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ビジネス ■第2523号《2009年7月18日(土)発行》
TPA、北海道で観光フォーラム開催
開会あいさつする大島会長
観光振興懇話会(TPA、大島利徳会長)は10日、訪日中国人旅行客の誘致などを軸に今後の北海道の観光活性化を考えるシンポジウム「北海道観光振興フォーラム」を札幌パークホテルで開いた。国内外から約350人が参加した。
中国からは、胡勝才中国駐札幌総領事、范巨=中国国家観光局(東京)首席代表のほか、遼寧省、瀋陽市、上海市、広東省、天津市、天津市塘沽区、北京市の各省市区からTPAが招へいした、旅遊局(観光局)と旅行会社の幹部20人が参加した。
日本側は、北海道内の行政、観光関連事業者を中心に約330人が出席した。
冒頭に、松田昌士JR東日本相談役、神谷俊広観光庁次長、胡勝才総領事、山本邦彦北海道副知事がそれぞれあいさつ。山本副知事は「今月から発給が始まった中国人向け個人観光査証が北海道のインバウンドにとって大変な追い風になると思っている」と期待を込めた。
基調講演では尾澤克之北海道運輸局長が「観光立国の実現に向けて」と題して、日本と北海道のインバウンドの現状などを紹介。また、石森秀三北海道大学観光学高等教育センター長は「北海道は感幸王国になれるか」をテーマにした講演で、「人口、GDPでフィンランド1国ときっ抗する北海道のポテンシャルはとてつもない。グリーンライフツーリズム、ヘルスツーリズム、スポーツツーリズムのメッカであり、カジノエンターテインメントの可能性を探る必要もある」などと述べた。さらに「安売り観光の大地」から「人生を楽しむ感幸の大地」への脱却を提唱した。
パネルディスカッションでは、作古貞義TPA名誉会長・流通科学大学名誉教授の進行のもと、池田光司札幌観光協会副会長、渡辺孝一岩見沢市長、長沼昭夫スイーツ王国札幌代表、浜田健一郎ANA総研社長、鳥越靖司ジャルツアーズ副社長の5人のパネラーが「北海道観光の道標と活性化」について、壇上で意見を交換。「北海道は本来持っている力を出し切っていない。観光地としてもっと頑張らなければならない」という点で一致した。 懇親会にはサプライズゲストとして、中国人1億人以上が見て、中国の道東ブームに火をつけた映画「非誠勿擾(フェイチェンウーラオ=ひやかしお断り)」のプロデューサー、宇崎逸聡氏が登場。中国人招へい団のメンバーを喜ばせた。
TPAによる地域観光振興フォーラムの開催は、07年2月に湯本富士屋ホテルで開いた「国際観光地『ハコネ』の活性化を考える」、08年3月にハウステンボスで開いた「長崎観光振興フォーラム」に次ぐ3回目。次回は10年に福岡で開く予定だ。
中小企業景況感、13期ぶりに改善
中小企業庁はこのほど、今年4〜6月期の中小企業景況調査の結果を公表した。それによると、同期の全産業の業況判断DI(前期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値、季節調整値)はマイナス43.4で、前期(今年1〜3月期)から6.6ポイント改善した。改善は13期ぶり。同庁は今期の業況について「下げ止まりの動きが見られるものの、依然として厳しい状況にある」としている。業種別では、「飲食・宿泊業」が前期から12.4ポイントの大幅な改善となった。
調査は6月1日、全国の中小企業1万8880社に聞き取り方式で行った。回答企業は1万8367社で回答率97.3%。 業況判断DIを業種別にみると、製造業はマイナス44.7で、前期比10.3ポイント改善。非製造業はマイナス43.1で、同5.3ポイント改善した。
非製造業の中では、飲食・宿泊業が前期のマイナス51.5を12.4ポイント上回るマイナス39.1。3期ぶりにマイナス30台に回復した。
飲食・宿泊業を含めたサービス業全体は前期比6.0ポイント改善のマイナス40.7。このほか建設業(前期比3.1ポイント改善のマイナス44.2)、卸売業(同0.5ポイント改善のマイナス46.5)、小売業(同7.1ポイント改善のマイナス44.6)も前期を上回った。
地域別では、全国8地域中、北海道を除く7地域で前期比改善した。都道府県別では、大阪府、北海道、兵庫県で前期比悪化したが、ほかの44都府県で改善した。
来期(今年7〜9月期)の見通しは、全産業で今期比6.2ポイント改善のマイナス37.2。このうち製造業は同12.4ポイント改善のマイナス32.3、非製造業は同4.1ポイント改善のマイナス39.0。非製造業のうち、飲食・宿泊業は同1.8ポイント改善のマイナス37.3。
昨年急激に上昇した原材料・商品仕入れ単価DIは昨年7〜9月期をピークに3期連続で低下。ただ、同時期ほぼ横ばいで推移していた売上単価・客単価DIも4期連続で低下。「需要の低迷を背景に中小企業の業況の回復に影を落としている」(中小企業庁)としている。調査対象企業で主なコメントは次の通り。
「不景気感の上にインフルエンザによる影響で消費者の外出の機会も減り、それが売上高の減少に結びついている。加えて商品単価の下落に歯止めがかからず、固定費の負担増を感じる」(飲食業、滋賀)。
「客単価の低下、客数の減少が顕著であり、低単価の客数は伸びているものの、原価率は上昇傾向にあり、状況は非常に厳しい」(宿泊業、大分)。
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