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旅館・ホテル ■第2538号《2009年11月14日(水)発行》  

国観連、“融通”きく予約 実証へ
 国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1203会員)は12月から、客室流通の効率化、高度化に向け、専用ウェブサイトから旅館の宿泊プランを直販する実証事業を行う。昨年度の実証事業に続く第2弾。宿泊客の部屋や料理に対する多様なニーズにこたえたり、客室の割り振りを効率化できたりする“融通”のきく宿泊予約システムを採用。顧客の満足度を高めながら稼働率の向上と利益の最大化を目指す。販売に際しては商慣習を見直し、宿泊と食事それぞれの料金の明示にも取り組む。

 実証事業は、深夜にチェックインできる宿泊プランなどを直販した昨年度の試みに続くもの。宿泊予約システムやコールセンターのサービスを手がける複数の企業、団体と連携して取り組む。観光庁の観光産業イノベーション促進事業の支援事業に採択されている。

 使用する予約システムは、独立行政法人・産業技術総合研究所が開発した「融通予約」システム。部屋と食事メニューを自由に組み合わせた予約が可能なほか、宿泊客が特定の部屋を希望する際、すでに先約があっても、先約客に部屋指定の意思がなければ、リアルタイムに新たな予約を割り込ませて部屋を振り替えるなどの“融通”のきく機能が特徴。

 実証事業では、部屋や料理に“こだわり”を持つ宿泊客には多様な選択肢を、部屋や料理にこだわらない“おまかせ”の宿泊客に対しては通常料金からの割引を提示。予約に際しては、客室を効率的に割り振る機能などを試す。こうした実験的な試みが新たな需要の創出や販売機会のロスをなくすのに効果があるのかを検証する。

 また、旅館の料金は1泊2食付きの表示が一般的だが、宿泊プランの販売に際して部屋や食事の選択肢を提示するため、客室料金、食事料金それぞれの明示も試みる。宿泊単価の下落、低価格を売りにする旅館の参入などの市場環境を踏まえ、「泊食の料金明示を通じ、サービスの価値に見合った料金であることを消費者に知ってもらう狙いもある」(国観連・小関政男専務理事)。

 今後、国観連会員の中から参加旅館を募り、12月11日にオープン予定のウェブサイトから宿泊プランを販売してもらう。実証期間は来年3月まで。国観連では、実証事業を顧客の視点に立った商慣習の見直し、客室流通の構造改善につなげる契機としたい考えだ。

 また、客室流通の実証事業の一環として、外国人旅行者の宿泊予約を増やすためのマーケティングも試みる。国観連は、海外から宿泊予約が受けられるオンライン環境を提供しているペガサスソリューションズと契約している。契約に基づきオンライン環境の接続準備を進めている会員旅館は約50軒に上ることから、予約獲得に向けたセールスの方策などを検証することにした。



温泉協会が創立80周年、横浜で記念式典
記念式典であいさつする滝会長(中央)

 日本温泉協会(滝多賀男会長)は9日、横浜市のホテルニューグランドで、創立80周年の記念式典を開いた。また、記念事業として国際温泉会議と第62期国際温泉気候連合(FEMTEC、ニコライ・ストロジェンコ会長)大会を招致開催、世界各国の温泉関係者が親睦を深めた。

 記念式典には環境省の鈴木正規自然環境局長、観光庁の本保芳明長官のほか、観光関係団体のトップら多数が出席。FEMTECからもニコライ会長、ウンベルト・ソルメーニ事務局長も顔を見せ、80周年を祝った。

 冒頭あいさつした滝会長は「(協会は)1929年12月設立され、31年に社団法人となった。33年には学術部委員会も設けられた」とこれまでの歩みを紹介。その上で、「観光立国の一翼を担う重要な観光資源の1つが温泉だ。日本の温泉文化を世界に発信し、国際交流を促進していきたい」と抱負を述べた。

 来賓の鈴木局長は「温泉は国民生活に深く定着し、年間延べ1億人を超える人が利用している」と指摘。「協会と連携し温泉資源の保護や適正利用に適切に対処していきたい」と強調した。また本保長官は「温泉はわが国が世界に誇る魅力ある観光資源であり、保全、活用し内外の旅行者の期待にこたえる温泉地作りに努めていただきたい」と述べた。

