政府が12月24日に閣議決定した09年度予算案で、観光庁予算は前年度当初予算比1%減の63億700万円となった。日本政府観光局(JNTO)の運営費交付金や行政経費を除いた、各種施策に充てる事業費は、前年度とほぼ同額の40億1900万円。観光庁として初めて迎える新年度予算は、支出削減が求められる予算編成作業の中で、前年度並みを確保するのにとどまった。一方で観光圏の整備には、前年度の約2倍にあたる5億8300万円が計上された。
観光庁予算案について観光庁総務課の岩城宏幸企画官は「公共事業費並みの3%削減、重点化枠のための2%の追加削減など、厳しいシーリング(概算要求基準)が出発点だったが、何とか前年度とほぼ同額を確保できた」と説明した。
しかし、概算要求で要望していた、観光地づくりの評価手法を研究するための調査事業費1千万円、障害者などの旅行環境を整備するユニバーサルツーリズム促進事業費1千万円の予算化は認められなかった。
前年度当初予算比109%増と大幅な上積みとなったのが観光圏整備の推進費。08年度に認定した16観光圏を継続して支援するほか、新規に同数程度の観光圏を認定する見通し。このほかに09年度からは観光庁予算とは別に、観光圏内の港の旅客ターミナル整備に国土交通省港湾局の事業費を活用できるようにする。
施策別で最も予算規模の大きいビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)の推進費は、30億円を割り込む29億1700万円で4%の減額となった。2010年外客1千万人の目標達成と、その先の誘致拡大を見据えた「アップグレード・プロジェクト」として重点市場ごとの特性を踏まえたプロモーションなどを促進。他省庁と連携した日本文化の情報発信、青少年交流も強化する。
08年度から予算化された国際会議の開催・誘致の推進費は、2%減の3億6300万円。国を挙げて誘致や開催を支援するほか、国際会議の経済効果を試算する推計モデルを策定する。
3年目を迎えるニューツーリズム創出・流通促進事業は、14%減の4800万円。公募方式で新しいビジネスモデルづくりを支援する観光産業イノベーション促進事業は、17%減の1700万円となった。
補正予算案に観光圏整備費
政府は、通常国会に提出する08年度2次補正予算案の中に観光圏整備の事業費として5千万円を盛り込んだ。
観光圏整備の事業費は、「地方の底力の発揮」の項目の中で、地域活性化対策として計上。08年度に認定した観光圏への補助金に充てる。 |