後期高齢者医療制度の導入や年金問題などで生活不安を抱える高齢者は少なくないが、旅行でそんなストレスを発散してもらおうと、栃木県の湯西川・川俣・奥鬼怒温泉観光協会(小松正義会長)は3500円の破格値で旅館・ホテルに泊まれる1泊2日のバスツアーを企画した。対象は栃木県と近郊8都県に住む75歳以上の高齢者で、現在、参加者を募集中。同地区の観光客数は減少傾向にあり、ユニークな企画で知名度を上げる狙いもある。 ツアーは「75歳以上でも幸せ、元気になろう」と銘打って、9月29〜30日の1泊2日の日程で実施する。バス代と保険料の3500円で湯西川と川俣・奥鬼怒の各温泉に優待する。宿泊費や昼食代は観光協会、旅館組合が負担する。 募集人員75人のうち、5人は栃木県人用としてとっており、この場合、参加費は無料となる。湯西川で50人、川俣・奥鬼怒で25人を受け入れる。観光協会に加盟する旅館・ホテルは湯西川17軒、川俣6軒、奥鬼怒4軒だが、ほぼすべての施設がこの企画に参加するとみられる。 応募条件は75歳以上の男女のほか、(1)1人で歩け、出発地のJR東京駅に午前8時半までに集合できる(2)車いす利用者でない──など。1人で申し込んでもらい、相部屋で交流を深めてもらう。 栃木県人以外はJR東京駅発着となる。初日は湯西川、川俣・奥鬼怒側コースともに到着後歓迎会を行い、地元の人が民謡や民話などを披露、交流する。翌日は観光施設などを見学し、夕方東京着。「バスには看護師が同行、食事もできるだけお年寄りにあった料理を提供する」(観光協会)という。 申し込みははがきで受け付ける。締め切りは9月10日。応募者多数の場合は抽選で決める。 昨年の宿泊客は湯西川が約26万人(前年比8.5%減)、川俣約3万8千人(同3.2%減)、奥鬼怒約4万1千人(同7.2%減)。厳しい状況にあるが、こうしたユニーク企画で知名度を上げ、「湯西川・川俣・奥鬼怒の名を広くアピールしたい」と意気込む。
岩手県観光協会(佐藤義正理事長)と岩手県旅館ホテル生活衛生同業組合(澤田克司理事長)は、岩手・宮城内陸地震の風評被害に伴う観光客減少の対策として、宿泊割引券総額1億円分を1万人にプレゼントするキャンペーンを計画している。今月7日には、両理事長が岩手県の達増拓也知事にキャンペーンへの予算補助を求める要望書を手渡した。県は補正予算の編成を視野に支援を検討している。 6月14日に発生した内陸地震では、建物や道路への被害があった一部地域に限らず、広範囲にわたって宿泊予約のキャンセルが多発。7月24日に起きた岩手北部地震のイメージも重なり、宿泊施設では予約が伸び悩み、岩手観光全体に深刻な影響を与えている。 両団体は本格的な対策の必要性で一致、県に支援を求めることにした。キャンペーンの計画案は、今年10〜12月に対象の宿泊施設に宿泊した旅行者に応募券を配布し、抽選で1万人に宿泊割引券1万円分(2人分各5千円)を贈るもの。割引実施期間は12月〜来年2月末。対象施設には、同組合の加盟施設以外にも参加を呼びかけることを検討している。 事業費は、宣伝費などを含めて1億2千万円を見込む。参画する宿泊施設自体が一定の割引分を負担するが、県にも支援を要請。補助要望額は4500万円で、内訳は宿泊割引補助2500万円、宣伝費2千万円。 観光協会の佐藤理事長は「風評被害は想像していた以上に長引いており、宿泊予約をはじめ観光全体への影響は深刻な状況。秋以降にも危機感が強い。県にも支援をお願いし、大型キャンペーンを実現させたい」と訴える。 岩手県では、県、JR東日本などによる「いわて・平泉観光キャンペーン」が9月末に終了する。観光協会では、切れ目なく大型キャンペーンを打つことで、地震によるマイナスイメージを払しょくし、誘客促進につなげていきたい考えだ。 県では、復興に向けて知事を先頭に全庁的なプロジェクトチームを結成して「がんばろう!岩手」運動を推進している。県観光課は「観光への風評被害には何らかの対策を講じる必要がある。要望を受けた支援については補正予算での対応を念頭に検討中」としている。
7月上旬に開催された北海道洞爺湖サミットの効果をいかに北海道観光につなげるか、また10月に発足する観光庁への期待とこれからの観光立国を考える「北海道観光シンポジウム」が4日、北海道観光振興機構、国土交通省、北海道の主催で、札幌市のホテルポールスター札幌で開かれた。 観光業界や自治体関係者など300人以上が参加した。北海道観光振興機構の坂本眞一会長、国土交通省の尾澤克之北海道運輸局長のあいさつの後、第1部基調講演では、国の観光立国推進戦略会議委員を務める異文化コミュニケーター、マリ・クリスティーヌさんが「アジア、特に中国、インドの人口爆発時代に、日本観光に対する需要は拡大し、インバウンド1千万人の目標はより早く達成するのではないか」との見通しを示し、「世界の富裕層から評価される観光地作りに知恵を絞るなど、グローバルな視点で対応していくことが重要だ」と指摘した。 続いて第2部として、高橋はるみ北海道知事のあいさつの後、本保芳明・国土交通省総合観光政策審議官、赤岡洋・北海道経済部参事監、佐藤誠之・日本旅行業協会北海道支部長、大西雅之・阿寒グランドホテル社長、富山保夫・ホクレン農業協同組合連合会管理本部長、マリ・クリスティーヌさんによるパネルディスカッションが行われた。 本保審議官は観光庁設置の意義と観光行政について説明。パネリストから観光庁への期待と要望が出された。今後の北海道観光について、クリスティーヌさんは「観光客にストーリーを感じさせるイメージ作りと発信の仕方に工夫が必要では」、富山部長は「観光に来ていただいた方たちが、母国に帰ってから北海道ブランドの農産品を購入するという効果が極めて大きい。観光は食の大切さを知ってもらうチャンスでもあり、グリーンツーリズムなどで都市と農村の共生を図って行きたい」、赤岡参事監は「観光客数を下支えする域内観光を充実させる必要がある」、大西社長は「観光に関する地域支援を長期スパンで考えてほしい」と、それぞれ提言した。
鳥取県は31日まで西条柿のマスコットキャラクター=写真=の名前を募集する。「味は抜群なのに富有柿、平核無柿に比べて知名度は今少し」(鳥取県)という県特産の西条柿。キャラクターを宣伝活動などに活用し、知名度向上やイメージアップを目指す。 応募方法は、メール、はがき、封書のいずれかにキャラクターの名称を記載。メールの場合は氏名、年齢、住所などを添えてkakisong@jainaba.comまで送る。 選考結果は9月下旬に公表。最優秀作品応募者には西条柿1箱30個入りと、あんぽ柿1箱12〜18個入りを贈る。 今年6月にはマスコットキャラクターのデザインを募集したところ全国から234点の応募があった。