茨城県石岡市は廃校となった小学校を農村体験型観光施設として再生、地域活性につなげる試みを開始した。11月24日の開校式には東京の旅行会社やマスコミ関係者らを招き、施設の披露や体験メニューの紹介、地元食材を使った料理を提供した。開校に合わせてプレスツアーを実施したKNTでは来年春の旅行商品化を目指している。 この施設は「朝日里山学校」。04年3月に閉校した朝日小学校を「昭和時代の歴史遺産として保存しつつ、観光拠点として活用できないか」という案が地元で浮上。案は中小企業庁の地域資源∞全国展開プロジェクトに認定され、腰板の張り替えや外壁塗装など修築が行われた。 校庭内には料理教室のできる調理室やかまど、ピザ焼き用の石窯なども設置された。 開校式では、校舎内にミニ門松作り、半田ごてで板にデザインするウッドバーニング体験、陶芸体験の各体験会場をオープンし、校庭ではピザ焼きの体験・試食、いのしし鍋、かまど焚きの新米試食会などのほか、農産物直売も行われた。近隣住民も参加し、賑わいを見せた。 「安心安全な地元食材を活用した食の提供とともに、さまざまな体験メニューを作り、何度でも訪れてもらえるような施設にしたい」と横田凱夫市長は強調する。 里山学校は宿泊施設を持たないため、当面は近隣の国民宿舎やオートキャンプ場をセットにし、受け入れる意向。将来的には「茅葺き民家を含めた民泊を検討する」という。 また、体験教室の料金は材料費、指導料、施設使用料を含めてメニューごとに1人当たり料金を設定、「最終決定ではないが、1千〜3千円の料金帯を基本にしたい」としている。 体験型観光に目を向ける自治体は少なくない。里山学校ならではの特色をどう打ち出し、アピールしていくのか。運営になれていない面も垣間見られていただけに、本格誘致に向けた態勢整備、情報発信、エージェント対策などが求められていると言えそうだ。
「伊勢志摩キャンペーン2008創作料理展in鳥羽」が11月24日、三重県鳥羽市の鳥羽商工会議所で行われた。来年3月末日まで展開されている伊勢志摩キャンペーンの一環。知事賞に13の賞、特別賞を14の賞を設け、審査の結果、計68作品が入賞した。 創作料理展の目的は、(1)伊勢志摩の旬の食材を観光客に手軽に味わってもらえるようなメニューの発掘(2)観光地としての知名度アップ(3)高校生や一般からの参加を募ることで「旬の素材を使った伊勢志摩弁当」創出(4)一般・高校生とプロの調理師との交流、意見交換による人材育成──など。 調理人部門では、旅館・ホテルなど34事業者から、追加料理(2千円、3千円)、郷土料理、自由出展の4分野に約90点が出展された。一般・高校生部門の弁当部門には約50点が並んだ。 伊勢志摩地域を代表する伊勢エビや牡蠣のほか、一般にあまり知られていない志摩産アオサなどさまざまな食材が使われた。各旅館の調理人らが、ひと目で伊勢志摩と感じられるような演出や盛り付け、器などに工夫を凝らした。 追加料理部門の入賞作品は、レシピが公開されるほか、伊勢志摩地域のキャンペーン協賛旅館・ホテルで、来年1月から3月まで販売される。一般・高校生部門の応募作品で入賞した弁当の中から選ばれたメニューは東海地域のサークルKサンクスの対象店舗で来年1月から3月まで販売される予定。 県知事賞のうち、調理人部門の受賞者は次の通り(敬称略)。 追加料理・2千円 「するめ烏賊姿焼き肝ソース添え 安楽島牡蠣三色焼」岩城和也(鳥羽ビューホテル) 追加料理・3千円 「鮪 大漁 ハリハリ鍋」古田勝徳(戸田家) 自由出展 「御吸物十二ヶ月」木場裕郎(戸田家)▽郷土料理「秋の伊勢志摩散策」中山直紀(鳥羽ビューホテル)
山形県庄内地方の旅館女将らが結束し、このほど「やまがた庄内たび宿おかみの会」を立ち上げた。JRグループが来年10月から実施する新潟デスティネーションキャンペーン(DC)を見据え温泉や観光魅力をアピール、集客増を目指す。 11月26日、会の代表を務めるあつみ温泉つたや長兵衛の斎藤篤子さんや湯の浜温泉海辺のお宿一久・木村君子さん、庄内湯田川温泉甚内旅館・大塚せつ子さんらが観光経済新聞社を訪ね、意気込みを語った。 おかみの会は斎藤さんらが中心になって呼びかけ、町家を含めた43軒が入会した。斎藤さんが「庄内地方は日本の原風景が残っており、おいしいお米とお酒、豊富な温泉量が自慢です」と述べれば、大塚さんは「おかみ乃おへぎ(お盆)」(庄内ならではの旬の素材を使った料理を夕食時に小鉢3品をおへぎに乗せて提供)、木村さんは湯野浜温泉の夕陽の美しさをアピールした。 新潟DCでは庄内地方も対象エリアとなっており、地元では「庄内新潟DC推進協議会」を立ち上げ、DC成功に取り組む。
