観光庁の長官人事は、国土交通大臣の任命を受けて、9月30日の閣議で正式決定された。 本保長官は、10月1日の専門紙向けの就任会見で「観光庁の使命は、はっきりしている。観光立国推進基本法、基本計画に掲げられた政策目標を実現することだ。そのための組織づくり、運営が私に課せられた仕事。関係省庁はもとより、関係者全体の連携プレーをリードしていく」と抱負を述べた。 長官人事をめぐっては、9月1日の福田康夫首相の突然の辞任表明による政権交代など政局の混迷もあり、民間人の起用も視野に調整は直前まで続いた模様だが、有力候補の1人とみられていた本保氏に決まった。 本保氏は昨年7月に総観審に就任し、観光庁の新設や観光圏整備法の制定などに尽力した。観光庁の発足に向けた準備では、「観光に関する懇談会」を設置して組織運営のあり方などで有識者から意見を聞いた。訪日外国人旅行者誘致1千万人の先を見据えた政策立案では、政府の観光立国推進戦略会議の提言に基づいて、2020年に外国人旅行者を2千万人にする中長期戦略の策定に取り組み始めていた。 観光庁長官には、官民を挙げた観光立国の推進にリーダーシップの発揮が期待されている。観光庁の創設は、観光産業界、観光関係者の念願だっただけに、新組織の基礎を築く初代、本保長官の手腕に大きな期待が集まりそうだ。 ◆本保芳明氏(ほんぽ・よしあき) 東京工業大学大学院理工学研究科修了。1974年運輸省入り。運輸政策局観光部企画課長や海事局総務課長などを経て、01年7月に大臣官房審議官(海事・港湾局担当)、02年7月に同(総合政策局、航空局担当)03年4月、日本郵政公社理事。07年7月から総合観光政策審議官。新潟県出身。59歳。
観光庁は、定員103人の体制で発足した。従来の国交省観光部門79人から人員を拡充。幹部4人と6課4室、2参事官の体制になった。(人事のカッコ内は前職) 幹部クラスは、長官に続く次長に神谷俊広氏(自動車交通局次長)、審議官に西阪昇氏(大臣官房審議官・観光担当)、観光地域振興部長に大黒伊勢夫氏(船員中央労働委員会事務局長)が就任。 総務課長には花角英世氏(観光政策課長)が就任。同課の企画室長に加藤進氏(大臣官房総務課企画官)、調整室長に山田信孝氏(船員中央労働委員会事務局総務管理官)が就いた。 観光産業課長は加藤隆司氏(観光事業課長)、国際観光政策課長は久保田雅晴氏(観光政策課企画室長)、国際交流推進課長には平田徹郎氏(国際観光課長)、国際交流推進課の外客誘致室長には勝又正秀氏(観光経済課観光交通政策推進室長)が就任した。 観光地域振興部の下に置かれる2課では、観光地域振興課長に笹森秀樹氏(観光地域振興課長)、同課地域競争力強化支援室長には服部真樹氏(観光地域振興課観光地域活動支援室長)。観光資源課長には水嶋智氏(観光資源課長)が就いた。 国際会議担当参事官には大滝昌平氏(観光経済課長)、観光経済担当参事官には矢ケ崎紀子氏(日本総合研究所主任研究員)が就いた。 観光庁の所在地は、中央合同庁舎3号館3階で、国交省観光部門があったフロアと同じ。
国土交通省は9月30日、今年6月の国土交通月例経済の概況を発表した。主な動向は次の通り。 【鉄道旅客輸送】 JR旅客6社の輸送実績は前年同月比0.4%増の7億5608万5千人となり、29カ月連続の増加。このうち、新幹線旅客は0.4%増の2235万1千人だった。一方、民鉄は1.7%増の12億380万5千人で、2カ月連続の増加。 【航空旅客輸送】 国内線9社の輸送実績は3.2%減の730万2千人。このうち幹線は前年並みの300万5千人、ローカル線は5.3%減の429万7千人。国際線は7.1%減の134万4千人。 7月速報では国内線が0.8%増の778万人で、うち幹線は3.2%増の321万4千人となったものの、ローカル線は456万6千人で、10カ月連続の減少となった。国際線は6.6%減の145万人。 【フェリー輸送】 長距離の全旅客数は8.8%減の18万7千人、7月速報でも2%減の27万人となり、6カ月連続の減少。 【出入国】 出国日本人数は7.2%減の128万3千人。7月速報でも4.4%減の135万1千人となり、15カ月連続で減少している。燃油サーチャージの高騰などが影響していると見られる。 一方、訪日外客数は7.9%増の68万1900人と引き続き好調。7月速報では2.2%増の82万5400人。なお、07年度第4四半期の宿泊施設の外国人割合は7.4%に。