観光産業を担う経営マネジメント能力を備えた人材の育成に向けて、社会人、学生を対象にした研修講座が月から、全国6つの大学で順次スタートする。国の補正予算を生かした来年2月までの試み。観光分野の高等教育を充実させるため、観光庁の有識者会議が策定した「観光経営マネジメント人材育成のためのカリキュラムモデル案」に基づき、経営戦略、財務などを重視した科目を開講する。
各大学での研修講座は、日本観光協会が主催する観光人材育成事業の一環。緊急雇用対策の補正予算を使う。講座が開かれるのは、公募で選ばれた和歌山大学、山口大学、首都大学東京、立命館アジア太平洋大学、横浜商科大学、早稲田大学。
研修講座に反映させるカリキュラムモデル案は、観光庁が設置する「観光関係人材育成のための産学官連携検討会議」の作業部会が作成。観光産
業界に不可欠な経営マネジメント能力を備えた人材を大学から輩出するために考案された。
カリキュラムモデル案は、観光関係企業の経営者や管理職に必要とされる経営戦略、会計、財務、マーケティング、人事・組織などに関する科目を重視。各大学はカリキュラムモデル案に基づく講座内容を組み、科目や教材を工夫、外部の人材も講師に活用する。
研修講座の事例を挙げると、山口大学は12月2〜24日の期間中、日間にわたって講座を開く。科目は、「経営戦略論(観光企業の知的資本経営)」「統計定量分析手法」「会計・財務(観光企業の価値創造経営)」「戦略的人材マネジメント・人的資源管理論」など。
和歌山大学は12月12、19日、1月9日の3日間、集中的に講義を行う。経営戦略などの科目のほか、「宿泊施設における
ホスピタリティ」(講師ロイヤルホテル執行役
員・中矢英俊氏)、「京都観光と地元金融機関の
取り組み」京都銀
行法人部観光支援室長・秋野稔氏)などの科目も開く。
対象者は、観光産業への就職を志す学生、求職者、観光関連産業の経営者や管理職など。受講費用は無料。講座や応募の詳細は、財団日本交通公社のホームページ(
http://www.jtb.or.jp/)まで。