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  トラベル ■第2493号《2008年11月22日(土)発行》  

KNTが次期中経、1兆円企業へ基盤整備


 KNTは11日、09〜11年の3カ年にわたる次期中期経営計画を発表した。創立60周年を迎える2015年から、グループ事業規模1兆円達成への取り組みを始めることを盛り込んだ計画内容。利益性の向上や成長分野への経営資源の投入、異業種他社との積極的な協業、提携、M&Aなどを進め、安定的な利益を生み出せる基盤づくりを行う。業績目標は、計画最終年である2011年の売上高合計がKNTグループ合計で7420億円(08年見込み6885億円)、経常利益が40億円(同38億円の損失)。

 発表した中期経営計画は、08年から15年までの7年間を、今年1月に実施した事業別再編を起点とした新たな事業基盤による成長期間に設定。09〜11年は利益確保のための態勢と成長基盤の構築を図る期間、12〜14年には事業の選択と集中と、グループ内ネットワークの拡充による成長戦略の実行期間と位置付けた。15年からは、新たな企業ビジョンとして掲げた「旅を基礎として世界中に『豊かな時空間』を創造する企業グループ」として、取扱高で1兆円規模の企業グループを目指す考えだ。

 次期中期経営計画では具体的に(1)中核事業(個人、団体旅行)での専門性、独自性、効率性の追求による安定的な利益確保(2)グローバル、MICE、eコマースの各市場への重点的な投資と成長基盤の構築(3)KNT、近鉄の各グループ力を生かした新たなプラットフォーム戦略(4)マーケット集中が進む首都圏への経営資源投下──の4つを基本方針に掲げた。

 このうち中核事業と位置付ける個人旅行では、仕入れ、造成、販売の一体化による効率化を推し進める。また、訪日外国人FIT市場の拡大を見据え、国内市場向けの仕入れと外国人市場向けの仕入れの一本化を行い、外国人向けパッケージ商品の開発や、宿泊予約サイトの多言語化、国内宿泊券の、英語圏、中国語圏、韓国語圏での販売も始める。

 個人旅行のうち国内商品ブランド「メイト」については、ウェブ、店頭、電話などの顧客との接点の融合を進めることで販売チャネルを拡充するほか、同社ウェブサイトへ掲載するメイト商品の充実も図る。

 成長市場に位置付けたグローバル、MICE市場では、近鉄グループの資源を利用した営業展開や海外有力旅行会社との提携などを進め、外国間旅行市場の取り込みも図る。また、同社が強みを持つ大型国際スポーツイベント市場での需要取り込みへの動きも加速する。

 市場の集中が進む首都圏への経営資源投下を進め、首都圏発の商品の拡充や、店頭販売部門では、不採算店の迅速な撤退を進めるとともに、首都圏への出店の加速を行う。

 なお次期中経期間では、120人程度の人員削減を予定。中核事業の人員を絞り込んで効率化を図ったうえで、成長市場への人員注入を行う考えだ。

 12日会見した内田安次副社長は、「1月の事業別再編に基づき、事業ごとの専門性を高め、安定的な利益を生み出せる態勢づくりを進める。何としてもこの計画をやりとげる」と意気込みを示した。

 同社は11日付で経営企画部を廃止し、吉川勝久社長を本部長とした経営戦略本部を新たに置いた。取締役、執行役員を中心に構成した。経営戦略本部を中心に、KNTグループ全体の基本戦略の策定や中期経営計画を社長主導で強力に推し進める構えだ。

スポーツイベント 準備室を設置
 KNTは11日、国際スポーツ大会の観戦チケットや宿泊、輸送に関する業務を手掛ける部署「スポーツイベント準備室」を4日に設置したことを明らかにした。09〜11年の次期中期経営計画で進めるMICE市場への注力の一環。

 同社はこれまでも、「FIFAワールドカップ南アフリカ2010」での観戦チケットやスタジアムでの飲食などをパッケージ化し企業などに販売する「公式ホスピタリティプログラム」の日本独占公式代理店や、10年のバンクーバー冬季五輪の日本オリンピック委員会(JOC)の公式代理店となるなど、スポーツイベントの取り扱いのノウハウを蓄積している。

 海外旅行部の所属として開設し、来年1月に部レベルの「実施運営部」に格上げする。



エア・ドゥと京急電鉄が共同企画きっぷ発売

 北海道国際航空(エア・ドゥ)と京浜急行電鉄は17日、共同で「京急&ADO連絡きっぷ」を発売すると発表した。「航空と鉄道がセットになったきっぷは日本初」(エア・ドゥ)という。

