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旅館・ホテル ■第2512号《2009年4月25日(土)発行》
国観連、旅館客室を海外に流通へ
国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1267会員)は、旅館の客室を海外に流通させるため、宿泊予約に関するサービスを世界展開するペガサスソリューションズ(本社・米国ダラス)と契約した。会員旅館は、海外の販売チャネルとのオンライン接続環境の提供を受け、海外の旅行会社やオンライン・トラベル・エージェント(OTA)を通じて、外国人旅行者の宿泊予約が受けられるようになる。国観連は支部総会などでサービス内容を説明し、参加旅館を募っていく。
契約したのは、同社の「ユニレズ」というサービス。旅館は客室管理ソフトを通じてユニレズの予約システムに販売したい客室の情報を入力。ユニレズの予約システムは、海外の旅行会社が宿泊予約を行うGDS(グローバル・ディストリビューション・システム)と接続しているほか、海外のOTA約1千サイトと結ばれており、世界の旅行者に客室が販売できる。
ユニレズでは、旅行会社などへの手数料支払いも代行してもらえる。旅館が自社で英語ホームページを持っている場合などでは、ユニレズの予約エンジンを使用して宿泊予約を直接受け付けることも可能だ。
国観連は08年度にインターネット関連専門委員会(針谷了委員長)を設置して、海外への客室流通について研究、ペガサスソリューションズと契約を結ぶことにした。同社によると、リゾートホテルタイプの旅館には契約事例があるが、温泉旅館タイプの日本旅館が同社の「ユニレズ」などのサービスを利用するのは初めて。
会員旅館は、国観連本部を通じて加盟手続きを行う。参加旅館の負担は、初期のシステム設定料と成約ごとの手数料。成約手数料はGDSを経由した旅行会社の流通、OTAの流通とでは異なる。ペガサスソリューションズは多くの客室の提供を呼びかけているが、客室の増減、料金の設定は旅館の裁量だ。
日本の旅館が海外に客室を流通させるには、ホテルなどの部屋単位の販売と異なり、1泊2食付き人数当たりの販売が主流であることが課題とされてきた。ユニレズの場合は、欧米などの流通に合わせて旅館も部屋単位で表示するが、必ずしも泊食分離が条件ではない。例えば、1人当たり1泊2食付き1万5千円で2人利用の部屋を販売するなら、2人1部屋3万円として表示、ユニレズでは付帯情報の表示が可能で、その項目の中で2食付きであることを説明できる。
ただし、宿泊予約を獲得するにはプロモーションが必要だ。ユニレズは、海外流通との接続環境を提供するだけの“セルフセールスサービス”。同社が別途展開している販売促進までをフルサポートする「ユーテル」とは異なる。「海外の旅行会社やOTAに販売してもらう努力、日本旅館の魅力を外国人に理解してもらう努力は個々の旅館、国観連の取り組みにかかっている」(国観連・小関政男専務理事)。
ペガサスソリューションズは、多数の旅館の参加を期待している。同社日本支社の西原吉則支社長は「訪日旅行市場での旅館のポテンシャルは本来高い。ただ、これまで海外から旅館に直接アクセスする手段は限られていた。日本旅館がこうした海外流通にデビューするというのは画期的なこと。米国の本社でも注目している」と話す。
「家族の節目を旅館で祝って」と宿泊招待キャンペーン 全旅連
キャンペーンの応募葉書
全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連)のシルバースター部会は4月から、還暦など人生の節目を迎えた家族を持つ人などを対象に宿泊招待キャンペーンを始めた。宿で配布するアンケートの回答者の中から、抽選で還暦の場合は60円、喜寿の場合は77円と、年齢と同額の特別料金で泊まれる優待券をプレゼントする。全旅連では、「日本人が大切にしてきた家族や親子の絆を旅館での時間を通して思い出してほしい」と、キャンペーンの意義を強調している。
キャンペーンタイトルは「『還暦等祝いは家族で』感謝の気持ちを全国の旅館が応援します」。
4〜8月の5カ月間、全国のシルバースター登録施設にアンケート葉書を置き、「これまでに、家族の長寿のお祝いを、旅館・ホテルなどに宿泊して行ったことはありますか」などの質問に答えてもらう。回答は葉書の送付ほか、全旅連のホームページ上からでも可能。回答者の中から抽選で毎月20人、合計100人を、シルバースターの宿に特別料金で招待する。
キャンペーンは回答者の家族または本人が還暦、古希、喜寿、米寿など、高齢で節目の年を迎えた人が対象。年齢と同額の料金で泊まれる優待券をプレゼントする。全旅連では優待券を利用した家族での旅行を想定しており、例えば当選者の家族が還暦の場合、当選者本人は通常料金だが、還暦を迎えた家族の人は60円で泊まれる。
