBやWEB販売が好調、加えて団体旅行も堅調だった」(JTB)。

 海外旅行は6.8%増の5355億円。「海外出国者数が前年を割るなか、人気のアジア、堅調なヨーロッパなどを中心にルックJTB、メディア販売、FITが全体を牽引した」(同)。グループ全体での取扱人員は、出国者推計値の23.0%を占める394万人。

 訪日旅行部門は32.3%増の427億円。ビジット・ジャパン・キャンペーンや円安傾向もあり、一般観光に加え大型企業のインセンティブなども獲得して伸びた。

 事業形態別では、JTBトラベランドやJTB法人東京、i.JTBなどの機能を特化した会社が伸張。インターネット販売も大きく伸びた。

 旅行業以外ではホテル事業が、サンルートホテルチェーンの新規店解説などにより、売り上げを伸ばした。

 中期経営計画の最終年度となる08年度は、交流文化産業の確立、ネットに店舗などを連動させたクロスチャネルの推進などにより、経常利益で200億円を見込む。



旅行各社、ノースウエストの発券手数料ゼロで新ビジネスモデル模索

 5月27日にノースウエスト航空(NW)が発表した航空券の発券手数料の廃止について、旅行各社は冷静に受け止めている。各社とも将来的には手数料が完全廃止となるものととらえ、新しいビジネスモデルの開発や、旅行商品への付加価値付けなどに向けた対策を講じる構えだ。

 今回のNWの施策について、旅行各社は「将来的には0%になると予期していた」(日本旅行広報室)と口をそろえる。欧米で既に発券手数料を0%とする流れが加速していることによるものだ。しかし、阪神航空を含め、NWなどの取り扱いが多い阪急交通社は、「特に法人営業部門への影響は大きいのでは」(広報担当)と、影響を懸念する。

 欧米では航空各社が0%を導入する中、動向が注目されるのが日系航空会社だ。日本航空、全日空とも現段階では手数料改定は考えていないというが、「手数料が(他社との)競争の争点になるのは確か」(日本航空広報部)と見ており、他社の対応次第では手数料の廃止もそう遠い話ではなさそうだ。

 日本でも発券手数料0%が主流となった場合を見据え、旅行各社は代替収入として消費者からの手数料徴収の徹底を検討する。JTBでは国際航空券の発券において、以前から消費者から受け取る「手配手数料」を設定しているが、「支店により対応にばらつきがある」(広報室)。KNTも同様の料金を設定しているが、「きちんと収受できているとは言いがたい」(ブランド戦略室)状況で、「0%となった場合、この料金の収受徹底が先決」とする。

 消費者から手数料を取る場合には、消費者が納得する明確な料金体系の提示とサービスの提供が求められることから、JTBや阪急などは付加価値をつけた販売、消費者に満足を与えられるようなサービスの提供を検討する。日本旅行も新たなビジネスモデルの開発を進める構えだ。



KNT、子育て応援イベントで子連れ旅行サイト紹介
サイトを見る親子


 KNTは1日、東京都大田区で開かれた子育て応援イベント「おおた子育て家族応援メッセ」で、同社が運営する子連れ旅行サイトを紹介した。子育て世代や妊婦に同社の取り組みを紹介すると共に、子連れ旅の楽しさを知ってもらうのが狙い。同社ブースには親子連れが訪れ、サイトについて熱心に話を聞いたり旅行相談をする姿が見られた。

 KNTが子育て家族向けイベントに参加するのは初めて。オリジナルのチラシやグッズを手にサイトを紹介したほか、同社の子連れ旅サイト「こどもといっしょ!」を中心となって運営する、同社eビジネス事業本部カンパニーの佃亮子さんが旅行相談などを受けた。

 同社はこどもといっしょを05年に開設、乳幼児連れ家族に向けた旅行商品の販売に力を入れる。サイトでは自身も子育て中の佃さんが「ツーリストママ」の名前でブログや相談室コーナーを担当するほか、子連れ旅におすすめの宿やスポットなどを紹介している。

 同社が出展した同メッセは、大田区の子育て活動支援グループやNPO法人男女共同参画おおたなどが中心となって初めて開いた。子供向け絵本を出版する福音館書店などのブース展示のほか、絵本の読み聞かせなどの企画を行った。

 佃さんは「このようなイベントは各地で開かれている。積極的に参加して、子連れ旅の楽しさを多くの人に広めたい」と話す。



トヨタやJTBなど5社、新たなドライブ旅行提案

 トヨタ自動車とJTB、富士フイルム、中日本高速道路(NEXCO中日本)、デンソーの5社は、新たなドライブ旅行を提案することで国内旅行の促進や地域の活性化に資する「うごく!プロジェクト」を発足した。21日から8月31日まで、岐阜県で新しいドライブ旅行を提案する「うごく!岐阜〈生〉キャンペーン」を実施する。