愛媛県松山市と松山観光コンベンション協会は1日から6日間、JR新宿駅西口広場イベントコーナーで「松山の物産と観光展」を開いた。来秋のNHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」の放映告知をメーンに、松山の食や観光魅力を乗降客らにアピールした。 東京での開催は昨年に続き2回目。観光経済新聞社後援。1日には中村時広市長、中山弘子新宿区長らが出席、テープカットを行った。 主催者を代表してあいさつした中村市長は「ドラマの放映で松山が観光スポットとして注目を集めることが期待される。このイベントを通じ多くの人に松山を知ってもらうべく、大いにアピールしていただきたい」と出展者を激励した。 中山区長は夏目漱石を通じ、新宿と松山の縁が深いことを強調。その上で「新宿駅は1日350万人の乗降客がいる。大きな声で松山の魅力を伝えて」と述べた。 観光コーナーでは観光案内パンフレットの配布やポスターの掲示、DVD上映をはじめ、ドラマのロケ風景を紹介したパネル展示も行った。
おかやま観光コンベンション協会は11月27、28日、報道関係者を対象にプレスツアーを実施した。岡山市は来年4月1日に政令指定都市に移行することが決定、これを機に観光振興への取り組みを本格化させる。プレスツアーのテーマも「岡山の魅力 再発見」として、さまざまなテーマや体験、ガイドを組み合わせたコースを提案した。 初日は本殿の屋根に千鳥破風が2つ並ぶ「吉備津造り」(比翼入母屋造)で国宝に指定されている吉備津神社を見学。同神社は半世紀ぶりに檜皮葺き替えを行い、本殿内部も赤漆を塗りなおしたばかりで、多くの参拝客を魅了しているという。 次いで足守陣屋町散策と備中高松城址をガイドの案内で見学。足守陣屋町は豊臣秀吉とねねのゆかりの町で県の町並み保存地区に指定されいる。土蔵造りの旧家、武家屋敷、庭園、昔の商家、足守文庫など情緒あふれる町並みが魅力。また県内では足守メロン(マスクメロン)の産地と知られ、100%生のメロンジュース(500円)が人気となっている。 2日目は「岡山市内街歩き、備前焼体験、後楽園見学、岡山城での殿・姫変身体験」と「西大寺、緑化フェア会場視察、犬島アートプロジェクト」の2班に分かれた。 西大寺コースでは西大寺と周辺の門前町、映画「ALWAYS三丁目の夕日」のロケ地を見学。犬島の犬島アートプロジェクト「精錬所」は、近代化産業遺産として07年経済産業省に認定された銅の精錬所の遺構をそのまま残しながら蘇らせた建物。運営は、直島福武美術館財団。直島(香川県)を舞台した「ベネッセアートサイト直島」で行ってきた現代美術による地域振興プロジェクトに次ぐもの。今年4月に第1期工事が竣工した。鑑賞は予約制の見学ツアーで1日90人の受け入れとなっている。 行程の最後には岡山コンベンションセンターで、高谷茂男岡山市長をはじめ、市観光課、おかやま観光コンベンション協会と意見交換会が行われた。交換会では、視察先の魅力や岡山の食、情報発信の方法について意見が交わされた。
栃木県日光市の湯西川ダムで、国土交通省の観光活性化実験として運行していた水陸両用バスのツアー終了に伴い、地元の観光関係者や行政らでつくる水陸両用バス導入協議会メンバーと湯西川温泉旅館の女将ら9人が1日、観光庁の本保芳明長官を表敬訪問した。訪問団は、116日間の乗車率が77.9%に上ったことなどを報告した。 同協議会の湯西川温泉旅館組合・山城義宣組合長(彩り湯かしき花と華)が「1万5千人以上が乗車した。水陸両用バスは大変な人気」と説明すると、本保長官は「宿泊客の誘致にも結びついたと聞いている」と成果を確認し、庁舎の駐車場で水陸両用バスを視察した。 水陸両用バスでダム湖遊覧を楽しむツアーは、昨年に続き活性化実験として実施された。期間は7月19日〜11月30日で、料金は大人3千円、子ども2千円だが、1万5332人が乗車した。参加者へのアンケートなどを集計し、2011年度のダム完成に向けた本格導入を検討する。