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観光行政 ■第2505号《2009年3月7日(土)発行》  

経産省、「雇用創出企業1400社」抽出、宿泊施設も
 景気後退に伴い雇用環境が悪化の一途をたどっているが、経済産業省は3日までに、雇用促進策の一環として、採用意欲があり、人材育成に優れた企業を紹介する資料集「雇用創出企業1400社」をまとめた。企業は旅館・ホテルを含むサービス業約570社、製造業約800社などで、1400社が今春以降に予定する求人数は計約6千人に上ると見られる。公表に際し、二階俊博経産相は「これら企業は人の重要性を認識し、人を中心に据えた経営を行うことで成長を遂げている企業」「雇用のミスマッチの解消に資することを期待している」とのコメントを寄せている。

 経産省は各地の経済産業局や業界団体などの協力を得て、企業情報を集めた。今回掘り起こした1400社については、(1)採用意欲の有無(2)人材育成の特色、方針(3)従業員から見た視点──などを指標に、選定委員会の審査を経て選んだ。

 旅館・ホテルも数件選ばれた。その1つ、知床第一ホテル(札幌市)は人材育成方針に「ES(職員満足)とCS(顧客満足)の好循環で、お客さま評価90点を目指す」を掲げ「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)ではルールや決めごとを明確にさせ、必ず実行させる」としている。

 新潟県新発田市のホテル清風苑のキャリアプランは、入社3年目で現場責任者となり、顧客ごとの担当者として接客の中心を担う。また、サービス職はVIP専門担当者や団体統括担当者、総合職は外販営業部やフロント統括チーフなどの道を進む。

 入社2年目の女性従業員は、「お客さまのためにという熱意と活気にあふれ、社員一丸となって繁盛旅館を目指している。そんな会社で働けることにやり甲斐を感じている」と話している。

 また、神戸市の中の坊(有馬グランドホテル)のキャリアプランは「社会的評価の高さにこたえることのできる接遇のプロをまず目指してもらう(5年程度)。その後、接客部門において8人程度のチーム長として部下の育成にも力を発揮してもらう」。

 戸田家(鳥羽市)は資格要件として、「旅館の仕事に興味がある、人と接することが好き、笑顔に自信がある、常に前向きでやる気のある素直な人」を掲げ、大和屋本店旅館(松山市)は、「高卒以上で特別な資格は問わないが、サービスマインドを持った心美人を求めている」と言う。

 経産省はこの資料集を同省やジョブカフェサポートセンターのホームページに掲載するほか、全国のハローワークや就職支援センター、工業高校などに冊子として配布する。今後は求職者が実際に職場を見学するツアーを実施したり、シンポジウムなどを開き、就業支援していく考えだ。


環境省、省エネ照明デザインモデル12社に認定書授与
齊藤環境相(左)と稲佐山観光ホテルの小林専務

 環境省は今年度の「省エネ照明デザインモデル事業」の対象企業として12社を選定、3日、同省で認定書の授与式を行った。旅館・ホテル業界から長崎稲佐山観光ホテル(長崎市)がモデル事業者に選ばれ、斉藤鉄夫環境相が小林秀顕専務に認定書を手渡した。

 同事業は二酸化炭素(CO2)削減対策の一環。商業施設や店舗などの照明を、施設の特性に応じて照明器具の配置や光源の選び方を見直すことによって、優れた省エネ効果を達成する一方、魅力的な空間を創り出す省エネ照明のデザインを設計するのが狙い。

 今年度は19の応募事業者の中から、審査委員会の審査を経て、12事業者を選んだ。3日の時点で6施設の工事が完成している。

 稲佐山観光ホテルは、ロビーやホール照明の発光面を天井より低くすることで、少ないエネルギーで照明を確保するとともに、案内板やショーケースにLED(発光ダイオード)を導入することで、CO2の46%削減を目指す。7日にも竣工する。

 斉藤環境相は「事業を通じて低炭素社会の照明のあり方を考えたい。省としてもこの試みが全国に普及するよう働きかけていく」と期待した。認定書を受け取った小林専務は「地方の中小企業が(モデル事業に)採用され、非常に嬉しい。微力だが、環境に配慮した取り組みを続けていきたい」と抱負を述べた。

 モデル事業者にはこのほか、イトーヨーカ堂、サッポロライオン、ダイエー、日本マクドナルドなどが選ばれている。


観光庁、「宿泊産業活性化懇談会」立ち上げ
 観光庁は2月23日、旅館業の活性化につながる政策を立案するため、旅館経営者や有識者、関係省庁の担当者などをメンバーとした「宿泊産業の活性化に関する懇談会」を立ち上げ、初会合を開いた。旅館経営をとりまく環境が厳しいことから、現在直面している経営課題などについて意見を聞き、09年度からの施策に反映させる。

 観光庁では、「旅館業の生産性を向上させるには、どのような取り組みを促進したらいいのか」を主なテーマに、旅館業にかかわる税制や財政投融資のあり方、ビジネスモデルづくり、人材育成などの施策の方向性を探る考えだ。

 第1回の会合では、テーマを設けずにメンバーが経営上の課題を出し合った。観光庁のほか、経済産業省、厚生労働省、日本政策投資銀行、日本政策金融公庫から担当者が出席した。懇談会は今月下旬までに3回開催する予定。

 省庁、政投銀、金融公庫以外のメンバーは次の通り(敬称略)。

 有本啓治(宮島グランドホテル有もと社長、国際観光旅館連盟副会長)▽斎藤源久(ホテルニューショーヘイ社長、日本観光旅館連盟常務理事)▽小森泰信(全国旅館生活衛生同業組合連合会常務理事)▽川野雅之(日観連企業再建問題専門委員、企業再建コンサルタント)▽井門隆夫(ツーリズム・マーケティング研究所主任研究員)▽本郷孔洋(辻・本郷税理士法人理事長、スパークス取締役、公認会計士・税理士)▽大野正人(財団法人日本交通公社研究調査部研究主幹)▽小関政男(国観連専務理事)▽中村義宗(日観連専務理事)▽島村博幸(全旅連専務理事)


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