コンサルタントの飯島綜研(飯島賢二代表)は6月、全国の旅館に向けて、原油価格の高騰に伴う関連商品の仕入れ額の変化や、商品の高騰が自社の経営に与えた影響を調査するアンケートを実施した。それによると、重油や料理の原材料などのひと月当たりの仕入れ価格は2カ月間で平均70万円近く上昇。重油などの高騰で自社の利益が減少したとする旅館は全体の8割近くに達した。利益のマイナス分をどうカバーするかとの問いでは、宿泊料金などの値上げと回答した旅館は1割に満たず、およそ3分の2が経費削減と回答。厳しい経営の実態を裏付ける結果となった。 調査は全国の旅館165社に行った。回答数は44社。 道路特定財源の暫定税率廃止前の3月31日と、暫定税率復活後の6月1日の、A重油(1グラム当たり)の仕入れ価格を聞いたところ、3月時点の平均は81.9円。6月時点の平均は99.3円になった。2カ月間で21.2%上昇したことになる。 ガソリン(レギュラー、1グラム当たり)の仕入れ価格は平均150.8円から同168.7円へ、2カ月間で11.9%上昇した。 このほか小麦粉(薄力粉、1グラム当たり)は平均190.6円から同215.4円、バター(1グラム当たり)は平均1321.6円から同1482.6円、食用油(同)は平均210.0円から同255.3円、醤油(同)は平均170.3円から同191.6円──などと、軒並み上昇している。 重油やこれら業務用商品のひと月当たり仕入れ価格は、2カ月間で平均69万5千円増えた。最も増えた旅館は327万7千円。最も増えなかった旅館でも16万8千円となった。 重油などの値上げにより、自社の利益に影響が出たかを聞いたところ、「営業利益段階で赤字にはならなかったが、利益が減少した」が78.6%と、最も多く回答した。「利益には影響がなかった」は14.3%。「営業利益段階で赤字になった」は7.1%だった。 経営のマイナス点をどのようにカバーしているかとの問いでは(複数回答)、「経費削減」が66.7%と、全体の3分の2が回答した。「宿泊料金などの値上げ」は6.7%にとどまった。その他の意見として「売り上げアップ」「各部署からいろいろな案を募集し、検討する」「空調温度調整」「仕入れ業者の選別」「深夜入浴を禁止する予定」「節水・節電」「地域との連携」「ホスピタリティの向上」「メニューの変更」──などがあがった。