 エア・ドゥ就航10周年と京急羽田空港駅開業10周年を記念した共同企画きっぷ。新千歳空港から羽田空港までの片道搭乗引換券と、羽田空港駅から品川駅または横浜駅間の京急乗車券がセットになっている。「1枚のきっぷで新千歳から品川、横浜駅まで乗り継ぎでき、そのつど各きっぷを買う必要がなく、スムーズな移動ができる」(同)。

 価格は1万8千円(旅客施設使用料込み)。発売枚数は5千枚。有効期間は18日から12月17日まで。エア・ドゥの札幌ポールタウンカウンタ、新千歳カウンター、京急の品川、横浜両駅で販売している。



KNTとクラブツーリズムが業務提携

 KNTとクラブツーリズム(CT)は11日、業務提携の締結に合意した。旧来型の国内旅行市場の縮小と、ニューツーリズム、訪日外国人旅行市場の新たな市場の活性化など、激変する市場に対し、両社それぞれの強みを生かしたビジネスモデルの構築や収益力の強化を図るのが狙い。CTがKNTから分離独立して以来4年半、両社は再び1つになる可能性が出てきた。

 個人旅行に強みを持つKNTと、「旗持ち」といわれる添乗員付き旅行に強みをもつCTが、それぞれの得意分野を生かして商品を販売し合うことで、収益力の拡大を図る。また、地方での交流人口拡大に向けたコンテンツやインバウンド向けコンテンツ、サービスの開発・提供も共同で進め、新しいビジネスモデルの構築を図る。

 このほか、チャーター便の共同運行やイベントの共催、ニューツーリズムや富裕層向けサービスといった成長分野への共同営業も行う。共同仕入れによる仕入れ力の強化と効率化も図る。グループ会社の共同利用なども進める方針。

 12日、東京都千代田区のKNT本社で開いた会見で、内田安次同社副社長は「(合併は)相手のあることだが、検討課題の1つではある。前向きにはいろいろな形で進めたい」と語った。これに対しCT広報課は「あくまでも今回は業務提携」とコメントした。

 CTは、00〜03年までKNT社長を務めた高橋秀夫氏を会長に04年6月、KNTからクラブツーリズム事業の営業譲受を受け新会社として発足したが、今年8月に近鉄がCT株を取得して保有比率を78.4%まで高め、子会社化した。一方のKNTは、近鉄の同社株式保有比率が12.51%のため関連会社に過ぎないが、今年1月、当時近鉄の副社長だった吉川勝久氏が社長に就任、合わせて山口昌紀近鉄会長がKNT会長に就いており、両社において近鉄の発言力は強まっているものとみられる。

 収益力の弱い旅行業をグループ内に2社持つ近鉄が、どのような形でテコ入れするのか、今後の動向が注目される。
 KNTが11日発表した次期中期経営計画(09〜11年)にはCTとの業務提携に関しては盛り込まれていないが、KNTでは、今後両社間でまとまった具体的な業務提携内容や提携が業績に与える影響などについては、適宜開示するという。



JTB、るるぶトラベルに高級宿コーナー開設

 i.JTBは、宿泊予約専用サイト「るるぶトラベル」で、高級宿泊施設に特化した新コーナー「スターコレクション」を開始した。これまで、ビジネス需要の取り込みを軸に展開していたが、レジャー販売を拡大する。

 スターコレクションは、これまでの旅館・ホテルとは異なるトップページを設けて展開。「売れ筋」や「女同士で泊りたい」などのランキング表示も実施する。

 当初の掲載施設数が約300軒。来年3月末までに約500軒を見込んでいる。



日本旅行、新宿に欧州ツアー専門店

 日本旅行は11日、ヨーロッパパッケージツアー専門店「新宿支店ヨーロッパプラザ」を現新宿支店の4階に開設した。現役添乗員による旅行相談の実施や、政府観光局などとのタイアップによるイベントを行うなど、情報発信機能を強化した。

 同社専属のヨーロッパに精通した現役の添乗員が営業時間中に滞在。旬の添乗員ならではの情報を提供。顧客からの旅行相談にも応じる。

 欧州の各政府観光局や州、市、航空会社とのタイアップにより、映像配信、資料提供、店舗装飾などを行う。オープニングとして来年1月31日までの約80日間、スペイン政府観光局の協賛でスペインフェアを行う。

 このほか顧客との双方向コミュニケーションを重視し、旅行相談会を15人前後の少人数で実施。顧客の趣味や志向に合わせたセミナーも開催する。専用のホームページを立ち上げ、インターネットによる旅行相談にも応じる。

 所在地は〒160-0022 東京都新宿区新宿3-36-5、市嶋ビル4階。


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