神戸コンベンション誘致協議会(事務局・神戸国際観光コンベンション協会)は10月28日、首都圏誘致キャラバン隊を結成し、JTB法人東京やKNT、観光庁、観光経済新聞社を訪問した。これまで観光誘致を目的とした誘致キャラバンは実施していたが「コンベンション誘致に特化したのは初めて」という。 同誘致協議会は、官民一体となったコンベンション誘致活動を展開するため、クラウンプラザ神戸やホテルオークラ神戸など市内大手ホテル6社が参画し、06年5月に発足。誘致情報の共有・窓口の一本化、受け入れメニュー一覧の作成とPR、誘致キャンペーンへの共同出展──などが主な活動。 神戸市の国際コンベンションの開催件数は06年で183件。東京、京都、福岡、大阪、名古屋に次いで6番目に位置し、03年(168件)から4年連続で増加しているものの、「街ぐるみで対応できる神戸の良さを(東京の)旅行会社やマスコミに訴え、開催件数をさらに増やしていきたい」(同協会)と意気込む。 キャラバン隊によると神戸コンベンションセンターから30分圏内に46ホテル、総客室数7200室が集積、6ホテルだけで約2500室が確保できる。「移動に伴う費用や時間がかからず、効率的な運営ができる。観光資源も豊富にある」と自信を示す。 また、助成金制度も充実し「今年から最高額1500万円(従来は1千万円)まで補助できる」ようにした。 コンベンション誘致は他都市との競争が激しい分野だが、ハード、ソフト面の良さをアピールし神戸での開催を呼びかけていく。
07年の東北6県の観光客の入込数は、前年比1.1%増の2億8700万人だったことがこのほど、東北観光推進機構のまとめで明らかとなった。各デスティネーションキャンペーン(DC)でのPR活動などが奏功した。同機構に参画する新潟県を含めた場合の東北地域の入込数は、3億5546万人で、同0.1%減だった。 同機構に参画する東北6県と新潟県が発表した観光統計をもとに算出した。県別では、青森(前年比1.1%増)、岩手(同2.7%増)、宮城(同3.8%増)、福島(同1.3%増)の4県が前年実績を超えた。同機構では、NHK朝の連続テレビ小説「どんと晴れ」の放映や、7〜9月に実施した北東北DC、10〜12月に実施した仙台・宮城DCによる宣伝活動が集客増につながったとみる。東北全体としては低成長ながらも景気回復傾向が続いたことが、消費者を旅行へ後押ししたと分析する。ただ、秋田(同1.7%減)、山形(同1.3%減)は前年割れした。 一方で、新潟県の観光客の入込数は、中越沖地震の影響から7月以降大きく落ち込み、11月以降は回復傾向となったものの、通年では前年比5.0%減の6847万人となった。
国土交通省東北運輸局は10月31日、JR盛岡駅を中心に、外国人モニターが構内の案内標記や外国語表記などをチェックする「外国人による『ひとり歩き点検隊』」事業を実施した。「全体的にサイン(英語)の字が小さい」「(JRの)上りと下りの意味が分からない」といった外国人ならではの厳しい意見が出た。 点検隊事業は06年3月の成田空港を皮切りに、全国の国際空港や外国人の利用が多い京都駅などで実施されてきた。同局管内では07年12月に青森、秋田、仙台、福島の4空港で実施された。 今回の事業では「一度ツアーで日本を訪れたことのある外国人旅行者が今度は1人で宮城、岩手を巡る旅にきた」というシチュエーションで、東北新幹線で仙台駅から盛岡駅へ到着し、盛岡市内の観光を楽しんだ後、在来線で小岩井農場を目指すコースを設定。盛岡駅と乗り継ぎ交通機関(バスやタクシーなど)までの案内標記、外国語表記についてチェックした。 参加したのは盛岡市や秋田市在住の留学生などで、中国、台湾、韓国、英語圏の4カ国、各2人の計8人。 盛岡駅構内では「新幹線乗り場にも地図がほしい」「自動発券機に中国語の切り替えがほしい。英語しかない」「案内板の高さがバラバラで見づらい」「案内板にハングル語が入っていたり、なかったりなのでばらつきを感じる」などの意見があった。 また、バスやタクシー乗り場についても「サインが小さい」「高速バスと路線バスの区別がつかない」など、日本人には当たり前のことが外国人には理解できず、説明不足にある現状が浮き彫りになった。 同局では意見を参考に、関係者と連携を図りながら施設整備を進めたいとしている。
国土交通省は、離島振興に向けて、暮らしを映し出した次世代に引き継ぎたい島の景観を「島の宝100景」として選定する。離島の魅力を広く紹介することで、観光の活性化や移住の促進などに活用する。離島の住民だけでなく、一般からも候補地を募集している。応募は来年1月15日まで。選定結果の公表は3月を予定している。 募集する景観の事例は、(1)人々の営みとともに守られている自然の景観(2)島の歴史や伝統文化を反映した景観(3)漁業、農業をはじめ島の産業に関連した景観(4)街並みや集落、日常の営みなど島の暮らしが伝わる景観(5)地域の活動など島の新しい文化が息づく景観──など。 選定にあたるのは、観光や民俗学、写真などの専門家7人。選定委員会の委員長には、「釣りバカ日誌」などで知られる漫画家、北見けんいち氏に依頼した。 応募方法は、所定の用紙に必要事項を記入し、対象とする景観が分かる写真を添付して、郵送またはメールで提出する。写真自体の芸術性などは評価の対象外だが、未発表の作品に限る。 詳細は、国交省都市・地域整備局離島振興課のホームページまで。
岐阜県飛騨市は、景観の保全と地域活性化を狙い、古民家を改装した宿泊施設の試験的な稼働を10月12日から始めた。運営は地元組織による指定管理制を導入する考え。運営方法などを探り、来春の本格営業を目指す。 同市は昔ながらの風景を継承するため、市内にあった木造2階建ての古民家1棟と板倉3棟を約1800メートルの同市宮川町に、移築した。移築、改装にかかった総事業費は、約1億7900万円。 宿泊施設となる古民家にはいろりの板の間やフロント、台所、13人収容可能の和洋4室を設けた。日帰り用のコテージとして板倉を利用する。 同市は試験的な宿泊稼働で、週末を中心に農村体験や保全活動をする人を受け入れている。11月15、16日には伝統行事「花もち飾り」を行い、1泊1万円で宿泊してもらう予定。宿泊稼動の試験を経て、運営コストや運営方式を探っていく方針。「地元の組織に管理者となってもらい、都市から来た人達との交流の場などにも活用してもらいたい」と話す。