岩手県平泉町と国土交通省東北運輸局は21日から、平泉町にある中尊寺周辺の交通渋滞緩和のための社会実験を行う。マイカー利用者が最寄りの駐車場に集中し交通渋滞が発生していることから、同町の循環バス「るんるん」号を活用し、駐車場利用の拡散を図る。世界遺産登録を控え、来訪者の受け入れ態勢整備につなげたい考えだ。
金色堂で知られる中尊寺付近は、最寄りの町営駐車場にマイカー利用者が集中するため最大で2キロもの渋滞が発生、「渋滞の解消など、受け入れ態勢の整備は喫緊の課題」(東北運輸局)となっている。渋滞の一方で、同寺近隣の他の町営駐車場や、毛越寺などの寺院に付設する駐車場には余裕があるため、町内循環バスを使った駐車場利用の平準化を試みることとなった。
社会実験は7月13日までの土日に実施する。最寄りの駐車場を除く3つの駐車場の利用者に対し、町内循環バス「るんるん号」の1日フリー乗車券を通常300円のところ200円で販売するほか、るんるん号のフリー乗車券の購入者に対し、33の寺院や飲食店などで割引などが受けられる特典を新たに用意した。運行本数も現在の1日11本から21本に増便し、利用しやすくする。
るんるん号は平泉駅前や各駐車場のほか、中尊寺や毛越寺をまわる循環バスで、同町によると、毎月平均で4〜5千人が利用している。
同町総務企画課の藤澤義人・世界遺産政策監は「世界遺産登録に向け、国内外からの観光客が増えている。るんるん号など今あるものを生かして、観光客の受け入れ態勢を整えられれば」と期待する。
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14日には岩手・宮城内陸地震が発生したことから、同町内では一部の宿泊施設でキャンセルなども出ているという。しかし文化財などに大きな被害はなく、道路事情にも特に問題はないという。藤澤政策監は「安心して平泉に来てほしい。観光客の方が来てこそ生きる、るんるん号の取り組みなのだから」と話し、社会実験と併せて平泉の安全をアピールした。 |