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トラベル ■第2510号《2009年4月11日(土)発行》  

GWの宿泊旅行、国内・海外とも好調 JTB調べ


 JTBがこのほどまとめたゴールデンウイーク(GW、出発日基準4月25日〜5月5日の11日間)の宿泊旅行の動向の見通しによると、国内旅行人数は対前年比2.9%増の2140万人。高速道路料金の値下げ、ガソリン代の安定、定額給付金の支給が好影響をもたらし、経済不況にもかかわらず2年ぶりに増加するという予測。一方、海外旅行人数は燃油サーチャージの大幅値下げ、円高傾向などで10.1%増の50万人と、3年ぶりの増加を見込む。

 今年のGWは5月2〜6日の5日間が一般的だが、平日を休むと5連休から最大16連休までさまざまなパターンが可能。「仕事や家族の都合に合わせて長期の休日を満喫できる」(JTB)。国内旅行は2、3、4日の宿泊が中心となる模様。

 国内旅行は、高速道路料金の値下げが、昨年停滞していたドライブ旅行を活性化。特に土日、祝日の高速道路地方部分のどこまで行っても1千円の割安料金は魅力的だ。ガソリン代が昨年よりも約40円値下がり(3月末日比較)したことも大きい。定額給付金の支給も旅行意欲をかき立て、家族そろっての帰省が増加しそうという。

 首都圏は、今年も行楽客でにぎわう。横浜開港150周年記念イベント「開国博Y150」が始まる横浜、新しいアトラクションがスタートした東京ディズニーリゾートなどがスポットを浴びている。関西は、西宮市にオープンした子供向け仕事体験テーマパーク「キッザニア」、4月からのJRによる神戸キャンペーンの効果で、西宮から姫路にかけての地区に注目が集まりそうだ。

 平均旅行費用は国内が5.6%減の3万6900円、海外が14.9%減の21万6800円とそれぞれ低下する見込み。



阪急交通社、ネット予約システムを全面刷新
 阪急交通社はインターネット予約システムを全面リニューアルし、1日から運用を開始した。従来のASPサービス(インターネットを通じて顧客にビジネス用アプリケーションをレンタルするサービス)から、自社基幹システムと連携させたのが特徴で、レンタルでは増大するネット取引に対応できないと判断、切り替えた。

 リニューアルにより、検索機能を強化。「利用者の要望に近い形での商品選択やピンポイントでのコースの絞り込みが可能になった」と言う。ツアー詳細情報についてはツアーのポイントやスケジュール、ビザの有無など申し込み前に知っておきたい情報も確認できるようにした。

 ツアーの比較機能を新設。「検索結果だけでは分からない複数コースの詳細情報をコースごとに横並び表示し、コース情報の比較ができる」と自信を示す。

 また、携帯電話公式サイト「阪急トラべる」(http://hankyu.travel/)から国内外のツアー商品がオンライン予約できるようにした。



KNTTと神田外語学院の共用店舗がオープン
神田西口営業所の外観

 KNTツーリスト(KNTT)は1日、東京都千代田区にKNTT神田西口外語学院前営業所を開いた。同店はKNTTが提携を結ぶ神田外語学院(水野五行学院長)の8号館としての機能も持ち、同学院の1年生がカウンター実習などを行う予定だ。 

 同営業所は、神田西口商店街の中の同学院グループが運営する3階建てのビルに開いた。ワンフロア約30平方メートルほどのコンパクトな店舗で、1〜2階を一般消費者向けの販売カウンターや旅行コンサルティングブース、3階を実習施設として利用する。特に3階には乗車券や宿泊券などの発券といったカウンター業務に備え、実際に使用されている端末と同じ物を学生指導用に置いた。

 同営業所にはKNTTの社員4人が常勤。学生の指導は、豊富な店頭経験を持つ社員1人が担当する。

 ビジネス客や神田周辺の地元客などの利用が想定される同営業所。神田外語学院では、「神田にある学校の学生が実習するという点では地域密着型の店舗。多くの地元の方に利用していただくことで、学生にもたくさんのことを学んでほしい」(高橋修一郎・神田外語学院国際観光科コーディネーター)と期待する。

 同営業所は、同じく路面店の秋葉原・KNT本社内、有楽町・交通会館内の各営業所の中間地点に位置しており、ビジネス街をカバーする新たな拠点でもある。

 売り上げ目標は初年度2億8千万円。



旅の文化賞にフォトジャーナリストの大石氏

 KNTの文化研究機関の「旅の文化研究所」(神崎宣武所長)は5日、東京・飯田橋のメトロポリタンエドモントで旅の文化研究フォーラムを開き、若手研究者による旅に関する研究発表などを行った。旅の文化に貢献した人を顕彰する「旅の文化賞」にはフォトジャーナリストの大石芳野氏を選出し、表彰した。

