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インバウンド ■第2505号《2009年3月7日(土)発行》
訪日外客数、09年目標は835万人
観光庁は、2009年の訪日外客数の目標を835万人とする方針を決めた。ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)開始後、訪日外客は順調に増えてきたが、世界的な景気後退の影響で伸びを見込めず、08年実績(835万2千人)と同水準の目標を掲げるにとどまった。官民のメンバーが出席して3月18日に開かれるVJC実施本部執行委員会(委員長=本保芳明・観光庁長官)で正式決定する。
数値目標は、経済情勢が短期間のうちには回復しないことを前提に設定している。日本政府観光局(JNTO)の海外宣伝事務所などからの報告による市場別の数字の積み上げ、関係機関へのヒアリングなどを基に算出した。
このほか市場予測に関する各種データも参考にした。世界観光機関(UNWTO)は、世界での国際観光の09年の成長率を0〜マイナス2%の範囲と予測。財団法人日本交通公社は、09年の訪日外客数を前年比3%減と予想している。
PRする国内地域 重点市場別に設定 本保長官
観光庁の本保長官は2月25日の定例会見で、「市場予測のデータ、97年のアジア通貨危機の際の市場の動きなどを考え合わせると、835万人には少し足りない数字が出たが、目標数値として背伸びをし、835万人に設定した」と説明した。 09年に訪日外客数835万人を達成できた場合でも、観光立国推進基本計画に掲げた2010年に1千万人の目標を実現するには、09年に対して約20%の大きな伸びが必要になる。
PRする国内地域 重点市場別に設定 本保長官 観光庁の本保長官は定例会見の中で、09年度の海外プロモーション事業について、「日本国内のデスティネーション(具体的な地域)の認知度を向上させるため、VJCの重点市場別に日本国内のどこの地域を訴求するのかを整理して、重点的、効率的にプロモーションを進めたい」との考えを示した。VJC実施本部執行委員会に諮る事業計画の中に盛り込む予定。
重点市場別に国内地域を設定するのは、VJCの事業計画では新たな手法。国内のどの地域をどの市場に訴求するかについては、JNTOの市場分析などを基礎にする。イメージを挙げれば、北海道を舞台にした中国映画が08年末から話題となっている中国に対して、北海道を設定し、それに応じたプロモーションを強化するといったような手法だ。
本保長官は「VJC地方連携事業、地方自治体の取り組みも含めて、資源(予算など)を集中させることができれば、重点的、効率的にプロモーションを展開できるのではないか」と指摘した。
訪日外客、1月は18%減
09年1月の訪日外客数は、前年同月比18.4%減の58万800人となった。日本政府観光局(JNTO)が推計値として2月25日に発表した。国別訪日外客数で最大のシェアを持つ韓国が、円高などの影響で50%以上の減少だったほか、欧米豪も軒並みマイナス。一方で、中国、香港など4市場は前年同月の実績を上回り、いずれも1月としては過去最高の客数を記録した。
韓国、台湾、中国などが旅行シーズンを迎える旧正月の休暇が08年は2月だったのに対し、09年は暦の関係で1月だったため、旅行需要の時期的な移動がプラス要因だったが、景気後退、円高によるマイナス要因の方が大きかった。訪日外客数の減少は昨年8月以降、6カ月連続で、とくに11月以降は2ケタ減が続いている。
市場別でみると、韓国からの訪日客が52.3%減の12万9600人。単月の下げ幅としては1991年以降では最大だった。「他の通貨以上に韓国ウォンの下げ幅が日本円に対して大きく、訪日旅行への影響が甚大だった」(JNTO)。円に対する韓国ウォンの価値は前年同月と比べると、半値近くに下がった。
円高や景気後退の影響を受け、ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)重点12市場のうち、韓国を含めて8市場が前年実績を下回った。主な市場の下げ幅は、台湾が9.0%減、豪州が8.7%減、米国が12.7%減などだった。
これに対して中国は31.4%増の11万400人で、1月としては初めて10万人を突破。旧正月の時期の変動に加え、VJC事業による広告展開などの効果が出たとみられる。北海道を舞台にした中国映画のヒット効果で北海道ツアーが好調だったほか、北京〜那覇間のチャーター便運航で観光客の入り込みが順調だった。
香港は、引き続き沖縄旅行などが人気で34.1%増の4万6600人、1月では初の4万人台に乗せた。このほかシンガポールが35.8%増の9千人、タイが8.5%増の8700人と前年実績を上回った。
日本人の出国数 21カ月連続の減 1月の出国日本人数は、前年同月比12.9%減の117万9千人で、21カ月連続の減少だった。景気後退の影響を受けて消費マインドが冷え込み、海外旅行が低調だった。
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