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旅館・ホテル ■第2517号《2009年6月6日(土)発行》
宿泊団体、新型インフルで観議連に陳情
3団体の要望書を読みあげる全旅連の佐藤会長(左)=党本部で
旅館3団体(全国旅館生活衛生同業組合連合会、日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟)と日本ホテル協会は5月27日、自民党観光産業振興議員連盟の役員会に出席し、新型インフルエンザの発生で宿泊キャンセルなど厳しい経営環境が続く旅館・ホテルを救済するための9項目(3団体5項目、ホテル協会4項目)からなる要望書を観議連の細田博之会長らに提出した。細田会長は、要望を着実に遂行するよう出席した関係省庁の代表に求めた上、インフルエンザ発生の鎮静化を受けて、「観光旅行安全宣言」を観光庁が中心となり発動するよう求めた。観光庁の本保芳明長官は「政府の中で調整し、最大限努力する」と前向きな姿勢を見せた。
旅館・ホテル団体から、全旅連の佐藤信幸会長が3団体の要望事項を読み上げるとともに、国観連の西村肇副会長と針谷了理事が、近畿地方を中心とした旅館・ホテルの窮状を訴えた。西村副会長は「実態は相当厳しく、倒産寸前の施設がたくさんある。地域の伝統がインフルエンザで音を立てて崩れようとしている。先生方の力でこれ以上悪化することのないようお願いしたい」と述べた。
内閣官房、厚生労働省、観光庁、経済産業省、中小企業庁、金融庁、文部科学省の関係省庁は、新型インフルエンザ対策の現状を説明した。厚生労働省健康局生活衛生課の松岡正樹課長は、旅館・ホテル業界が要望する緊急融資について、日本政策金融公庫による衛生環境激変特別貸付制度の適用を検討するなど対策を進めていると述べた。
観光庁の本保長官は、新型インフルエンザによる宿泊キャンセルが発生した場合のキャンセル料の取り扱いに言及。「(旅行業者が顧客から)キャンセル料をもらいながら、宿泊業者には支払いがないケースがあると指摘を受けている。そういう事例があれば、私どもに知らせていただきたい。こう申し上げることによる抑止効果も期待している」と述べた。
海外の複数の国・地域で、政府主導で日本への旅行を自粛している例が見られることについては「(日本の)現状を的確に理解していただき、政府の指導を撤回していただくよう、外交ルートを通じてお願いしている」と述べた。
観議連の細田会長は「観光庁長官名で、観光旅行は大丈夫と宣言をしてほしい。いい表現で、修学旅行を含めて、人の移動を抑制する必要はないと、宣言してほしい」と「観光旅行安全宣言」の発動を要望。他の役員も、「そろそろ大丈夫と思いながらも、お墨付きがほしいというのが観光に限らず地元の中小企業の切なる思いだ」として、細田会長の意見に同調した。観光庁の本保長官は「政府の中で調整が必要だが、最大限努力する。いい文章になるよう、工夫したい」と述べた。
【旅館3団体の要望】
緊急且つ特別の条件による融資策を検討してください▽新型インフルエンザによる宿泊キャンセルについては、約款どおりに支払うよう指導してください▽今般の新型インフルエンザに対して政府の基本的対処方針を上回るような過剰な反応をしないよう、自治体並びに各種団体へ指導してください▽感染者数の発表の際には、現在治療中の方の数と完治した方の数を分けて伝えてください▽新型インフルエンザを特定感染症として認めてください
【日本ホテル協会の要望】
新型インフルエンザ(H1N1)に係る特別融資の創設▽雇用調整助成金の適用範囲の拡大及び支給要件の緩和▽新型インフルエンザ(H1N1)を政府の特別支援によって、保険会社の「営業補償」の対象とする制度の創設▽政府による国内旅行の安全宣言と海外への日本の安全宣言
日観連会長に近兼氏
新会長の近兼氏
日本観光旅館連盟(3551会員)の2009年度通常総会が2日、東京・グランドプリンスホテル赤坂で開かれ、任期満了に伴う役員改選が行われた。3期6年を務めた佐久間進会長が退任。新会長には副会長の近兼孝休氏(香川県・湯元こんぴら温泉華の湯紅梅亭)が就任した。
近兼会長は、宿泊業をとりまく社会・経済情勢の変化を踏まえ、「日観連は大変な時期に入っている。重責に身の細る思い」と述べたほか、「旅館業界は1つであるというのが私の希望。いろいろな考え方があると思うが、会員の皆さまの協力が必要。諸問題の解決に努力していきたい」と語った。
宿泊産業活性化に向けた事業の推進のほか、現状の25支部を地方運輸局ベースの9支部に移行させる支部組織の再編など課題は山積している。
全旅連、新型インフル問題で対策本部