キャンペーンは、家族旅行の誘発が狙い。「近年、家族、親子の疎遠が原因で引き起こされる悲しい事件を耳にすることが増えた。シルバースター部会ではこのような事態を憂慮し、業界として何か貢献できることはないか」と考え、今年度の社会貢献事業の一環として始めた。
全旅連のシルバースター部会は、高齢者や障害者など、すべての人が利用しやすい旅館・ホテルの普及を目指す組織。ハード、ソフトで人に優しい配慮を行っている旅館・ホテルをシルバースター登録施設と認定し、現在、全国約1千軒が登録されている。
トップツアー旅ホ連、総会で特命委設置を承認
あいさつする伴会長
トップツアー協定旅館ホテル連盟(伴久一会長=伴久ホテル、1745会員)は14日、東京都千代田区の九段会館で通常総会を開いた。今年度事業として新たに「本部会長特命委員会」を設置し、経済不況下の売れる商品づくりや新たな旅行形態に対応した商品づくりについて検討することを決めた。
総会の冒頭、会員とトップツアー社員ら約90人を前にあいさつした伴会長は、経済危機の今が旅行形態の転換点となる可能性を指摘したうえで、「若くバイタリティあふれる石川社長率いるトップツアーとわれわれ旅ホ連会員が手を取り合い、互いに繁栄していけるよう頑張ろう」と力強く訴えた。
今年度事業としては、本部会長特命委員会を新設することを決めた。その下に「不況対策チーム」と「新旅行形態等対応チーム」を設置。旅ホ連会員とトップツアーの国内旅行部、商品開発部、各支店の担当者が参加し、情報交換や商品づくり、売るための販売手法の検討などを行う。
このほか既存の「旅ホ連と会社との懇話会」や個人旅行、MICEなどのテーマを検討する「中央委員会」などを開催する。各委員会のうち特に旅館価値開発委員会では、昨年度の議論内容を具体化し、商品造成や販売手法の構築につなげる考えだ。
総会では石川邦大トップツアー社長も登壇し、CS(顧客満足)向上を中心とした昨年度のトップツアーの取り組みについて報告。今年度の事業については、引き続きCS向上に取り組むほか、訪日旅行、ウェブを使った個人旅行販売など、「近い将来に新しい需要を生む分野」(石川社長)に力を注ぐことを示し、旅ホ連会員にさらなる協力を求めた。
また水村祐一・同社旅行業務本部長が営業概況について、山上光裕・同社旅行業務本部国内旅行部長が国内施策について、安原弘文・同社個人旅行事業部長が本社内に新設した個人旅行事業部の取り組みについて説明を行った。
山梨・下部ホテル、80周年で記念イベント
矢崎社長(左端)らがあいさつ
山梨県身延町の下部ホテル(矢崎崇社長、105室)は14日、創業80周年を迎えた。これを記念し、同日、館内イベントを開催。武田信玄の隠し湯として知られる下部温泉にちなみ「信玄出陣太鼓ショー」を催したほか、身延町の伝統行事である「万橙行列」を館内で再現し、宿泊客約250人を楽しませた。
同館は1929年創業。前年には、富士身延鉄道が中央線の甲府駅と東海道本線の富士駅を結ぶローカル線(身延線)を全通。ほぼ中央にあたる下部温泉に身延線利用者の便宜を図ることを目的に開業した。当時は木造2階建て、25室だった。
戦時中、陸軍病院の臨時転地療養所として徴用されるなど苦難の時期があったが、この時期を経て48年、戦後の新時代に対応するため法人組織に改組した。
その後、数回の増改築を経て72年に第一期の大規模な増改築工事を行い、翌年3月、鉄筋コンクリート6階建てとし、42室を増室(合計客室数78室)。下部温泉最大規模になった。
79年から07年にかけても3回の増改築を実施。最近の07年の増改築では、温浴施設や食事処などを充実させた。自慢の源泉は、檜や石、陶器といった10以上の浴槽や自然庭園を眺めながら浸れる足湯などで堪能できる。
「癒しと寛ぎがテーマ」という矢崎社長は、「今後も心身ともに、癒しと寛ぎを与えられる旅館を目指したい」と話している。
肥薩線開通100周年、霧島温泉旅館協会が記念ボトル販売
鹿児島県の霧島温泉旅館協会(松田浩明会長)はこのほど、JR九州の肥薩線開通100周年を記念して、地元焼酎会社と協力しオリジナル記念ボトルを発売した。
このボトルは「鉄道浪漫肥後街道」(720ミリリットル、アルコール分25度)で、錦灘酒造の協力を得て作った。小売価格は消費税込みで1890円。
ボトル販売を行うことで、九州新幹線全線開通を前に、霧島温泉をアピールする狙いもある。
協会加盟の13施設(霧島いわさきホテル、霧島ホテル、霧島国際ホテル、お宿花みずき、霧島第一ホテルスパヒルズ、旅館松苑、静流荘、霧島山上ホテル、みやまホテル、霧島観光ホテル、ホテル霧島キャッスル、旅行人山荘、霧島花紫)の売店で、来年3月末まで販売する。
肥薩線は1909(明治42)年11月に開通。八代駅(熊本県八代市)〜隼人駅(鹿児島県霧島市)間を結び、現在、観光列車「いさぶろう」「しんぺい」などが運転されている。
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