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  観光行政 ■第2480号《2008年8月23日(土)発行》  

訪日外客、2020年までに2千万人、中韓台で6割を 国交省WGが目安示す
有識者らで構成する観光実務に関するWG(8日の会合)

 国土交通省は8日、「観光実務に関するワーキンググループ(WG)」(座長=須田寛・JR東海相談役)の中で、中長期目標である「2020年までに訪日外国人旅行者を2千万人に拡大」が実現した場合の国別の誘致目安人数や経済効果などを明らかにした。特に2千万人実現のためには中国、韓国、台湾の3大市場からの外客誘致に力を入れ、2千万人中6割にあたる1200万人を3大市場から誘致する必要があるとの見解を示した。

 同WGは、政府の観光立国推進戦略会議(座長=牛尾治朗・ウシオ電機会長)の下に設置された有識者による実務レベルの検討機関で、今年6月の戦略会議で取りまとめた中長期的目標である訪日外国人2千万人達成に向け、課題と具体的施策の検討を行うもの。8日に開いた第1回会合の中で、国土交通省は国別目標人数や訪日客2千万人による経済効果の試算などを示した。

 目標とする訪日客2千万人のうち、中国、韓国、台湾で6割の1200万人、具体的には韓国400万人、台湾200万人、中国600万人の獲得を目指す。このほかアメリカからは130万人(07年実績82万人)、ロシア20万人(同6万人)など。国別人数については今後精査や見直しが必要としたものの、21の国や地域ごとに想定数値を明示した。また外国人の延べ宿泊者数は、07年の2265万人から、2.4倍の5425万人となり、宿泊者のおよそ6人に1人は外国人になると試算している。

 ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)が始まった03年から07年までの期間、観光客数は314万人増加した。目的別の内訳では9割が観光目的で来日しており、訪日外客全体の構成比でも、観光客の割合が全体の6割から7割へと拡大。増加した314万人の国別内訳では、韓国からの訪問客が36%の114万人でトップ。以下台湾60万人(19%)、中国49万人(16%)と続き、上位3カ国で増加分の7割を占める。

 本保芳明・国交省総合観光政策審議官は「現在の主要市場のうち、韓国、台湾は飽和状態に近づくと予想される。(2市場に)期待しつつも、中国とその他アジアを中心に訪日客を増やす必要がある」と述べたうえで、「日本の場合、アジアが主要市場。多様な文化、言語の人々を迎えるためには欧米の観光大国とは違った対応策が必要となり難しさもある」とし、観光ビザ制度の緩和などについては、外務省など関係官庁を巻き込んだ具体的な方策の検討の必要性を指摘した。

 このほか国交省が示した試算では、外客2千万人が実現した場合の旅行消費額は、06年実績の1.4兆円の約3倍である4.3兆円に達すると算出。経済波及効果は現在の3.3兆円から10.4兆円にまで拡大するとの見方を示した。

 また試算では交流人口拡大が及ぼす経済効果にも言及。日本国内の人口減少に伴う定住人口1人あたりの年間消費額減少分が、外国人旅行者7人分の消費額で補えるとした。このほか外国人旅行者の誘客については、在留外国人の活用を示唆。2020年までに留学生を30万人まで増加させる政府計画を示し、そのボリュームを活用した情報発信の可能性を指摘した。


花の観光地づくり大賞に宮城県の「ユリの会」など3団体
開園期間中2万人が訪れる一迫ユリ園


 日本観光協会(中村徹会長)はこのほど、今年度の「花の観光地づくり大賞」の受賞団体を決めた。大賞には宮城県栗原市の町おこしユリの会、愛知県豊田市の足助観光協会、島根県松江市の歴史ある牡丹の島大根島の3団体を決めた。

