観光関係企業の経営マネジメントを担う人材の育成を課題として、大学の観光学部・学科でのカリキュラムのあり方を検討してきた観光庁の有識者会議が7日、中間報告をまとめた。欧米の観光系大学が採用している教育内容などを参考にしながら、経営戦略や財務、会計、人事・組織管理などの科目を重視したカリキュラムモデル案を作成。観光庁はモデル案を基に、今年度から2カ年をかけて大学でモデル授業を実施したい考えだ。
カリキュラムのあり方を議論しているのは、観光庁が設置した「観光関係人材育成のための産学官連携検討会議」のカリキュラムワーキンググループ(WG)。観光系大学の教授、旅行会社や旅館・ホテルの関係者ら11人をメンバーに昨年11月から会合を重ねてきた。
WGは、観光系大学の卒業生が観光産業に就職する割合が低いことなどから、大学が輩出する人材と企業が求める人材の不一致といった課題への対応を検討。教育内容には人文科学、地域振興など大学それぞれの方針があるが、観光産業がさらされている国際競争の激化などの状況を踏まえ、「企業の経営マネジメントを担う人材を育成するための教育内容の充実」を課題に位置づけた。
観光産業のマネジメント層に多くの人材を輩出しているコーネル大学(米国)、セントラルフロリダ大学(同)、ローザンヌホテルスクール(スイス)のカリキュラムなどを検証した結果、「日本の観光系大学では、経営マネジメントに関する授業として、特に経営戦略、財務、人的資源管理などの科目が不足」と分析。WGではこれらの科目を確実に履修できるようにしたカリキュラムモデル案を作成した。
観光庁では、WGが提示したカリキュラムモデル案の一部科目を大学の授業に取り入れるモデル事業を実施する予定。その結果を検証し、カリキュラムのあり方について検討を加える考えだ。