 式典では綿抜邦彦・学術部委員長、甘露寺康雄・前中央温泉研究所長、山村順次・千葉大名誉教授、野口冬人現代旅行研究所社長ら4氏の功績を讃え、表彰状を贈った。

 また、ニコライ会長から滝会長に記念品が贈呈された。

 国際温泉会議には国内の温泉施設の事業者をはじめ、イタリア、ハンガリー、韓国、中国など14カ国・地域から温泉療法の研究者ら約250人が参加。9日は各国代表者がそれぞれの温泉事業を説明した。会場内には温泉観光展や温泉関係施設展なども開かれ、関係者の交流が図られた。

 10日は学術発表の後、箱根に移動。11日はFEMTEC総会、箱根温泉の視察。最終日の12日は群馬県・草津温泉の視察も行われた。



ホテル協会の中村会長、観光立国を「応援」
観光立国応援の言葉を述べる中村会長(中央)

 日本ホテル協会は6日、協会創設百周年を記念して中村裕会長らが記者発表を行い、観光立国を目指す政府の施策を積極的に応援する意思を宣言した。ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)への参画を深めるなど訪日外国人2千万人の早期達成に向けて取り組むほか、国内旅行の振興のため地域と連携して地域活性化にも関与していく考えだ。

 中村会長は「観光立国を目指して日本は船出をした。国土交通大臣が代わっても前原大臣の一番の関心事は観光であるという。これはなんとしても成功をさせなければいけない」と強調。外客2千万人の目標年を2020年から16年に前倒しし、さらに早期に3千万人を誘致したいとの前原大臣の意向を受け、「これを達成するにおいて我々宿泊産業は避けて通れない。我々も積極的にこの施策を応援していく」と姿勢を示した。

 具体的には、これまで以上にVJCに積極的に参画したうえで、アジア近隣諸国からの富裕層FITやMICEの市場開拓にも取り組む。また、外国人客の満足度向上のため外国衛星放送の受信設備の導入や外国人従業員の採用などを会員ホテルに奨励していく。

 さらに、中村会長は「地域の活性化にあたっては宿泊産業としてホテルの役割は大変重要」との認識を示し、「積極的に地域と連携をして、観光が1つの大きな目玉になり地域が活性化するようお手伝いしていく」と語った。



新潟旅組、ニューツーリズム技能者養成講座開講へ
 新潟県旅館組合(野澤幸司理事長)は、着地型旅行造成のノウハウを伝授するニューツーリズム技能者(余暇ナビゲーター)養成講座を11、12月、県内5会場で開講する。同県旅館組合員など県内関係者らを対象に各回30人限定で参加を募っている。

 講座は財団法人日本余暇文化振興会が監修。「地域の資源を活かして新しい体験・交流プログラムやツアーを造成・販売してみたい」という、同県在住または同県で観光事業にかかわりたい人を対象に行う。

 2日間の講座では、観光のマーケティング、流通技術などを講義。講師は和歌山大学経済学部の大沢健准教授、神戸夙川学院大学の小野田金司教授、田邊文彦教授ら。

 第1回は11月12、13日に三条市で開講。その後12月の湯沢町まで4回行う。スケジュールは次の通り。

 第2回=11月16、17日、新潟市中央区・割烹の宿湖畔

 第3回=11月19、20日、妙高市・妙高高原メッセ

 第4回=11月24、25日、佐渡市・ホテル吾妻

 第5回=12月10、11日、湯沢町・ホテル双葉



全旅連、新型インフル「知識検定サイト」の利用呼びかけ
 全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連、佐藤信幸会長)は旅館・ホテル関係者向けに、新型インフルエンザの予防や対策についての知識を検定するサイトを立ち上げ、利用を呼び掛けている。検定試験の合格者には「旅館・ホテル新型インフルエンザ予防・対策管理士」として、認定証を発行する。

 新型インフルエンザに関する2択式の30問を出題。15分の制限時間内に回答し、28問以上正解した人を合格とする。合格者にはサイト上で認定証を発行。プリントアウトして館内に掲示することで「新型インフルエンザの予防と対策が行き届いた宿泊施設と利用客にアピールできる」という。

 問題は全旅連がこのほど作成、配布した新型インフルエンザ予防・対策マニュアルから出題されている。

 検定サイトのアドレスは「http://yado-kentei.jp/influ/」。



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