17日に東京都内で開かれた「YOKOSO!JAPANシンポジウムイン関東」で、国土交通省からYOKOSO!ジャパン大使に認定されている鬼怒川グランドホテル夢の季(栃木県日光市)の専務取締役、波木恵美さん=写真=が講演した。鬼怒川・川治温泉観光協会のインバウンド誘客活動を紹介しながら、地域を挙げた戦略的な外客誘致策の必要性などを提言した。
波木さんは、2004年に協会内に設置された訪日外国人誘致委員会の委員長に就任。中国、香港、台湾などへのキャラバンの実施をはじめ、地域ぐるみの組織的な誘客活動をけん引してきた。
波木さんは「活動当初は、『インバウンドって何をやるのか』という雰囲気だったが、海外キャラバンなどを通じて感触をつかんできた。地域でインバウンド誘致を目指すなら、閑散期だけに受け入れたいといった都合のいい誘客では無理。目標を明確にし、通年で戦略を立てて取り組む必要がある」と訴えた。
鬼怒川・川治の昨年の外国人宿泊者数は前年より約2万人増加し、5万人を超えた。同協会では、東アジアの旅行シーズンにあたる旧正月には鬼怒川駅に案内所を開設、「春節祭」といったイベントも昨年から駅前で開催している。
誘客が成果を上げる半面、「これまで団体客を中心に伸ばしてきたが、今後は個人客をどう取り込むかが課題」と語った。個人客向けのプロモーションの必要性のほか、個人客が利用しやすい交通網や案内標識の整備、ガイドの確保などを重点課題に挙げた。
観光庁発足契機にインバウンド振興
「YOKOSO!JAPANシンポジウムイン関東」には、関東エリアの地方自治体や関係団体、観光事業所などから約250人が参加した。主催は国交省関東運輸局など。国交省の本保芳明・総合観光政策審議官が、観光庁の発足を見据えて国の取り組みなどについて基調講演したほか、インバウンドをテーマにしたパネルディスカッションなどが行われた。
本保総観審は、観光庁発足について「予算や権限がとりわけ大きくなるわけではない。しかし期待は大きい。これにこたえるには、これまでと違った仕事の仕方をする必要がある」と述べ、施策の結果に対する評価・検証、民間や他省庁の人材を生かす組織運営などを重視する考えを強調。また、「観光庁の発足を契機に、観光に携わる幅広い関係者の思いをどれだけ集約できるかが重要。ベクトルを合わせて取り組めば、もっと成果を上げられる」と訴えた。
パネルディスカッションでは、関東地域のインバウンド振興の方向性について、山梨県観光部の窪田克一・国際交流課長、時代村の下山利幸・日光江戸村東京営業部長、日本旅行国際旅行事業部海外営業部の青木志郎・アジア・オセアニア担当部長が意見交換した。
同シンポジウムは、観光庁の10月1日発足に向けて全国で開かれるリレーシンポジウムという位置づけ。観光立国推進への共通認識を醸成する。
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