 大石芳野氏=写真左=は1944年生まれの64歳。日大藝術学部卒業後、ベトナムやカンボジアで戦争や内乱を経験した人々の姿を記録。土門拳賞など数々の賞を受けている。「世界各地を訪れ特に極限地域で生き抜いた女性や子供の姿をとらえ続けることで、平和や命の重さを訴え続けていることを評価した」(石森秀三選考委員長)。

 旅に関する研究の分野で優れた業績を挙げた40歳未満の研究者を顕彰する「旅の文化研究奨励賞」は、中山間地域の農村民俗伝承の実態をフィールドワークにより明らかにしたとして農村工学研究所主任研究員の山下裕作氏を選んだ。

 また移動や旅、観光にかかわる若手研究者を支援する「公募研究プロジェクト」には、岡本健氏(北海道大院)、工藤久貢氏(早稲田大院)、菅沼明正氏(慶應義塾大院)、皆川萌子氏(同志社大院)の4氏を採択した。

 フォーラムの冒頭あいさつした神崎所長は、「16回目を迎えられたのは、これまでかかわってくれた100人以上の研究者とKNTや近鉄の支援、参加者のおかげ」と謝意を述べたほか、公募研究に採択された若手研究者の3分の1が博士号を取っている事に触れ、「今回採択された方も飛躍してほしい」と激励した。

 フォーラムではこのほか、昨年に公募研究プロジェクトに採択された4氏による研究発表とシンポジウム「戦後の旅の大衆化〜修学旅行、新婚旅行、温泉旅行」を行った。

 このうちシンポジウムでは同研究所の山本志乃主任研究員ら4研究者らの発表とパネルディスカッションを実施。質疑では会場の参加者から自身の修学旅行や新婚旅行の経験談などが出され、パネリストが貴重な証言に聞き入る姿も見られた。



1〜3月の国内旅行DI、大幅に下落

 日本旅行業協会(JATA)が四半期ごとにまとめている「旅行市場動向調査」によると、1〜3月の国内旅行DIは、海外からのシフトは依然続くが、景気の急速な悪化に伴い出張需要が減少するなどして、3カ月前(10〜12月)のマイナス16からマイナス42と大幅に下落した。

 全方面で3カ月前より2ケタの悪化となり、北海道、東北、北陸のDIは30ポイント前後下落した。前年同時期との比較でも軒並み大きく下回っており、中でも奄美・沖縄は58ポイント、北海道、九州は約40ポイント低く、首都圏からロングポーションの不振が顕著となっている。

 安近短志向の強まりやネット利用による旅行会社離れが指摘され、国内市場をけん引する好材料に乏しい。3カ月後(4〜6月)の見通しも、マイナス40と横ばい。方面別に見ると、良化が見込まれるのは北海道、東北など一部で、その他は横ばいの見通し。

 一方、海外旅行DIは景気悪化による個人消費の低迷や企業の経費削減で、3カ月前のマイナス64からマイナス72と大さらに低下。今後はウォン安で好調な韓国に加え、燃油サーチャージの値下げがロング方面の需要を喚起し、3カ月後はマイナス57の見通し。

 JATAの旅行市場動向調査では、各質問事項に対し「良い」「普通」「悪い」「取り扱っていない」で評価を求め、DI(ディフュージョン・インデックス)という景気動向指数を発表している。DI値の範囲は、100(すべての回答が「良い」)からマイナス100(同「悪い」)の間となる。638社を対象とし、269社から回答を得た。



主要12社2月実績

 鉄道旅客協会によると加盟旅行業12社の今年2月の総取扱額は、2149億8411万円で、前年同月比15.1%減となった。総取扱額が前年実績を超えた会社はなく、8社が前年比2ケタの減少。また国内、海外、外国人旅行ともに前年実績を2ケタ減となった。

 国内旅行は前年同月比12.2%減の1337億4165万円だった。各社が前年割れした。減少幅が5%未満にとどまったのは東武トラベル(前年同月比3.3%減)のみだった。

 海外旅行は同20.1%減の776億4322万円。前年比増は東武トラベル(同3.8%増)のみ。

 外国人旅行は、同15.1%減の18億4506万円。トップツアーが同109.4%増と大きく伸ばした。農協観光も同7.1%増と前年を超えた。

 この結果、08年4月からの累計は、総取扱額が前年同期比6.6%減の3兆1336億3356万円となった。この時点で前年実績を上回っている会社は東武トラベル(同0.3%増)のみ。

 国内旅行は同4.4%減の1兆9289億8725万円で、東武トラベルのみ前年実績を超えている。海外旅行は同10.7%減の1兆1297億4658万円、外国人旅行は同0.4%増の537億2585万円。



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