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観光行政 ■第2532号《2009年9月30日(水)発行》
産業観光まちづくり大賞、金賞は北九州市
全国産業観光推進協議会は28日、第3回「産業観光まちづくり大賞」の金賞に北九州市を選んだと発表した。表彰式は10月22日、群馬県富岡市で開く全国産業観光フォーラムの開会式で行う。
銀賞は函館市と益子アートウォーク実行委員会、特別賞は横須賀市・横須賀集客促進実行委員会・トライアングルとYKK・黒部市が受賞した。
北九州市は市域の39事業者が産業観光振興に協力し、多種多様な工場見学を実施。周辺には北九州イノベーションギャラリーなどの公的学習施設や産業施設があり、産業観光資源としての多様性にも富んでいる。08年の産業観光見学者数は約28万人、海外からも約2万人が訪れている。
かつての公害問題を克服し、環境都市・ミュージアム都市として再生した手法、受け入れ事業者と定期的な会合を持ち、良好な関係を維持している点などが評価された。
観光5学会が団結、政策提言実施へ
観光学関連の主要5学会が初めて一堂に会した。今後共同で観光分野での政策提言を行っていくことなどを確認した。
日本観光研究学会(安島博幸会長=立教大学教授、写真左)、日本国際観光学会(香川眞会長=流通経済大学教授、写真左から2人目)、日本ホスピタリティ・マネジメント学会(山上徹会長=同志社女子大学教授、写真左から3人目)、日本余暇学会(薗田碩哉会長=実践女子短期大学教授、写真右から2人目)、ツーリズム学会(井上博文会長=東洋大学教授、写真右)の5学会は26日、東京・文京区の東洋大学白山第2キャンパスで「観光・余暇関係諸学会共同大会」を開いた。
50人以上による個別研究発表の後、各学会会長がパネリストとして登壇。松園俊志日本国際観光学会副会長(=東洋大学教授、写真中央)のコーディネートで「観光・余暇関連諸学会シンポジウム」を夕刻から行った。
各学会の設立経緯や現況の報告、今後の活動についての意見交換などを行った。
5学会は、統合ではなく緩やかな連合を組むことで切磋琢磨し、日本の観光に貢献していくことを確認。5学会共同で政策提言も行っていく方針だ。共同大会は今後も継続して開いていく。
シンポジウムでは松園教授が「今まで各学会が横のつながりを持たずに個別に活動してきたが、観光立国が国策となり連携の必要がでてきた」と共同大会開催の趣旨を説明。
各学会会長からは次のような様々な意見、表明があった。
「観光学の学術的レベルを高め、政策提言を行っていくことが学会の役割の一つとして求められている」(安島会長)。「観光は、相互理解を生み、それが世界平和につながっていくという意味でも国家の重大事。学会連携による知識の公開と共有には大きな意義がある」(香川会長)。「90年代以降、同じような学会がたくさんできてしまったが、今こそ集結し、『観光学会力』を高める時期だ」(山上会長)、「日本の社会には余暇というシステムが定着していない。学会の連携で余暇問題を幅広い政策論として展開していきたい」(薗田会長)、「日本が観光立国政策を推進する以上、我々学会にもそれに応えていく責務がある」(井上会長)。
「観光立国さらに推進」前原国交相が表明
会見する前原国交相(17)日
新政権で国土交通大臣に就任した前原誠司国交相は、9月17日の就任会見で、政策の柱として日本の成長分野である観光振興に注力する考えを示し、「観光立国をさらに推進する」と表明した。前原氏は、松下電器産業(現パナソニック)の創業者、松下幸之助氏が設立した松下政経塾の出身で、松下氏が「観光立国」を提唱したことにも会見の中で触れ、観光立国実現への思い入れを語った。政治主導を掲げる政権下でどのように観光政策を具体化していくのか、その手腕が注目を集めそうだ。
