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  インバウンド ■第2475号《2008年7月12日(土)発行》  

外客2千万人実現へ、「産業界に取り組み期待」と本保総観審

 国土交通省の本保芳明・総合観光政策審議官はこのほど、専門紙向けの定例会見で、外国人旅行者を2020年に2千万にする中長期の目標について、「本格的な国際観光時代に向けて、戦略的な準備を進めるために掲げた目標数値と捉えてほしい」と述べ、産業界をはじめ観光関係者にそれぞれの立場から課題に取り組むように期待した。

 本保総観審は「ハード、ソフトのいずれも、今のインフラのままで対応できないことははっきりしている。経済効果などを含めた2千万人のインパクトをできるだけ計量的に捉えた上で、観光関係者が一丸で戦略的な対応をしていく必要がある。そうした時期に入った」と説明した。

 2千万人を実現するには、受け入れやプロモーションの態勢などさまざまな課題があるとしたほか、観光産業界の本格的な取り組みに期待。「例えば旅行業について言うと、日本の旅行業の外国人旅行の取扱額は総取扱額の0・9%という現状。このままでは外国の旅行業の取り扱いが増えるばかりで、日本の旅行業は存在価値を低くしてしまう。旅行業でも環境整備を課題に挙げているように、国際観光で仕事ができる態勢にシフトすべきだろう」と指摘した。

 2千万人の実現に向けた中長期ビジョンの具体的施策などは、政府の観光立国推進戦略会議のワーキンググループでも議論される。国交省では、企業や地域に与える2千万人の経済効果などを具体的に提示するために、企業のトップや学会の有識者、YOKOSOジャパン大使などにアンケートやヒアリングを行うことも検討している。

観光地のレーティング 評価手法など検討へ
 国交省は、有識者でつくる「観光に関する懇談会」での議論を受け、質の高い観光地づくりを目的にした観光地の評価やレーティング(格付け)のあり方について検討する。本保総観審は「評価の実施主体や手法、難しい課題はあるが、実施できるかどうか、議論してみたい」と述べた。

 本保総観審は、「観光地を訪れる旅行者に何らかの目安となるもの、観光地づくりにかかわる関係者に参考になるもの、2つの側面から考えたい」と述べ、「観光地の整備状況や顧客満足度などさまざまな評価軸があるが、説得力、説明力があって皆さんに納得してもらえるものでなければならない」と指摘した。



ソウル市が東京都内で観光説明会、広報大使の朴正淑さんも出席
具三悦社長
朴正淑さん

 韓国・ソウル市の魅力を紹介するソウル観光説明会が7日、東京都内のホテルで開かれた。日本の旅行会社などが参加。「文化を創造するデザイン都市、眠らない祭りの都市、ソウル」をテーマに、伝統文化や食に関連するイベントなどの最新情報、景観整備への取り組みなどが紹介された。

 主催は、ソウル市とソウル観光マーケティング社。ソウル観光マーケティング社は、市と、観光・運輸関連の企業が出資して今年2月に設立された会社で、海外観光客やコンベンションの誘致、観光インフラの整備などの事業を手がけている。

 同社の具三悦(ク・サムヨル)社長は「この会社から世界にソウルを発信したい。デザイン都市として新しい魅力を打ち出すデザインソウル、川辺の景観整備を進めている漢江ルネサンスなど事業の成果を見に来てほしい」とあいさつした。

 説明会では、韓流観光、交流観光、医療観光などのテーマごとにイベントや施設を提案。料理文化の体験祭り「ソウル・フードフェスティバル」(8月22〜31日)、ドラマ「冬のソナタ」などの世界が体感できる施設「フォーシーズンハウス」を紹介。個別のブースでは、古代国家・百済の歴史と文化を再現した「漢城百済文化祭」、伝統家屋の中で韓国文化を体験できる「コリアハウス」のプログラムなどをPRした。

 説明会は、4日に福岡市、10日に大阪市でも開かれた。

「一歩先の観光交流を」ソウル大使の朴さん
 7日のソウル観光説明会にソウル市広報大使の朴正淑(パク・ジョンスク)さんが出席。朴さんは元アナウンサーで、テレビドラマ「チャングムの誓い」で王妃役を演じたことから日本にもファンが多い。日本人旅行者にソウルへの訪問を呼びかけた上で、「体験型の観光を通じて、より深くソウルを知ってほしい」とPRした。

 「日本とソウル、日本と韓国の関係を考えると、楽しむだけの観光から、体験を通じて学ぶ、あるいは心で感じる観光へと一歩先の交流に進めるはず」と話した。

 おすすめの体験プログラムとしては、宮廷料理や伝統的な韓国料理を学んだり、昔ながらの韓国の遊びに挑戦したりするメニューを紹介。このほかに、「私も広報大使に就任するにあたって通ったのですが、韓国の礼儀作法などを学べるプログラムが勉強になりますよ」と笑顔をみせた。
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