自然や文化、食などをテーマに地域ならではの体験プログラムを提供する信州諏訪温泉泊覧会「ズーラ」が10月24日〜11月15日の23日間、長野県の諏訪地域で開かれる。観光関係者はもとより、地域づくりにかかわるさまざまな団体、グループなどが75種のプログラムを企画。諏訪の魅力を満載したメニューで旅行者を魅了する。
参加目標3千人
ズーラは、地元自治体や観光団体、商工会議所などでつくる実行委員会が主催。大分県別府温泉で始まった「別府八湯温泉泊覧会ハットウオンパク」が手本で、開催にはNPO法人ハットウオンパクが協力している。
昨年の開催は試験的な位置づけながら、諏訪湖周辺の諏訪市、岡谷市、下諏訪町を舞台に、用意した15プログラムへの参加人数は9日間で500人に上った。今年は開催期間を延ばし、参加地域に八ヶ岳山麓の茅野市、富士見町、原村が加わった。体験プログラムは75種、計200本に増え、参加人数は3千人を見込んでいる。
県内外から集客を見込み、メーンターゲットは30〜40歳代の女性に設定した。体験プログラムは、歩いて地域の自然を巡るミニツアーから、歴史や文化を学ぶ体験ツアー、スポーツや健康がテーマの企画まで多種多様。所要時間も、料金もプログラムによって幅があるが、おおむね3時間前後で約3千円のメニューが中心となっている。
地域の魅力生かす
体験プログラムは説明会を開いた上で地域から幅広く集めた。「昨年、参加者からの反響が大きかったこともあり、地域の意欲も高かった。観光事業者だけでなく、地域づくりの団体なども参加しているのが特徴」(諏訪市観光協会)。
多様な団体やグループの参加で、新しい視点からプログラムが生まれた。建築物に注目して諏訪の街を歩く「歴史とデザイン散歩」(諏訪あるきテクト主催)、大正時代に活躍した歌人のゆかりの地を訪ねる「アララギ派・島木赤彦のふるさとを訪ねて」(住民有志ら主催)、明治期から盛んだった製糸業の足跡をたどる「シルクの産業遺産をめぐる」(諏訪湖エリアまちなか観光案内人協議会主催)などがある。
旅館が主催するプログラムもある。聴泉閣かめや(下諏訪町)の「宿場町でお姫様気分」、桔梗屋(同)の「いにしえ浪漫姫街道」はいずれも、十四代将軍徳川家茂に降嫁した皇女和宮や、その母・勧行院が下諏訪に宿泊した史実を基にした企画。「姫御前」と名付けた昼食などを提供する。
参加受付はウェブサイト(
http://zoola.jp/)で7日から、電話受付は10日から諏訪湖温泉旅館協同組合(TEL0266・52・7155)で始めた。旅行会社のツアーやネットエージェントの宿泊予約とも連動してPR。地元メディアを通じた情報発信も行っている。
実行委員会では、ズーラの開催を通じ、(1)リピーターや長期滞在客の獲得(2)地域の人材育成や商品・サービスの開発(3)観光地のイメージアップ──を推進したい考えだ。