全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長)は、佐藤会長を本部長とする新型インフルエンザ対策本部を立ち上げ、その第1回会議を5月27日、東京の全国旅館会館で開いた。会議では、組合員施設が新型インフルエンザ患者の停留施設になった場合の対応や、秋から冬にかけて懸念される発生の第2波への対策を協議。対応策を固めるため、今後定期的に会合を開くことにした。
全旅連には厚生労働省から、新型インフルエンザ患者の停留施設を提供できないか、先に協力依頼があり、全旅連から国際空港所在地の千葉県、愛知県、大阪府、福岡県の各旅館組合に協力施設のリスト作成を依頼。リストは全旅連を介して厚生労働省にすでに提出している。
会議では、新型インフルエンザの影響によるキャンセルなどで資金繰りが悪化している旅館・ホテルに対する緊急融資制度の創設に加え、全旅連組合員が新型インフルエンザ患者を受け入れた場合の風評被害対策や施設の借り上げ料の保障など、厚生労働省に求めるべき要望事項を協議。また、新型インフルエンザの毒性が悪化したり、再流行した場合の備えとして、マニュアルを作成することも検討課題とした。
会議には厚生労働省から生活衛生課の松岡正樹課長が出席し、新型インフルエンザ対策の現状を説明した。
下呂温泉・ホテルくさかべアルメリア、リゾート感全面に
自然芝を配したウッドデッキ
下呂温泉の高台に位置するパノラマリゾートで知られる「ホテルくさかべアルメリア」(日下部幸夫社長、125室、726人収容)は、5月1日に、本館南ウィング棟の3階から5階の客室18室をリニューアルオープンした。
今回のコンセプトは、寛ぎと空間を重視の「アジアスタンダード和洋室」。従来の16畳基調の和室から、和の情緒と洋の機能を巧みに融合し、広々とした和洋室に改装。
客室の約半分の和室には、座椅子とテーブルが置かれ、壁には42インチのハイビジョンTVがはめ込まれ、ドルビーシステムを採用。音響効果も優れている。また、DVDプレイヤーもフロントで貸し出す。好きな映画も楽しめる趣向だ。
一方の洋間にはツインのベッドルームが備えられ、アーバンリゾート感溢れるバックパネルライトとナチュラルウッディ素材のコラボレーション空間。洋間のエントランスも、落ちつきと、やわらかな間接光がなごみの空間を演出している。また、モダンな和風のパウダールーム、アメニティも揃っている。
和洋室の壁板、天井、ウッドデッキ、調度品に至るまですべてオーダーメイドで設えている。また、照明全体にLEDを採用し目に優しい光の演出を施す。今回の改装はリゾートホテルの方向性を全面に打ち出したもので利用客から歓迎されている。さらにユーティリティースペースからは下呂温泉街が一望できる。ウッドデッキの天然芝と飛騨の自然美が心を癒してくれる。この他、6階には露天風呂付きスイートルーム5室を完備している。
JTB旅ホ連栃木支部、社員らに夏旅増売呼びかけ
最新情報をPRする金谷誘致宣伝委員長(中央)
JTB旅ホ連栃木支部(船曳冨士男支部長=宿屋伝七、お宿東山閣社長)は5月26日、首都圏のJTB社員ら約100人を招き、栃木の旅館・ホテルへの送客を呼びかけるイベント「夏旅増売!栃木!」を東京湾クルーズ船「シンフォニー号」で開いた。各旅館からは経営者、東京営業所長など32人が参加した。
那須、鬼怒川・川治、日光、湯西川・川俣、塩原の各地区に分かれてステージ上と各ブースから最新観光情報をPRした。 船曳支部長はあいさつで「昨年はJTBから前年対比3%増の58万5400人、同2%増の81億6千万円のご送客をいただいた」と報告。「栃木県は65〜70%が首都圏からのお客さま。皆さまに御礼申しげたい」と謝意を表した。
小針務・栃木県産業労働観光部参事は「08年の栃木県全体の観光客宿泊数は前年対比1・7%減の820万人。3%増を達成したJTBには底力を感じる」と述べた。
同支部によるシンフォニー号のディナークルーズを使った観光説明会は今年で4年目。船上説明会は珍しいが「海上に出ている約2時間30分の間、じっくりと宿や観光スポットのご紹介ができるため、年1度行っている」(金谷譲児・誘致宣伝委員長=鬼怒川金谷ホテル総支配人)。経費的にも都内ホテルでの開催と比べてむしろ安上がりという。JTB社員にも好評で、今年は定員の100人を若干上回る参加希望があった。
船上では、とちぎ和牛、栃木シャモ、栃木あゆ、那須の白美人ねぎ、県産アスパラガス、とちおとめイチゴなど栃木県の食材を使った料理を提供し、食の魅力も伝えた。
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