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観光行政 ■第2523号《2009年7月18日(土)発行》
カーボンオフセット、観光業者の導入支援へ
旅行者が観光や移動に伴い排出する温室効果ガス(CO
2
)を埋め合わせるカーボンオフセットを交通・観光分野の事業者が簡単に導入できる支援システムがスタートする。国土交通省所管の財団法人、交通エコロジー・モビリティ財団(井山嗣夫会長)が10月に立ち上げる。コストなどの面から導入に消極的だった中小規模の事業者などのシステムへの参加が期待されている。旅館・ホテルも活用できそうだ。
カーボンオフセットは、日常生活や経済活動により排出される温室効果ガスを別の削減活動により「相殺」すること。サービス・商品の利用者がオフセットを行うには、利用、購入に際し、任意で出資金を支払い、企業側がそれを原資に排出権を取得するなどの仕組みが必要だ。
交通・観光分野では、航空会社や大手旅行会社、シティホテルなどの一部に、カーボンオフセットの仕組みを導入している事例がある。企業側にとっては、自社の環境問題への取り組み姿勢をアピールできるなどの利点がある。
一方で、排出量を算定する統一的な基準がなく、利用者に対する透明性、信頼性をいかに確保するかなどが課題。また、中小規模の事業者には、導入にかかるコストの負担、効率性などの問題があり、あまり活用は進んでいない。
同財団がカーボンオフセット導入の窓口として開設する支援システムは、利用者のオフセットの実績を事業者がウェブ上の専用サイトから入力、利用者から集めた出資金を払い込むと、排出権の調達業者を通じて証書が発行される仕組み。排出権は、発展途上国での温室効果ガス削減に関する事業への出資などで取得することになる。
同財団はカーボンオフセット導入に関するガイドラインも策定し、国交省の推奨を受けている。バス、タクシー、宅配、レンタカー、旅客船、ホテル、旅行の7業種について、CO
2
排出量の算定方法やオフセット料金の徴収方法、情報提供のあり方などの指針を定めている。
宿泊業に関しては、業種の項目では「ホテル」とされているが、旅館などでも活用できる。宿泊に伴う利用者のオフセットの対象範囲は、客室の利用に関する排出量のみに設定。算定が困難な公共スペースや宴会場の利用、食事などは対象範囲外にしている。
宿泊施設が支援システムに参加するには、1客室1泊当たりの排出量を算定する必要がある。事業者は、施設全体のエネルギー消費量(電力、ガス、重油など)、施設全体に占める客室部門のエネルギー消費量の割合を設定する。その他は客室総面積、標準的な客室の面積、客室稼働率といったデータがあれば、所定の係数を使って算定が可能だ。
航空会社などの導入例をみると、利用者がオフセットする金額は、利用したサービスに伴う排出量のすべてを相殺するとは限らず、半額などに設定している場合もある。同財団が立ち上げる支援システムに関しては、「例えば宿泊の場合、1泊当たりの排出量すべてを対象とするのか、一定の割合で事業者が設定できるのかといった詳細は、システムの構築の仕方などの観点から検討していく」(同財団)。
実施状況の確認、審査に費用を要するタクシーなどの業種を除く、宿泊、旅行、レンタカーなどの業種は、システムへの参加費用や手数料はかからないという。
同財団は10月1日からのシステム稼動を目指す。今後はシステムやガイドラインについて関係団体などを通じて周知し、参加事業者を募っていく予定。
観光庁次長に武藤航空局監理部長
観光庁は14日、人事異動を発令した。観光庁次長に国土交通省航空局監理部長の武藤浩氏が就任するなど、幹部、課長クラスが動いた。
次長の神谷俊広氏は、国交省関東運輸局長に就任。新たに次長に就いた武藤氏は、2004年7月〜05年8月にかけて国交省総合政策局観光企画課長を務めた。
文部科学省から出向していた審議官の西阪昇氏は文科省に戻り、大臣官房文教施設企画部長に就いた。新任の審議官には国交省航空局監理部総務課長の甲斐正彰氏。 観光地域振興部長の大黒伊勢夫氏は、国交省海事局次長に就いた。後任は今後発令される。
この他の13日付を含めた観光庁人事は次の通り(敬称略)
国交省大臣官房広報課長(国際交流推進課長)平田徹郎▽国際交流推進課長(国交省鉄道局財務課長)瓦林康人▽国交省大臣官房付(観光資源課長)水嶋智 ▽観光資源課長(国際観光政策課長)久保田雅晴 ▽国際観光政策課長(国交省大臣官房総務課企画官)大崎豪太▽国交省九州運輸局企画観光部長(総務課企画室長)加藤進 ▽出向・文科省生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室長(観光地域振興課地域競争力強化支援室長)服部真樹 ▽観光地域振興課地域競争力強化支援室長(文科省科学技術・学術政策局企画官)坪田知広 ▽国交省港湾局計画課企画室課長補佐(国際観光政策課長補佐)秋田未樹 ▽国際観光政策課長補佐(国交省航空局監理部航空事業課航空物流室課長補佐)大坪弘敏
公取委、旅行3社に排除措置命令
公正取引委員会は10日、岡山県岡山市の市立中学校の修学旅行の取り扱いについてカルテルを結んでいたとして、近畿日本ツーリスト(KNT)、東武トラベル、トップツアーの3社に対し、独占禁止法の遵守についての行動指針の作成などを含む排除措置命令を出した。
命令は、修学旅行の貸切バス料金や企画料金の料率などについて、事業者共同で金額を決定せず自主的に決めることを取締役会で決議することを求める内容。
市内中学校や一般消費者に向けた再発防止のための措置内容の周知や、法務担当者による定期監査の実施なども盛り込まれている。
3社のほか、JTB中国四国、日本旅行の2社についても独占禁止法の不法な取引制限の禁止規定の違反が認定されたが、公正取引委員会の調査前にカルテル違反の事実を自主申告したことなどから、排除措置命令の対象とはしなかった。
独禁法違反と認定された5社は、それぞれ自社のホームページに謝罪文を掲載。再発防止に向けた取り組みを進める姿勢を明らかにしている。
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