 観光立国基本法の施行など日本の観光推進機運や地域振興への期待が高まる中、5社はプロジェクトを通し、実際に足を運び「動く」ことで新たな発見や感動を得る機会を提供。自治体や関連団体などの協力で、ドライブ旅行の便利さ・自由さを組み込んだ新しい旅「〈生〉たび」を提案する。

 岐阜キャンペーンでは、岐阜県内の36のドライブルートを推奨。インターネットの専用サイトでルートや観光、最新イベント情報を掲載するのをはじめ、オリジナルドライブルートの作成や、生たび体験者のコメントの閲覧、旅行写真の投稿などができる機能を設ける。また、36のルートを紹介したカードや、県内の観光施設や飲食店、道の駅などで使えるクーポンブックも配布する。

 参加企業が独自に、ドライブ旅行を提案する施策も実施する。



エア・ドゥ社長に国交省OB

 北海道国際航空(エア・ドゥ)は5月30日開いた取締役会で、滝澤進社長(63)が退任し、後任に国土交通省OBで現日本通運執行役員の淡路均氏(60)が就任する人事を内定した。27日開く株主総会後の取締役会で正式決定する。元道副知事の吉沢慶信会長(63)も退任し、会長職は当面空席とする。

 淡路氏は国交省で関東運輸局長などを歴任し、05年8月に日通顧問に就任。同年10月から執行役員。

売上高減少も 利用率は増加 3月期決算
 エア・ドゥが5月30日発表した08年3月期単独決算によると、売上高は前期比1・2%減の295億6300万円にとどまり、燃料費の増加などで経常損失は1億1800万円増の4億6200万円、純損失も1億円増の8億4100万円にそれぞれ拡大した。

 07年度の旅客数は約150万人で、前年度に比べ4%減となったが、利用率は74%で0.2ポイント上回った。
 次期は売上高335億円、経常利益3億円、純利益2億円で、3期ぶりの黒字転換を見込んでいる。



「佐賀VS鹿児島」キャンペで旅行者大幅増 JR九州

 JR九州は07年10月から今年3月まで「佐賀VS鹿児島」キャンペーンを実施した。期間中の旅行者は前年同期比52.2%増の7万7959人と大幅に増えた。両県の食と温泉が特に人気を集めた。

 同キャンペーンは九州の2つの県の観光素材を比較して旅行を促す企画で、これまで「大分VS鹿児島」、「長崎VS熊本」を実施している。

 鉄道利用の宿泊商品や団体旅行、割引きっぷの販売実績は、佐賀が同77.9%増の2万3136人、鹿児島が同43.4%増の5万4823人だった。

 同社は旅行者600人(うち女性381人)にアンケート調査を実施。旅の魅力である食や温泉などについて5段階評価してもらったところ、佐賀は、「食」が4.32点、「温泉」4.33点、「自然風景」3.59点、「ホスピタリティ」3.73点となった。鹿児島の場合も同様の傾向が見られ、「食」4.32点、「温泉」4.37点、「自然風景」4.42点、「ホスピタリティ」4.11点だった。

 また、行って(体験して)良かったものベスト5では、佐賀は佐賀牛が1位で、以下、嬉野温泉、嬉野茶、温泉湯豆腐、カニ・カキの順。鹿児島は黒豚が1位で、指宿砂むし、列車、霧島温泉、知覧と続く。



主要旅行業12社・4月実績


 鉄道旅客協会は2日までに、加盟旅行業者の今年4月の取扱額をまとめた。総取扱額は前年同月比4.4%減の2560億7812万円で、前年実績を上回ったのは読売旅行(6.9%増)と農協観光(2.1%増)の2社のみ。

 国内旅行は2%減の1576億4478万円。前年を上回ったのは読売(9.2%増)、阪急交通社(7.6%増)など4社。日本通運は2ケタ減。

 前年割れが続く海外旅行だが、4月は10.3%減の902億5131万円と、下げ幅が拡大した。前年を上回った業者は1社もない。5社が2ケタ減を強いられ、海外旅行市場の低迷が浮き彫りになった。

 外人旅行は23.8%増の66億8318万円と好調。2〜3月の横ばい基調から一転、高い伸び率となった。農協観光(87.5%増)、トップツアー(75.1%増)の伸びが際立つ。

 なお、4月分からJTBトラベランドの実績をJTBに合算。このため今後は12社となる。

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