 今年度、新たに「花を育むまちの底力賞」を新設した。表彰式は9月に北海道遠軽町で開く第5回「花のくに日本運動推進大会inオホーツク」で行う。

 ユリの会は88年に旧栗原郡一迫町の若手有志15人が特色ある町づくりを始めようと立ち上げた。91年には、丘陵地の起伏を生かした3万平方メートルの土地にユリ約200品種15万株が咲き誇る「一迫ユリ園」を完成させた。今では東京都内からの宿泊ツアーや仙台、福島などからの日帰りツアーが組まれており、6月中旬から7月下旬までの開園期間は毎年2万人を超える観光客で賑わうという。

 雇用の創出など地元の観光産業の一翼を担うまでになっていることが評価された。

 足助観光協会については、住民と協力しながら育成・保護が難しいとされるカタクリを長年にかけて地道に増やし、春の観光の目玉にまでした点、大根島は農業としての牡丹の栽培をメーンにしながらも、周辺観光地との連携による滞在観光の推進や台湾、パリへの牡丹の普及、観光客誘致に努めている点が評価された。

 その他受賞団体は次の通り。

*フラワーツーリズム賞
 北竜町・ひまわりの里(北海道)、萩市・笠山椿群生林(山口県萩市)、鳴門市花街道・地域づくりネットワーク(徳島県鳴門市)

*奨励賞・花の触れ合い賞
 鷲宮町(埼玉県)

*同・花の彩り賞
  網走市・フラワーガーデンはな・てんと(北海道)、大崎市三本木総合支所(宮崎県)

*同・花の賑わい賞
  財団法人須賀川牡丹園保勝会(福島県須賀川市)、新潟市・水の駅「ビュー福島潟」(新潟県新潟市)

*同・花を育むまちの底力賞
  井上・山百合の会(茨城県行方市)、あじさいの小路保存会(埼玉県本庄市)、高取町花いっぱい推進研究会(奈良県)、NPO法人神山さくら会(徳島県神山町)

*努力賞・花の心賞
  清瀬市(東京都)、練馬区・平成つつじ公園(同)、花のジュータン実行委員会(福井県大野市)、粕屋町(福岡県)



日韓航空協議、羽田~金浦間の定期便運航で合意、2010年に

 国土交通省は14日、日韓航空協議の結果、羽田空港の新滑走路(第4滑走路)が供用開始する2010年10月以降、羽田〜金浦間に日韓双方の航空会社に1日6便ずつ、合計12便の定期便を認めることで合意したと発表した。

 現在、チャーター便が毎日運航しているが、再拡張に伴う羽田空港の国際線への開放で、定期便が就航することになる。

 合意した12便は昼間時間帯の発着枠で、このうち4便は羽田〜釜山間での運航も可能。深夜・早朝時間帯には双方の航空会社がそれぞれ1日2便まで、羽田と韓国のいずれかの空港を結ぶ定期便を就航することも認めた。

 また、今冬のダイヤから、関空〜金浦間に日韓双方が1日2便まで運航することでも合意した。



国土交通大臣政務官に西銘、岡田、谷口の3氏

 政府は6日、福田改造内閣の政務官26人を決めた。国土交通大臣政務官には、西銘恒三郎(衆議院・沖縄4区、自民党)、岡田直樹(参議院・石川、自民党)、谷口和史(衆議院・比例・南関東、公明党)の3氏が就任。担務は西銘氏が災害対策と社会資本整備の関係施策、岡田氏が安全・危機管理と交通の関係施策、谷口氏が国土と北海道開発の関係施策に決まった。

西銘 恒三郎氏(にしめ・こうさぶろう)
2003年、衆院初当選。自民党政務調査会の国土交通部会専任部会長や経済産業部会長代理など。当選2回。上智大学経済学部卒。54歳。

岡田 直樹氏(おかだ・なおき)
04年参院初当選。参院自民党国会対策副委員長、参議院議院運営委員会理事など。当選1回。東京大学法学部卒。46歳。

谷口 和史氏(たにぐち・かずふみ)
05年衆院初当選。公明党労働局長、国会対策副委員長など。当選1回。創価大学文学部卒。46歳。

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