日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ、舩山龍二会長)は9月29日、福岡市で産学連携オープンセミナーを開いた。ツーリズム産業界に関心がある九州在住の大学生や会員企業の社員など約250人が参加した。 九州観光推進機構(会長・田中浩二JR九州相談役)との共催。福岡で同セミナーを開いたのは初めて。江頭ホスピタリティ事業振興財団の事業活動から一部助成を受け実施した。 基調講演は「観光産業の現状と将来」と題して舩山会長が行い、また日本政策投資銀行参事役の藻谷浩介氏が九州に焦点を絞り、地域活性化のあり方について述べた。 講演の中で舩山会長は、旅行者に連泊してもらえる観光地づくりの必要性を説いた。 セミナーセッションでは大分県別府市の観光カリスマ・鶴田浩一郎氏、NPO法人ハットウ・オンパク・スタッフの森淳司氏らが地域の現状と活性化の成功例などを紹介した。 TIJは産学連携事業の一環として、毎年2月に東京で同セミナーを開いているが、福岡での成功を踏まえ「来年も九州で開く予定」(事業部)だ。
国際観光旅館連盟の佐藤義正会長は4日、立教大学観光研究所の「ホスピタリティ・マネジメント講座」で「旅館経営の課題と展望」をテーマに講義した。佐藤会長は、旅館自身が独自に営業力を高め販売力を付けることの重要性を指摘したほか、旅館に行くこと自体が旅行目的となるよう、文化発信の場としての旅館の魅力を向上させなければならないと強調した。 旅館経営の現状について佐藤会長は、ピーク時に集中していた利用客が分散化することで必要な客室数が減り、客室の供給過剰状態となっていることに触れ、「営業力のある旅館にだけ人が集まることで、営業力がない旅館が安易な価格競争に走っている」と指摘。宿泊単価の低下が旅館経営に悪影響を及ぼすことを具体的な数字を例示して説明した。さらに地域色ある旅館づくりや和室へのベッド導入など市場ニーズに合った旅館づくりにより、客数を減らしても宿泊単価をアップするべきとしたほか、館内消費に頼らず室料で経営を安定させる必要性を説いた。また佐藤会長は、源泉かけ流し温泉への関心の高まりから自館で新たに掘削した温泉について例に挙げ、旅館の価値向上のための方策やその苦労も紹介した。 旅館の今後の方向性については、インバウンド、リピーター、滞在型の利用客の取り込みが重要になってくると指摘。そのためにも室料、食事代を明示したり、食事や滞在方法の選択肢を増やしたりして、泊食分離を実現する必要性を訴えた。 90分にわたる佐藤会長の力のこもった講義に、受講生50人は聞き入っていた。 ホスピタリティ・マネジメント講座は1946年に始まった「ホテル・観光講座」を前身とする講座。社会人を含む64人の受講生は、3カ月全35回の講座を受講する。佐藤会長は06年から同講座で講師を務めている。