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インバウンド ■第2516号《2009年5月30日(土)発行》
訪日外客、9カ月連続で減少
日本政府観光局(JNTO)が25日発表した4月の訪日外国人客数は前年同月比19.7%減の62万7千人になった。昨年8月以降9カ月連続の減少。JNTOでは「世界的な景気後退による消費の手控えや円高が減少の要因」と分析する。
訪日外国人客数の内訳を国、地域別にみると韓国が同44.4%減の11万3300人。ウォン安、景気後退による消費の手控えにより海外旅行需要が低迷した。
中国は同3.8%増の10万6900人。桜をテーマにした宣伝効果などが表れ、4月としては過去最高を記録。1〜4月の累計でも前年同期比5.0%増となり、全体に減少傾向がみられるなか増加基調を示した。
台湾は前年同月比35.2%減の9万1300人。クルーズ需要減、航空便の減便が影響した。
香港は同23.6%増の4万5千人で4月としては初めて4万人台を記録。タイは同18.0%減の2万9100人、シンガポールは同11.0%減の1万2千人だった。
米国は同10.8%減の6万1700人。英国は同6.6%増の2万200人。イースター休暇が昨年の3月からシフトした影響で10カ月ぶりに増加に転じた。豪州は同16.9%減の1万5900人。カナダは同0.1%増の1万4600人で9カ月ぶりに増加。
ドイツは同4.6%減の1万1千人。フランスは日本ブームや訪日旅行ガイドブックの発行などが追い風となり同2.8%増、1万7900人となった。 出国日本人数は、ゴールデンウイークの曜日配列の良さや燃油サーチャージの値下げなどが奏功し24カ月ぶりに増加。同月比1.1%増の119万6千人になった。
サードエイジ、中・香・台セミナー
サードエイジスタイル(東京都港区、久留一郎社長)は15日、第1回インバウンドセミナー「中国・香港・台湾、体験とメディアから見た訪日個人旅行マーケットの展望」を東京都内で開いた。
ソニーマーケティング元社長でクオンタムリーブ・エグゼクティブアドバイザーの小寺圭氏は講演「アジアの富裕層に関する体験的マーケット比較論」の中で「中国人はいまだに『富士山、桜、新幹線、猿が入浴する露天温泉、混浴』などステレオタイプの日本感を持っている。日本側の説明不足、情報伝達手段の欠如が原因だ」と指摘。もっと「イメージバリエーション」を発信して、本当の日本の姿を伝える努力をすべきと述べた。
また、訪日外国人観光客向けフリーマガジン「TOKYO RAINBOW」を発行するレインボウパブリシングの川端祥司社長は「メディアから見た中国・香港。台湾 訪日個人旅行の可能性」と題して講演。「同じ中国語圏の人でも、中国本土と台湾、香港では言語、文字、趣味趣向などが地域によって異なる。訪日旅行の申し込み窓口にしても、台湾はインターネット予約が主流だが、香港は旅行会社の店頭が中心となるなど違いがある」と話した。
さらに、08年の訪日客のリピーター率は、香港が80%、台湾が72%、中国本土が13%で、「地域別に異なるアプローチ手法を講じる必要がある」と解説した。
第2回セミナー「通訳ガイド、日本情報サイトから見た中国・香港・台湾、訪日個人旅行者の動向とニーズ・中国語圏への効果的なブランディングを探る」は、7月2日に開く。問い合わせ先は、サードエイジスタイル(TEL03・3568・1440)。
アウンコンサルが中国セミナー、百度の代表が講演
アウンコンサルティング(東京都千代田区、信太明社長)は21日、「中国マーケティングセミナー・高まる訪日ニーズと中国に効くマーケティングノウハウ」を都内で開いた。日本政府観光局(JNTO)中国チームリーダーの薬丸裕氏、中国本土の検索エンジンで73%のシェアを持つ「百度(バイドゥ)」の駐日首席代表、陳海騰氏らが講演した。
今回は限定100人の無料セミナーに160人の応募があった。
7月に中国で個人観光査証(ビザ)の受け付けが始まるのを前に、中国人インバウンドマーケットにビジネスチャンスを見いだそうとする企業のビジネスパーソンたちで会場は熱気に包まれていた。
薬丸氏は「中国訪日旅行市場の動向と今後の日ビジネスチャンスについて」を講演した。その中で「中国からの訪日観光客は中長期的な成長が見込める重要なセグメント。限られた観光、流通関係者だけでなく、広く製造業も巻き込んだ需要喚起や誘客活動を展開していくことが必要」と話し、中国インバウンドの拡大が日本の国益にかなうことを示唆した。
中国観光客の訪日動機については「1位がショッピングで50.9%、2位が温泉で39.7%、3位が歴史的建造物で25.7%」と紹介。単純合計で65.4%が観光目的であるとした。
中国観光客のショッピングの1人当たり平均購入単価は11万6568円で、米国人訪日客の平均2万7300円、オーストラリア人訪日客の平均2万600円などと比べるて4〜5倍になっているというデータも紹介。ショッピング熱が高い中国人観光客は「(ツアー中に)買い物できる時間が少ない、足りない。欲しいブランドや商品を扱う店舗や売り場が分からない」などの不満を抱いており、対応策をとれば「売り損ねゼロと消費単価アップが期待できる」と説明した。
陳氏は「検索から見る中国人観光客の日本の情報収集ルート考察」について講演。
中国のインターネット利用者は現在2億9800万人に達したが、普及率は全人口の22.6%に過ぎないと指摘。中国人向けの情報発信で今後もインターネットの重要性が高まるとの認識を示した。
日本の自治体の観光部門や旅館ホテルなどが公開している中国版のウェブサイトについては、「日本語サイトの直訳が多すぎる。中国人の感性にあった翻訳と言い回しにしなければ中国人は見ない」と問題点を挙げた。また「同じ漢字でも日本語と中国語では意味が違う場合があるので注意が必要だ。『娘』は中国語では母、『愛人』は妻を意味する」と話し、丁寧な翻訳と情報発信を勧めた。
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