高山グリーンツアー(高山グリーンホテル・ツアー事業部、新谷尚樹社長)は、最少催行人員が2名のガイド付き日帰りツアー「世界文化遺産白川郷の秘密を探る旅」を4月1日から始める。11月30日まで、お盆などの特定日を除いて毎日実施する。
NPO飛騨インタープリター協会が認定した「インタープリター」と呼ばれる文化・歴史案内人がガイド兼添乗員として同行。昨年7月に飛騨清見IC・白川郷IC間が開通し、晴れて全線開通となった東海北陸自動車道の飛騨トンネル掘削にまつわる秘話や、合掌造り屋根の仕組みの解説など、きめの細かい説明を行う。地域密着型の着地型ツアーとした。
濃飛バスが運行する乗合路線バスを利用し、昼食は現地で自由食とすることで、ツアー代金を大人7500円、子供5500円に抑えた。
ツアーの発着場所は同ホテル内ではなく、JR高山駅に隣接する濃飛バスセンターに設定。インターネットやダイレクトメールによる自社での直販に加えて、JTB、KNT、日本旅行、名鉄観光などの大手旅行会社や、飛騨高山地区の他の宿泊施設にも現地オプショナルツアーとして販売してもらう。
同ツアーはインタープリターの手配上の問題もあり、申込締切日を催行日の7日前としているが、新谷社長は「将来的にはハワイのオプショナルツアーのように前日まで受け付ける体制にしたい」と意気込む。
ツアーは全部で3種類。5月1日から10月20日まで「豊かで神秘的な自然を育む上高地散策」、7月11日から8月10日まで「高山植物の宝庫・乗鞍岳お花畑の旅」も毎日募集・実施する。同様にインタープリターが同行、2名から催行する。ツアー代金も全て同額にした。
旅行業法施行規則が07年3月に改正(施行は5月)され、第3種旅行業者も、催行区域を隣接する市町村に限定した募集型企画旅行の造成・実施が可能になった。
これをうけて同ホテルは同年7月、岐阜県下では規則改正後初の第3種旅行業を取得。高山グリーンツアーの名称でツアーを始めた。
ただ「バス1台を仕立てるのには最低15人の集客が必要。直販のみでは限界があった」(同社長)。今まで約20種類のツアーを行ってきたが、販売手法はツアー自体を宿泊プランに組み込んだセットプランでの販売が中心。08年の催行実績は130人程度にとどまっていた。
そこで今回、濃飛バスと飛騨インタープリター協会の協力を得て、オリジナルツアーを開発。新谷社長は「各ツアーの集合時間は午前8時30分なので、必ず高山で前泊が伴う。高山の旅館・ホテル全体の宿泊需要の底上げにつながれば」と期待する。
高山では、東海北陸自動車道の全通で、バスツアーなどの立ち寄り観光は増えたものの宿泊客数は伸び悩んでいる。同社長は「高山をベースにインタープリターが連日周辺をていねいに案内するという連泊パターンの定着化を狙っていきたい」と話している。 |