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観光行政 ■第2527号《2009年8月22日(土)発行》  

経産省、医療ツーリズム事業化へ検討着手
 経済産業省は診療目的で来日する外国人を視野に入れた、医療ツーリズムの事業化に向け検討を開始する。日本の医療は費用対効果が大きく、技術水準も高い。また、食生活などに対する国際的な関心も強まっていることから、観光や伝統文化などと連動させれば、モノづくり以外の分野での国際貢献と国内におけるサービス関連産業の活性化につながると判断した。同省は実証調査も予定しており、事業化に伴う問題点や課題などを把握する考えだ。

 同省は1月、医療の国際化と関連サービス産業の連携策を検討するため商務情報政策局に「サービス・ツーリズム(高度健診医療分野)研究会」(座長・下田智久ヒューマンサイエンス振興財団理事長)を設置、17日までに検討結果(報告書)をまとめた。研究会のメンバーは東京の主要病院長らが中心だが、オブザーバーとしてJTBなど観光関連企業・団体も参加。

 報告書は、(1)医療機関の連携の必要性(2)宿泊施設、旅行会社、通訳・翻訳など支援(アレンジ)業者の役割(3)医療機関とアレンジ業者間の連携のあり方──から、外国人とアレンジ業者、アレンジ業者と医療機関との間の契約モデルまで提示しており、医療ツーリズムのガイドライン的な内容となっている。

 対象国はアジアやロシアが中心で、対応言語についてはまず英語、中国語を念頭に置き、「需要に応じて韓国語、ロシア語を想定すべき」との考えを示した。

 同省は研究会報告を受け、実証調査を行う。具体的には、研究会に参加した医療機関を中心に外国人受け入れに関心を示す病院で、「国際医療サービス推進コンソーシアム」(仮称)を作り、調査を通じ、医療機関側の具体的な受け入れ態勢を構築する。  また、医療情報の海外発信や病院の外国人受け入れを包括的に支援するため、旅行会社や宿泊施設、通訳会社などに呼びかけ「国際医療サービス支援センター」(同)を設置する。

 報告書では支援センターの業務について、(1)予約、日程変更などの受付・管理(2)料金決済(3)宿泊先、交通、通訳、ビザ、観光地などの手配(4)リピーター対応──などを挙げており、実証調査でもこうした点について検討し、事業性を見極めると見られる。

 医療ツーリズムは未知な分野であり、観光業界も手探り状態にあるが、ニューツーリズムの1つとして関心を示す向きもあり、同省の実証調査の成果が注目される。



九州全域対象の中小再生ファンド発足
 中小企業庁によると、中小企業基盤整備機構と九州の金融機関が10日、九州全域を対象とした中小企業再生ファンドを設立した。九州各県の再生支援協議会が手掛けた再生計画に基づいて、出資や債権買い取りなどの再生支援を行う。旅館・ホテルも視野に入れており、新たな再生ファンドの取り組みが動き出す。

 九州全域の企業を対象としたファンドの設立は初めて。大分銀行などが主体となる2つ目のファンドだが、今回は福岡銀行や豊和銀行なども出資しており、ファンド総額は30億円。大分ベンチャーキャピタルが運営者となる。

 支援対象企業は再生可能な事業基盤を持ち、各県の中小企業再生支援協議会などでの再生計画策定支援などを受けたもので、20件程度の支援を見込んでいる。「当然、旅館・ホテルも対象業種となる」(中小機構ファンド審査第2課)。

 出資や債権買い取りのほか、主要株主として経営に関与し、人材派遣や後継者の育成なども支援する。中小機構が約15億円を出資するため、民間ファンドに比べ長期間支援を続けられる特徴があるという。





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