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観光行政 ■第2538号《2009年11月14日(土)発行》
観光庁、温泉街の再生など促進、14事業を支援
観光庁はこのほど、観光産業の新たなビジネスモデルづくりを支援する観光産業イノベーション促進事業で、補助金を交付する採択事業を決定した。地域や産業界の幅広い関係者が連携して取り組む温泉街の再生、宿泊業の活性化に向けた実証事業など、全国各地で展開される14件を支援する。
イノベーション促進事業は、顧客サービスの向上や事業体質の改善につながる先進的な取り組みを促進するのが目的。昨年度は6件の実証事業を支援した。今年度の公募には68件という多数の応募があり、有識者らで構成する委員会で採択案件を決定した。
複数の旅館・ホテルでつくるCS調査委員会が実施する「宿泊経営プロセスイノベーションと共通ブランド構築事業」は、全国60件の宿泊施設で顧客満足度の調査を行う。調査結果や改善手法を共有し、効率的に経営改善を推進する。
群馬県の四万温泉は、温泉街での滞在時間延長につながるレイト・チェックアウトを実現するため、旅館での客室清掃の生産性の向上に取り組むほか、地元食堂でのブランチの提供など、朝の時間帯の魅力づくりから新たなブランド構築に結びつける。
昨年度に続く採択となった神奈川県の湯河原温泉は、大都市に近い立地を生かし、平日の宿泊や1人旅のニーズにこたえる商品づくりを進める。また、「朝食をゆっくり楽しみたい」という要望を踏まえ、旅館での調理場のシフトの再検討や飲食店との連携を図り、温泉街での食事形態の多様化を進める。
長野県の北志賀竜王高原では、新たに設立した竜王ホテル&リゾートを持ち株会社として、複数の宿泊施設が一体的な事業再生に取り組む。事業再生の専門家などを交え、商品開発や販路開拓、共同仕入れなど生産性の向上を図る。
石川県の湯涌温泉では、複数の旅館と、金融機関、行政が連携して温泉街のにぎわい創出事業を推進する。旅行者の回遊性を高めるため、各旅館が持つ喫茶スペースや売店などのパブリックスペースの活用、魅力向上に取り組む。
企業再生支援機構、中小再生へ専門チーム
官民共同出資の企業再生支援機構は今月中旬をめどに、全国の中小企業の再生を手掛ける専門チーム「中小企業再生支援センター」を設置する。懸案となっている、旅館・ホテルを含めた中小企業案件に対する取り組みがようやく動き出す。
センターには10人程度のメンバーを配置する。各都道府県に置かれている中小企業再生支援協議会(経済産業省所管)と連携しながら、(1)専門相談窓口の設置(2)同協議会、金融機関、自治体などとの連携を円滑に進める地域ブロック担当者を配置(3)企業再生の専門家で構成する「中小企業再生支援キャラバン隊」を組織し、各地で研修会や個別相談会を実施──などに取り組む。
国交省が叙勲・褒章伝達式
旅館・ホテル関係者も式に臨んだ
国土交通省は、秋の叙勲の伝達式を5日に東京都・千代田区のグランドプリンスホテル赤坂で、褒章の伝達式を10日に同省大会議室で行った。対象者は叙勲が361人、褒章が79の個人・団体。旅館・ホテル関係では7氏が受章し、喜びの日を迎えた。
叙勲の伝達式では、前原誠司国交相の式辞を馬淵澄夫副大臣が代読し、「国の発展に貢献された皆さまの功績に深く敬意を表すとともに、一層のご健闘を祈念します」との言葉を送った。
観光事業振興功労として旭日双光章を受けた鹿児島県の指宿シーサイドホテル代表取締役、日本観光旅館連盟理事の有村純弘氏(70)は「日観連会員の皆さまに支えられたおかげ。これからも日観連をもっと多くの人に知ってもらえるようがんばりたい。外国人旅行者の受け入れ態勢づくりにも努力したい」と話していた。
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