9月16日、鳩山内閣が発足し、国交相として前原氏が入閣した。内閣府特命担当相の沖縄・北方対策担当相、防災担当相を兼務。鳩山首相からは、沖縄・北方対策、防災分野を含め6項目の取り組み指示があったとされる。国土交通分野では高速道路の無料化、公共事業の見直しに加え、「地域を主役とした観光立国の推進」が含まれ、観光政策が重視されている。
前原国交相には、小泉内閣の石原伸晃国交相以降、6人の国交相に任命されてきた「観光立国担当相」の職名は示されていないが、もとより内閣府特命担当相のような法定の呼称でない上、首相からも観光立国政策に指示があることから、必要に応じて観光立国担当相を名乗ることもあり得るとの見方もある。
前原国交相は、17日未明の首相官邸、17日午後の国交省それぞれの就任記者会見で重ねて観光振興への意欲を示した。国交省で行われた一般紙、専門紙合同の記者会見では、冒頭の抱負の中で、公共事業の見直しに関する考え方を説明した後に、「公共工事の問題だけでなく、社会資本の整備、公共交通の推進などが国交省の大きな役割。そういう意味で力を入れていきたいのは観光だ。観光立国のさらなる推進を図っていかなくてはいけない」と述べた。
記者会見では、八ッ場ダムの建設見直しや日本航空の経営再建、高速道路の無料化など、社会の関心が高い問題に報道機関の質問が集中。課題が山積する中で、前原国交相は、少子高齢化、人口減少が進む日本の成長戦略として観光に着目しており、航空政策などにも観光立国の推進を念頭に取り組む姿勢のようだ。
前原国交相は「観光をはじめ、日本の成長を促すための政策、空港や港湾などの競争力の強化を図る必要がある。見直すべきところはしっかり見直し、伸ばせるところはしっかり伸ばすことが大事な観点だ。日本経済への寄与、貢献のために努力したい」と語った。
観光立国の実現に対する意欲が、予算編成や今後打ち出す各種施策にどのように具体化されるかが注目。日本の観光が、外国人旅行者2千万人という新しい目標を見据える中で、観光政策のさらなる強化が期待される。
「松下幸之助さんの思いを体現したい」
前原国交相は、政界に多くの人材を輩出してきた松下政経塾の出身だ。国交省での会見では、松下氏の提唱した「観光立国」への思い入れを自ら披露する場面もあった。
「私の知る限り『観光立国』という言葉を初めて使ったのは、松下幸之助さんではないかと思う」と述べ、「松下政経塾で学んだ者の1人として、幸之助さんの観光立国への思いを体現すると同時に、日本にとっての成長分野である観光を推進したい」と力を込めた。
前原 誠司氏(まえはら・せいじ)
民主党。衆議院・京都2区、当選6回。京都市左京区生まれ。京都大学法学部政治学科卒。京都府議を経て、1993年7月、衆院選に初当選。2001年9月に民主党幹事長、05年9月に党代表、07年8月から党副代表。47歳。
国交省、バス業界に整備徹底を要請、連続炎上を重視
国土交通省自動車交通局は9月20日に東名高速道路で発生したバスの火災事故を受けて9月24日、長距離バスを運行するバス事業者が加盟する2団体に対し、事故防止のための緊急点検整備の実施を周知徹底するよう求める要請した。
日本バス協会と高速ツアーバス連絡協議会に対し、各団体会員が所有する、独・ネオプラン社製のバス車両と独・メルセデス社製エンジンを載せたバスの緊急点検実施を呼びかける内容。
今回火災事故を起こしたのは、メルセデスベンツ社製のエンジンを積んだ、ネオプラン社製の車体のバス。
昨年5月、今年3月にも同じようにメルセデス社のエンジンを積んだネオプラン社製のバスが走行中に炎上する事故を起こしている。
国交省によると、現在国内で登録されているネオプラン社のバス車両は192台。このうちメルセデス社のエンジンを積んでいる車両の台数は不明という。
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