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  観光行政 ■第2483号《2008年9月13日(土)発行》  

環境省、温泉旅館などの温暖化対策に補助金

 環境省は、温泉熱や温泉採取により発生するメタンガスなどの「温泉付随ガス」を活用する施設を整備する事業者に対し、合計1億円を補助する方針を固めた。来年度予算概算要求に盛り込んだ。昨年東京・渋谷で発生した温泉施設の爆発事故をきっかけに、改正温泉法では温泉付随ガスの分離など安全対策が強化されたが、同省では安全対策と併せて環境対策も推し進めたい考えだ。

 今年10月1日に施行される改正温泉法の付帯決議で、安全性確保のために温泉から分離されたメタンガスの利活用を「地球温暖化防止」「資源有効活用」の見地から推進するよう決まったことから、来年度補助事業を行う方針となった。

 補助対象となるのは、(1)温泉熱を空調や給湯に使う「ヒートポンプ」導入などの温泉熱の熱利用(2)温泉付随ガスの熱利用(3)温泉付随ガスを使った発電と発電に伴い発生した熱を給湯などに利用するコジェネレーション(熱電併給)(4)温泉熱の発電利用──にかかわる施設を導入する場合。(1)の場合、事業費の3分の1、その他の場合は2分の1までを限度に助成する。

 同省自然環境局自然環境整備担当参事官室温泉保護利用係の試算では、1時間当たり4立方メートルのメタンガスを利用するボイラー設備、ガス供給設備を設置するのにかかる経費はおよそ600万円と安くはない。しかしボイラーを1リットルあたり100円の灯油で動かす場合と比べると、メタンガス利用の場合、年間120万円程度安くすむという。燃油価格の高騰がボイラーを多用する宿泊、温浴施設の経営に影響を与えているが、分離したメタンガスを活用できれば、燃油価格に左右されることも少なくなる。

 「メタンガスは温室効果が二酸化炭素の約21倍。資源として活用できれば温暖化防止にも有効」と同係の岩本宏幸氏。同係では現在、分離した温泉付随ガスの利活用について年末をめどにガイドブックを出すことを予定しており、来年からの事業補助開始に向け事業者の理解浸透を図りたい考えだ。

 分離した温泉付随ガスについては、メタンガスなどの「可燃性天然ガス」の場合、鉱物資源の開発、利用とその権利について定めた「鉱業法」の適用範囲になる。そのため実際にメタンガスを活用するには、地域の経済産業局に届け出をする必要がある。しかし改正温泉法で温泉付随ガスの分離が定められた今日、資源の有効利用や環境保全の見地からだけでなく、ボイラー設備などの効率運用の面からも、分離したガスの活用を検討する価値はありそうだ。



経産・国交省、10月に富裕層旅行の商談会開催

 経済産業者と国土交通省は8日、外国人富裕層の訪日旅行の誘致に向けた商談会「ジャパンラグジュアリー・トラベルフォーラム(JLTF)」を今年10月に東京都内で開催すると発表した。富裕層をテーマにした旅行商談会は日本初の試み。出展者の募集も始めた。

 バイヤーには、富裕層を顧客に旅行手配などを行う欧米豪、アジアの企業などから約30人を招へいする予定。募集する出展者には、旅行会社や旅館・ホテル、ランドオペレーター、プライベートジェットやグルーズ船の運航会社などの事業者、富裕層向けのコンテンツを有する地域や団体を想定。商談は2日間ともに完全事前アポイント制で行う。

 JLTFの会期は10月18〜21日。前半2日間はエクスカーションとして公募で決定する地域の視察旅行を組み、後半2日間は東京都品川区の品川インターシティホールで商談会やセミナーを行う。

 金融資産100万ドル以上の個人資産家は世界に約900万人とも言われ、その旅行需要は市場の注目を集めている。経産省や国交省では昨年12月、世界で最も権威のある富裕層旅行の商談会「インターナショナル・ラグジュアリー・トラベル・マーケット」(会場=フランス・カンヌ)に日本をブースを設置。公式オープニングパーティーとして訪日旅行の魅力を発信する「ジャパン・ナイト」を開催するなど、民間の市場参入を後押ししている。

 出展者の公募締め切りは今月19日まで。出展者のほかにも、商談には参加しないカタログ協賛企業も募集する。詳しくは、JLTF公式ホームページ(http://www.jltf.jp/)。



「地産地消の仕事人」48人を選定 農水省

 農林水産省は9日、各地で優れた地産地消の実現に取り組んでいる48人を「地産地消の仕事人」に選定したと発表した。地場農産物の生産や直接販売などに取り組む農業関係者のほか、旅館・ホテルの地産地消メニュー開発などに携わる料理人や民宿経営者らも選ばれている。

 「地産地消の仕事人」選定委員会(座長・永本正和筑波大大学院教授)が、全国から応募のあった57人の中から選んだ。同省は仕事人の仕事ぶりをホームページで順次紹介するとともに、地産地消に取り組む地域の活動などについて助言を求め、研修にも協力してもらう方針だ。

 仕事人の1人、ヴィラ・イナワシロの料理人で全日本司厨士協会福島県本部会長を務める山際博美氏は、県内宿泊施設の地産地消に対する意識向上に貢献していることが選定の理由になった。同氏はまた、「あいづのこだわり食材普及推進協議会会長」として、DVD「あいづのこだわり食材100選」の作成にもかかわっている。

 民宿と食堂の経営を通して佐渡の農産物を使った料理を提供しているのが御宿「花の木」経営の渡辺明子さん。島内に自生しているヤブツバキの油に注目し、絞り出した生油を商品化。民宿で提供する料理に使用するだけでなく、小売り販売に向けた改良を進めていることも評価された。



景況感、過去2番目の低水準 8月の景気ウォッチャー調査

 内閣府が8日発表した8月の景気ウォッチャー調査によると、景気の現状を3カ月前と比べた判断指数は前月比1ポイント低い28.3となり、調査開始以来最低だった01年10月(27.2)に次ぐ過去2番目の低水準となった。内閣府は「景気の現状は厳しい」との判断を据え置いた。

 観光関連業種の景気の現状認識は次の通り。

 岩手・宮城地震の風評被害やガソリン価格の高騰に伴い、旅行マインドが著しく低下し、8月は前年比で30%の減収。9月の予約も大幅に減少している(東北の観光型旅館)▽前年は世界陸上の影響で宿泊は好調だったが、今年は個人予約の伸びが非常に悪い。レストランは来客数が今年も減ったほか、原材料の値上がり分を販売価格に転嫁できないなど、厳しい状況が続いている(近畿の都市型ホテル)▽例年だとお盆などの旅行について、個人客は需要が比較的多かったのだが、今年は旅館などに空室があり、例年の半分以下の状況(中国の旅行代理店)▽松山・道後は「坂の上の雲」プロジェクトや道後温泉周辺の整備により、ある程度賑わいもあり、日帰り客は増えているが、宿泊客が伸びない(四国の観光型旅館)▽観光施設はNHK大河ドラマの効果がかなりあるが、それを除くと景気は後退している。ゴルフ場は相変わらず料金の競争があり、入場者はほとんど変わらない(九州の観光名所)▽前年に比べ台風の影響がなかったため、稼働率も順調に推移した。現在のところ9月も前年の受注を上回っている(沖縄の観光型ホテル)

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