旅行会社 KNTによると、メイト商品(12月単月)は人員ベースで前年比約5%のマイナス。方面別では北海道が約2%増だったものの、九州や沖縄は減少。宿泊企画商品は全体で約9%減となった。その一方、年末年始の卒業旅行は好調で、「首都圏発大阪方面への商品は前年の倍」と言う。スキー商品は12月が約7%、1月は約10%の減少だが、「首都圏、中部マーケットでは東北や上越、関西マーケットでは信州などが好調」。また、東京ディズニーリゾート商品はディズニーランドホテルのオープンにより「関西、中部からのお客さまが伸びている」。 「12月出発は好調、1月に入ると不調」と言うのは日本旅行。販売額は12月25〜31日が前年比20.3%増なのに対し、1月1〜4日は20.4%減。トータル4.2%増。首都圏、北海道、中四国、東北方面が好調だった。また「個人型フルセット旅行(交通、宿泊、食事などが選べるプラン)の扱いが増え、フリープラン型は前年並み」に。 阪急交通社の実績は人数ベースでほぼ前年並みに推移したが、北陸・甲信越、東海、九州方面は2ケタの増加となった。対して、北海道は航空会社の減便・減席で苦戦。 クラブツーリズムは前年比約1%減。「休暇期間が例年に比べ若干長かったことを考慮すれば多少(不況の)影響があったのかもしれない」と話す。関東近郊日帰りや、宿泊でも信州など首都圏近距離のバス旅行が比較的安定していたと言う。「バス旅行ではまた、和倉温泉・加賀屋宿泊を含む夫婦限定の新春初夢の旅(3泊4日、2人で15万円)が熟年層に人気だった」。 はとバスの実績は人員ベースで前年比7%増。「不況の影響か、宿泊コースは全体的に集客減となり、宿泊から日帰りにシフトした感がある」と言う。日帰りは長野・諏訪湖方面コースが好調で2ケタのアップ。宿泊では伊良湖・伊勢神宮方面や群馬・草津温泉コースが5〜6%増となった。 JALツアーズの実績は前年比4%増。好調だった方面は関東エリアで30%の増加。売れた商品はTDR商品。景気の低迷で「高付加価値、高品質商品である第1ブランドが不調だった」と言う。 温泉・観光地 観光地、温泉地の年末年始の状況を観光協会や旅館組合に聞いたところ、例年通り堅調に推移した地域がある一方で、景気後退などの影響を受けて厳しい状況となった地域が少なくなかった。 北海道・登別温泉の12月31日〜1月3日の宿泊客は前年比6%減となった。観光協会によると、例年、12月31日は満室となるが、今季は若干の空きが出た。テーマパークは客数が例年より8〜10%落ち込んだ施設もあるという。 例年なら満室となるピーク期に空き室が出たというのは、福島・会津東山温泉や鳥取・皆生温泉も同様。「今までにない状況。やはり景気後退が大きく影響している」(会津東山温泉観光協会)。「降雪を懸念した直前のキャンセルが多かった。例年ならそれほど影響のない天候でもキャンセルになるケースがあったようだ」(皆生温泉旅館組合)。 和歌山・那智勝浦も前期を下回った。町産業課の調査によると、12月30日〜1月3日、旅館・ホテル13施設の宿泊客は前年比2.2%減。一方で日帰り客は、主要観光スポット5地点で0.7%増。熊野那智大社の三が日の参拝客は前年より増えた。「宿泊客は減ったが、景気回復を祈る参拝客は増えたようだ」(町産業課)。 千葉・鴨川も市観光協会の調査で12月27日〜1月4日の宿泊客が前年比3%減、日帰り客が5%減だった。 一方で、前年並みとの感触を得ている地域もある。愛媛・道後温泉は、「景気が悪いとは言え、27日から前倒しで正月のようなムードになり、3日まで大半の施設が満館」(旅館組合)。静岡・修善寺温泉も「休暇が長く取れる分、宿泊に結びついたのではないか」(旅館組合)。神奈川・箱根、長野・昼神、大分・由布院、鹿児島・指宿などの温泉地も順調だった模様だ。 群馬県は、県内9温泉地の12月29日〜1月3日の状況を調査。その結果、宿泊客は前年比0.1%増だった。4大温泉地は、草津2.0%増、水上2.4%減、伊香保0.2%増、四万2.5%増。今期は9日間という長期休暇も可能な日並びで調査期間外に分散した可能性もあるという。県産業経済部観光局観光物産課は「年末年始はリピーターなど固定客、家族客が多く、今期は経済状況を受けて不安もあったが、日ごろの努力が現れ、4大温泉地はほぼ前年並みだった」と分析した。 年始以降の動向を不安視する声も地域からは出ている。「1、2月は連休こそ予約が入っているが、平日は厳しい状況」(会津東山温泉観光協会)、「不景気の影響で旅行を控えるムードが心配だ」(皆生温泉旅館組合)。年末年始を中心にまとまった降雪があった地域が多く、スキー場での集客は期待されているものの、景気後退の影響などが危ぐされている。