鳥取県米子市の皆生温泉旅館組合(20会員)は旅館・ホテルから出る天ぷら油などの廃食油をバイオディーゼル燃料の生産に再利用してもらう活動に取り組む。バイオ燃料は宿泊施設の送迎用マイクロバスなどに使われ、「大幅なコストダウンとはいかないが、ガソリン急騰の中、安いバイオ燃料は旅館・ホテルにとってもプラスでは」と旅組関係者はいう。 廃食油を回収するのは地元の知的障害者厚生施設「もみの木園」と「吾亦紅」で、2年ほど前からバイオ燃料生産を手がけている。今回、旅組の協力を得て旅館・ホテル13軒を定期的に回り、バイオ燃料に適する廃食油を回収、施設内にある精製プラントでバイオ燃料を生産する。 値段は1リットル当たり110円程度となりそう。「マイクロバスに使う軽油は上昇傾向にあり、現在は157円になっている。送迎の距離も短く、使用頻度もそう高くはないが、この値段の差は心理的にも大きい」(旅組関係者)と指摘する。 16日にはバイオ燃料を積んだマイクロバスやトラックなど計7台による出発式が行われた。
ガソリンなど石油製品の急騰、小麦や大豆など原材料高騰による食品値上げ……。家計を圧迫する要因が目白押しだが、値上げの余波は旅館・ホテル業界にも及ぶ。「仕入先から(食材の)値上げ要請が来ている」「ボイラーの燃料代が5年前の2倍になった」といった声が聞こえてくる。「コストアップ分を宿泊料に上乗せすると、お客が離れてしまう」とある旅館経営者は頭を抱える。転嫁は容易ではない。リョケンは「仕入れの交渉や工夫だけでなく、献立内容の見直しなどで原価率を圧縮する工夫が求められている」とアドバイスする。 リョケンは料理や飲食の原価率が仕入れコスト高の影響で「上昇する傾向にある」と分析。 山梨県甲府市にある客室約20室の旅館は夕食に名物のほうとうを出している。ほうとうは小麦粉を使った平打ち麺が特徴だが、「値上げの動きが顕著に出ている」と社長は言う。小麦粉の価格高騰を受け、仕入れ先からの値上げ要請が来ている。名物ゆえに「出さないわけにはいかない」とジレンマを抱える。 「小麦粉や天ぷら油などは昨年と比べ、2割程度上がっている」と言うのは栃木県の旅館女将。安いところでまとめて買ったり、自家栽培している野菜を使ったりと防衛策に走る。 鹿児島のホテル支配人によると、ガス代が1立方メートル当たり5円上がり、コーヒーの仕入れ価格も上がった。「調理場に納入単価を出させ、どれだけ上がっているのか把握している最中」だ。 ボイラー燃料となるA重油価格もアップ。公衆浴場の経営者は「1リットル当たり100円を超えた。50〜60円の時代がウソのようだ」と話す。温泉を加温している旅館は「費用はばかにならない。電気料金も上がりそうで、そうなると冷房費用がまた上がってしまう」と肩を落とすも。 宿泊施設も決して手をこまぬいているわけではない。「館内にある売店やスナックでビールなどの料金を上げる施設も出ているようだ。夜中には露天風呂にふたをしたり、省エネ電球に変えたりと、そこまでやるのかという旅館もある」(リョケン)。 しかし、肝心の宿泊料の引き上げはなかなか難しいようだ。「消費者の節約志向が強まる中、上げればもっと安い旅館に流れてしまう」と危機感を抱く経営者も多い。 「コストが上がっているのでやむを得ずという理由では、(経営者の)努力不足といわれかねない」と二の足を踏む。 前出の甲府市の旅館では料理の量や品数の調整に乗り出している。「高齢者と若い人では食べる量も違う。品数が多すぎて食べ切れないという声もある。質を落とすことなく、お客さまに見合った料理提供の仕方があってもいいのでは」と模索の日々が続く。 一連の値上げ基調は収まる兆しが見えない。長引けば消費者の節約志向が一段と強まりかねず、国内旅行市場そのものの冷え込みを心配する向きも少なくない。
南紀白浜温泉(和歌山県白浜町)のホテル三楽荘は6月6日、露天風呂付き客室フロア「ましらの」を最上階(9階)にオープンした。同館は全室オーシャンビュー、露天風呂に入りながら白良浜を一望できるましらのは宿泊客の人気を呼びそうだ。 4月からリニューアル工事に着手。総工費約1億円強を投じ、客室10室を新しくした。部屋タイプは和風の「モダン」が4室で、民家とリゾートをイメージした「レトロ」と「アジアン」がそれぞれ3室となっている。1室当たりの広さは約45平方メートル。部屋タイプに合わせ、内装や調度品、露天風呂の作りも工夫。 ましらのでは特別料金を取らず、通常の料金と同じに。最盛期である夏季が1泊2食付きで3万2550円、それ以外は2万2050円となる。 露天風呂付き客室は人気も高く、「稼働率も上がると踏んでおり、特別料金を設定しなくてもやっていけるだろう」と言う。 白良浜から見る夕陽は「日本の夕陽100選」に選ばれており、「ましらのから見たい」という宿泊客も増えそうだ。
IHG・ANA・ホテルズグループジャパンは、独自の快眠プログラムを全国6都市のANAクラウンプラザホテルに導入する。枕や寝具だけでなく、香りやカフェイン搾取などに配慮し、「就寝前から目覚めまでの睡眠プロセスに複合的なアプローチをしているのが特徴」という。 このプログラムは「スリープ・アドバンテージ」で、睡眠スペシャリストが監修にあたり、ホテル利用者900人の調査結果に基づき開発した。 まずANAクラウンプラザホテル千歳、同金沢、同富山など6ホテルの全客室に導入する。客室にはアイウォーマー、入浴剤など3種類のアメニティのほか、日常生活や旅先で生かせる快眠のポイントをまとめた小冊子、アロマオイルなどを置いており、宿泊者は無料で利用できる。