群馬県温泉協会の岡村興太郎会長(同県みなかみ町、長寿館社長)はこのほど、源泉の“健康状態”を管理するコンピューターソフトを開発した。定期的に調べた源泉の温度や静水位などさまざまな情報を管理、蓄積できるため、源泉そのものの「変調」が分かるほか、周辺での工事や地震が与える源泉への影響などもチェックできる。源泉データ管理を手軽にできるようにすることで、源泉所有者の源泉保全や適正利用に対する意識を高めたい考えだ。 「温泉健康診断システム」は、岡村会長がコンピューターシステム研究所(福島県郡山市、滝田一人代表取締役)と共同で開発した。源泉所有者が各自で測定した温泉の温度や含有成分量などを入力するだけで測定データを自動保存、管理できる。蓄積したデータはグラフや相関図の形で過去の温泉情報と比較でき、「温泉の異常や変調をつかめる」(岡村会長)。複数地点の調査データの管理もできるので、周辺の温泉地のデータを比較することも可能だ。 源泉所有者には、大深度での温泉掘削などが既存の源泉からの温泉湧出に影響を与えるとの意見もある。しかし実際の影響を立証できるような調査データを蓄積している源泉所有者や自治体はほとんどないことから、岡村会長は同ソフトの開発を決めた。岡村会長は「自分の源泉は自分で守るという意識が(源泉所有者には)もっと必要」と強調したうえで、「ソフトの導入で源泉データの蓄積がしやすくなる。こまめに源泉の状況を調べ、データ化してチェックすることで、源泉の使い方や保全の仕方について考えるきっかけとなれば」と話す。 ソフトは10月から本格的に販売する予定。共同出資者を幅広く集めて販売価格を抑え、数多くの各温泉地の保健所や温泉協会、旅館での導入を目指す。様々な源泉のデータを集めてもらうことで、専門家らが同じ温泉地内や異なる温泉地同士のデータを比較できるようにし、温泉資源の実態や地震との関連性の解明にも役立てたい考えだ。 ソフト販売で得た利益のうち、岡村会長分については群馬県温泉協会の収入とし、同協会の経営的な自立も目指す。 100本程度の販売を目指す。価格は未定。
広告のキャッチコピーは、時に商品やサービスの売れ行きを大きく左右する。JTBグループの旅の販促研究所は、過去に発表された旅行に関するキャッチコピーの調査を実施し、「旅に行きたくなる」という観点からベスト10を発表した。阪神航空の2000年の「世界遺産の旧市街そこは『魅惑の迷宮』」がベスト1となっている。 今回の調査は、海外旅行が自由化された1964年から2006年までの43年間に新聞に掲載された旅行に関する広告のキャッチコピーを年代順にピックアップ。1千本から100本に絞ったうえで、旅行者にアンケート調査を行い、ベスト10を決めた。 1位は、阪神航空フレンドツアーのヨーロッパ旅行商品で使われた。世界遺産、旧市街、迷宮と、旅の旅情を喚起するフレーズが入り、どの世代にも支持された。 2位は全日空の77年の「でっかいどう、北海道全日空さわやかキャンペーン」。40代以上では記憶に留めている人も多い、北海道キャンペーンの名作コピー。「このコピーで北海道に行ったという人も」(同研究所)。特に男性層で人気があったという。 3位は近畿日本ツーリストが92年に価格志向の海外旅行商品で打ち出した「自分が見えなくなったら、世界を見に行きなさい」。学生から30代までの若者の支持を集めた。 4〜10位は別表の通り。クラスター別の順位も発表している 調査の結果は、「キャッチコピーに見る『旅』(旅行に関する広告コピー1000&BEST10)」として一冊にまとめ彩流社から発行した。A5版232ページ。定価は1900円(税別)。