消費者投票で選ぶ評価型ガイドブック「ザガット サーベイ」の長野版が19日、発刊された。18日には記者発表会が東京都内で開かれ、長野県出身のタレント、峰竜太さんも出席し、宣伝に一役買った。ザガット サーベイは国内では東京、関西版があるが、地方では長野版が初めて。また、国内版では初めて宿泊施設も掲載している。発行元のCHINTAIの手塚清二社長兼CEOは「地域活性化の手段の1つとして貢献できれば」と強調した。
長野版は、観光客減少に悩む同県が「消費者参加型の評価ガイドを活用し、観光立県の復興を図りたい」と、CHINTAIに働きかけて実現した。同社はインターネットを通じ投票を呼びかけ、5081人の評価を集計した。「うち県民の投票が約75%に達した」と言う。
5081人の男女比は6対4で、年代別に見ると30歳代が34%、40歳代が33%で、両年代で7割弱を占めている。
県内全域のレストラン311軒、宿泊施設110軒を掲載。宿泊施設については「部屋」「サービス」「食事」「施設」──の4項目に分けて評価(30点満点)し、料金の目安や投票者のコメントを引用した紹介文も掲載されている。
宿泊施設の各部門1位を見ると、部屋はホテルグランフェニックス奥志賀(山ノ内町)、サービスは花仙庵 仙仁温泉岩の湯(須坂町)、食事はたてしな藍(茅野市)、施設はグランフェニックス奥志賀となっており、「お気に入り」はホテルブエナスタ(松本市)が選ばれた。
グランフェニックス奥志賀(32室)は皇族や有名指揮者などが利用しており「格式の高いホテル」と地元の旅館関係者も認める。旅行会社への依存度もほとんどないといわれ、根強いファンをつかんでいるようだ。
一方で、突然の評価に戸惑いの声も少なくない。平均点止まりだったある旅館経営者は「良し悪しはともかく、ミシュランは実際に現地に足を運んで評価するが、ネット投票で正確な評価が出るとは思えない。いろんな思惑もあるだろうし」と意味深な発言。ただ「長野をアピールするツールととらえれば評価はできる」と受け止めている。
発表会の席上、峰さんは「長野は(観光客が減り)生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされている」と危機感を露わにした上で「県民は控え目な性格だがもっと前に出て広く宣伝しなければだめ。私も発刊を機に長野の素晴らしさをアピールしていきたい。ポケットに入るサイズなので、携帯してぜひ長野に来てほしい」と呼びかけた。
CHINTAIは発刊を受け、グループ会社のCHINTAIトラベルサービスにおいて、上位店舗や宿泊施設をコーディネートする旅行を企画する予定だ。
ザガット サーベイ日本版は「東京のレストラン」「大阪・神戸・京都のレストラン」があり、長野版は国内版3冊目、世界では89冊目となる。タテ215ミリ、ヨコ100ミリサイズで、200ページ。価格は税込み1470円。 |