谷垣禎一・国土交通・観光立国担当相は4日の就任会見で、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の重要性を強調した。国土交通政策全般への抱負を語る中で、国際競争力の強化や地域活性化の観点から、VJC推進の必要性を繰り返し口にした。 「人口が減少し、内需拡大に講じる手立てが難しい中で、海外の力、特に“成長センター”と言われるアジアの力をどうやって取り込むか。一番大きな政策はVJCだ」と指摘し、10月に発足する観光庁を積極的に支援する考えを示した。 さらにVJCについて「東京だけではなく、地方の優れた自然や文化の遺産を有効に活用し、海外の旅行者が各地を訪れるようになれば、地域の活性化につながる。地域の食の振興にもつながり、一次産業も活気づく」と説明したほか、「安全保障の基本は日本という国をよく理解してもらい、好意を持ってもらうこと。相互理解という観点でも大きな意味づけがある」と語った。 一方、原油価格高騰に対する支援策では、「漁業に関しては具体的なものが出ているが、国交省関連でも詰めないといけない分野がある」として、運輸業のほか、離島航路、高速道路料金などで対策を検討する考えを示した。 原油高対策の必要性と同時に、「“川上インフレ、川下デフレ”のような問題があって難しいが、基本は価格への転嫁であり、国民経済全体でショックを吸収することが大事。全体の経済をどう刺激するかという観点と切り離して論じることはできない」とも説明した。
社会経済生産性本部は7月31日、「レジャー白書2008」を発表した。白書によると。07年の余暇市場は74兆5370億円となり、前年と比べ5.8%縮小した。同本部は「規模の大きいパチンコ市場の落ち込みを反映したもので、それを除いた規模はほぼ横ばいで推移している」と分析。部門別に見ると、趣味・創作、娯楽部門がマイナスとなったが、観光・行楽とスポーツ部門はわずかながら伸びた。 観光・行楽部門全体の市場規模は同1%増の10兆7730億円。このうち、国内観光・行楽は同1.2%増の6兆9500億円となった。業種別に見ると、国内航空、会員制リゾートクラブの伸び率が大きく、2ケタの増加。 ホテルについては「外資系高級ホテルが都市部に進出、宿泊特化型ホテルも急増し、業績は堅調に推移した」(同本部)結果、同2%増の1兆930億円と規模を拡大。対して旅館は「依然として厳しい。倒産事例は数多く、旅館再生ビジネスが花盛りといった様相」で、同2%減の1兆8730億円と、依然として縮小傾向にあることが分かった。 旅行業は国内が微減、海外も落ちているが、燃油サーチャージの上昇で見かけの売り上げはプラスとなっている。実質的な収益率は下がっているという。 07年の余暇活動は「身近な行楽系、インドア系レジャーが好調」と同本部。具体的には動物園・植物園・水族館・博物館(同340万人増の4160万人)といった行楽系の種目や、家庭におけるテレビゲーム(同70万人増の3180万人)のようなインドア系の種目で参加人口が伸びた。 その一方、国内観光旅行(避暑・避寒・温泉)は同20万人減の5700万人、帰省旅行が同100万人減の2320万人となり、遠距離の移動を伴う種目は減少。 白書は1人当たりの年間余暇消費を10年前と比較。その結果、30〜60代で増加し、特に60代シニア世代は97年当時46万8980円だったのが、07年は56万1800円と大きく増加。対して10代、20代は大きく落ち込んでいる。「余暇活動の選択投資化の傾向がはっきり認められ、消費者の嗜好の変化に対応した需要開拓戦略の転換が求められる」と指摘した。
福田改造内閣が2日発足した。国土交通相(観光立国担当)には谷垣禎一政調会長、経済産業相には二階俊博総務会長が就き、党役員から重要閣僚に横滑りした。福田内閣の改造は昨年9月の発足後初めてで、17人中13人が入れ替わった。これに先立ち行われた自民党役員人事では細田博之幹事長代理(観議連会長)が再任された。 改造内閣の課題は原油価格高騰などによる物価高と景気減速への対応とされ、福田康夫首相は総合的な景気対策を打ち出す構えだ。与謝野馨経済財政担当相は首相の意向を受け、関係閣僚と協力し、お盆前には対策の骨格を作りたい考えを示している。 一方、経済閣僚の1人である二階経産相は2日の閣議後の会見で、中小企業などの原油高対策で「補正予算も念頭に対応する」と表明しており、経産マターをどこまで景気対策に盛り込めるか、手腕が注目される。 二階氏は05年10月の第3次小泉改造内閣で経産相に就任しており、再登板となる。経産相時代、本紙のインタビューに応じ、「サービス産業を支援することは経産省の政策の大きな柱の1つ。観光産業はまさにサービス産業の最たるもの。その観点から省としても観光を真正面から見据える」と述べ、観光振興への情熱を語っている。 二階 俊博氏(にかい・としひろ) 衆院和歌山3区、当選8回。二階派。運輸相、経産相、党総務会長など歴任。中大法卒、69歳。 細田 博之氏(ほそだ・ひろゆき) 衆院島根1区、当選6回。町村派。内閣官房長官、党経理局長、党幹事長代理など歴任。東大法卒、64歳。
国土交通省は1日、先月23日に施行された観光圏整備法に基づく観光圏整備事業に関する補助金交付の公募を開始した。複数の市町村をエリアとする観光圏の事業者が実施する、観光メニューの充実や宿泊の魅力向上などに関する事業を支援する。応募締め切りは今月29日。 補助金を受けるには、観光圏を構成する市町村や都道府県が観光圏整備計画を国に提出し、事業者らが共同で策定した観光圏整備実施計画について国の認定を受けることが前提となる。 補助対象となる事業者は、観光圏整備法に規定された法定協議会の代表者のほか、法定協議会と同等な仕組みを備えている組織の事業者、広域的な観光振興に実績を持つ法人。 補助対象となる主な事業は、宿泊の魅力向上、イベントの開発、観光商品の企画開発や販売促進、体験・交流・学習プログラムの企画開発、人材育成、交通整備、情報提供など。補助率は個々の事業に対して最大40%に設定されている。 補助期間は原則2カ年で最大でも5カ年。今年度の予算総額は2億5千万円を確保している。補助事業の選定にあたっては、有識者らで構成する観光圏整備事業検討会に諮る。国交省では今年度に補助事業を採択する観光圏は10数カ所を見込んでいる。 応募受付、問い合わせ先は、各地方運輸局または沖縄総合事務局。 観光圏整備事業検討会の委員は次の通り(敬称略)。 森地茂(政策研究大学院大学教授)=委員長、石井宏子(温泉ビューティ研究家)、梅川智也(財団法人日本交通公社研究調査部長)、古賀学(松蔭大学観光文化研究センター教授)、清水哲夫(東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻准教授)、玉沖仁美(リクルートじゃらんリサーチセンター客員研究員)、丁野朗(日本観光協会常務理事総合研究所所長)、鶴岡克巳(日本政府観光局海外プロモーション部長)、羽生冬佳(筑波大学大学院人間総合科学研究科世界文化遺産学専攻准教授)、西村幸夫(東京大学先端科学技術研究センター教授)、藻谷浩介(日本政策投資銀行地域振興部参事役)