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観光行政 ■第2529号《2009年9月5日(土)発行》  

観光庁、国内旅行税制を創設へ
 観光庁は、国内観光旅行を活性化するため、来年度の税制に、旅行費用の一部を所得税額から控除する「国内観光旅行税制」の創設を目指すことを明らかにした。8月31日、財務省に提出した税制改正要望に盛り込んだ。税制の創設に対応する形で、国民の国内観光旅行を促進する法制度も整備する方針だ。控除措置の具体的な要件は検討中で、需要拡大への効果などを精査し制度設計を進める。

 観光庁は、経済情勢の悪化などで旅行需要が「急速に減退」している現状を踏まえ、所得税の特例措置として国内観光旅行税制の創設を要望。これにより国民1人当たりの国内宿泊観光旅行の回数を現状の年間1.5回から2014年度までに3回に増やすことを目標に掲げている。

 所得控除の対象となる旅行の要件、限度額、控除率などは未定。減税効果などをシミュレーションして制度の詳細を詰める。国内観光旅行税制の創設と合わせて整備する法制度に関しては、「具体的な内容は検討中。新法などを含めて幅広く検討し、国内観光旅行を促進する仕組みとしたい」(観光産業課)。

 国内旅行の所得控除措置については、これまでも日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟、全国旅館生活衛生同業組合連合会が、旅館3団体連名または単独の税制改正要望として、国や与党に創設を求めてきた。昨年度の3団体連名の要望書でも「国内旅行の需要拡大は、地域の振興・活性化、国民の健康増進に寄与する」として創設を要望していた。

 政権交代により来年度予算の概算要求や税制改正要望が白紙に戻る可能性もあるが、国内観光旅行税制が実現すれば、旅行消費を押し上げる効果が期待できそうだ。特に宿泊を伴う観光旅行の回数、宿泊数が増加すれば、地域経済への波及効果も見込める。



来年度予算概算要求は14%増の72億円 観光庁

 観光庁は8月31日、来年度予算の概算要求を発表した。2009年度当初予算比14%増の総額72億900万円を要求し、2020年に訪日外国人旅行者を2千万人にする目標の実現に向けた施策などを強化する。外客誘致関連事業を括った「訪日外国人2千万人プログラム」では、プロモーションの強化のほか、外客の受け入れ環境の整備を促すため、地域の現状を評価する基準づくりに予算を充てた。

 政権交代が予想される中での予算編成作業となったことについて、観光庁では「政権交代を意識して予算を組んだということはない。外国人旅行者の訪日促進、観光圏の整備など、これまで取り組んできた観光政策のさらなる推進が柱となっている」(総務課・石原大企画官)。

 来年度概算要求額のうち、日本政府観光局(JNTO)の運営費交付金などを除く、各種施策に充てる予算は09年度当初予算比23%増の49億3900万円となった。

 各種施策に充てる予算は、2千万人プログラムに加え、「国際競争力の高い魅力ある観光地づくりプログラム」「旅行需要創出に向けた周辺環境整備プログラム」の3分野に分かれている。

▽訪日外国人2千万人プログラム(要求額=23%増の41億700万円)
 ビジット・ジャパン事業には33億5200万円を充て、プロモーションを強化。2010年を「ビジット・ジャパン・イヤー」に設定していることから、観光・運輸業界だけでなく、小売業や製造業など幅広い業界とタイアップした誘客活動を促進する。また、現在の重点12市場にインド、ロシア、マレーシアの3カ国を追加し、新興市場を掘り起こす。

 受け入れ環境の戦略的整備のための評価基準の構築のため6千万円を使う。地域の交通機関や宿泊施設、観光施設、観光案内所などを対象に、標識の外国語表示や多言語対応の現状を評価する基準を作成。地域の課題を明確化することで、改善、向上につなげる。地域間、国際間の比較もできるようにする。

▽国際競争力の高い魅力ある観光地づくりプログラム(要求額=27%増の7億7300万円)
 観光圏整備事業に6億8300万円、観光まちづくり人材育成事業に2900万円、新規事業として瀬戸内海などの船旅振興事業に6千万円を計上した。

 観光圏の整備では、グリーンツーリズムを推進する農林水産省の「ようこそ!農村」プロジェクトとの連携を促すほか、観光魅力の創出につながる社会資本整備を重点的に支援する。

▽旅行需要創出に向けた周辺環境整備プログラム(要求額=20%減の5900万円)
 政府を挙げて取り組むべき課題に位置づけられている休暇取得・分散化の促進に関する実証事業として3千万円。企業の休暇取得促進に加え、学校休業の多様化、柔軟化につながる実証事業を地域で行う。

 08年度から実施している観光産業イノベーション促進事業には2400万円を付け、公募により生産性の向上などにつながる実証事業を支援する。



TIJが「1ウイークバカンス」キャンペーン
キャンペーンのポスター

 日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)は1日、「1ウイークバカンス」キャンペーンの実施計画を発表した。9〜11月を集中告知期間と位置付け、全国規模でキャンペーンポスターを掲載するとともに、「旅と休みはちょっと長めがいい」をコンセプトに、連休に有給休暇を加えた1週間の長期休暇取得を広く訴えていく。

 「会員企業・団体の協力を仰ぎ、業界内の連携を深めてツーリズム産業界にムーブメントを起こし、観光立国実現に向け取り組んでいく」とTIJ。

 ポスターの図柄はメーンキャラクターとして3世代家族と、OLを素材とした写真を採用した。会員企業・団体の本社や支店、各店舗のほか、JRや私鉄、地下鉄の主要駅、国内全空港でも掲出する。

 旅行への機運を高めるため、「旅行プランコンテスト」を実施する。1週間の連続休暇がとれたらどう過ごすかなど、具体的なアイデアや夢を募集。最優秀賞(1点)には10万円相当の旅行券と国内無料航空券ペア1組分などを贈る。12月8日に行われる「ツーリズムサミット2009」で表彰する。

 9月1カ月間、「クイズ&アンケート」を行う。簡単なクイズに正解しアンケートにすべて回答すると、会員企業・団体の冠が付いた旅行商品やギフト券、宿泊券(1〜5万円相当)が当たる。

 「実際に旅行に出てもらうための旅行・宿泊商品のラインナップも充実した」(TIJ)。  KNTはウェブ専用商品として、8月下旬から12月下旬出発設定で「ロングステイ沖縄7日間ステイ」を発売。トップツアーは「北海道・十勝でちょっと暮らし体験」という、十勝地区をデスティネーションとした地域ならではの貴重な体験のできる着地型プチロングステイ商品を造成する。

 TIJはキャンペーンを通じ「新しい国内観光旅行需要の開拓、旅行需要の平準化を図れれば」と話している。



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