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トラベル ■第2539号《2009年11月21日(土)発行》
ケータイゲームで旅行需促進
携帯電話のGPS機能を使ったゲーム「コロニーな生活プラス」(コロプラ)と旅行、運輸業界がタッグを組んだ取り組みが進んでいる。じゃらんリサーチセンター(JRC)はユーザー向けのツアーの実施と観光地のPRを組み合わせた地域振興策を打ち出し、JR九州はタイアップした周遊きっぷを発売した。いずれもゲームを進めるために実際に移動することが求められるコロプラをきっかけに、旅行に出る人を増やそうとするものだ。
コロプラは移動距離に応じてもらえるゲーム上の通貨「プラ」を使い、ユーザーが自分の土地「コロニー」を育てるゲーム。ユーザーがGPS機能を使って位置登録をすると、その場所限定のバーチャルな「お土産」を購入したり、その場所を訪れた印として「スタンプ」を残したりできる。
コロニーの育成のほかに、全国のお土産やスタンプを収集するなど、ユーザーごとにさまざまな楽しみ方ができる点で人気を集めている。
また1キロ以上の移動からプラが取得できる気軽さも好評。首都圏の社会人などを中心に毎月20%以上の成長率で参加者が増えており、利用ユーザー数は10)月末で57)万人。20)〜40)代のユーザーが約8割を占めている。
このコロプラの人気に目を付けたJR九州が2日に発売したのは、乗り放題キップ「コロプラ★乗り放題きっぷ」だ。同きっぷは、指定のJR九州)駅で位置登録するとゲーム上の地図が塗りつぶされ、塗りつぶした駅の数によってゲーム上で使えるアイテムがもらえるコロプラ内のイベント「九州一周塗りつぶし位置ゲーの旅」に連動。きっぷについてくるカードに書かれた番号をゲーム上で入力すると、1日の塗りつぶしの上限回数がなくなったり、限定アイテムがゲーム上でもらえたりする。
発売期間は来年3月31)日まで。今月7日から来年4月2日まで利用できる。価格は2日間北部九州乗り放題が1万円、南九州が1万6千円、全九州2日間が2万2千円、全九州3日間が2万5千円。きっぷの販売目標は3千枚と通常の企画きっぷよりも多い。「コロプラとの相乗効果を期待して設定した」とJR九州広報室。発売1週間の出だしは好調という。
JRCは今秋から、コロプラユーザーを対象としたツアーとじゃらん誌面でのツアー内容の紹介を柱とした地域振興プランを地方自治体などに売り込んでいる。地方へのツアーを実施し、ツアーや訪問先について参加者の満足度を調べ自治体や観光地に提供する。併せてじゃらん誌面を使いコロプラユーザー以外の人に対象地域の情報を発信する。ユーザーを対象としたツアーは継続的に行い、観光客増加につなげる考えだ。すでに秋田県でのツアー実施とプロモーションが決まっているという。
プランの展開に先立ちJRCが8、9月にそれぞれ1回、福岡、佐賀、長崎にあるコロプラのお土産取得スポットや地元の体験観光施設をバスで回る1泊2日のモニターツアーを実施したところ、114人が参加。参加者の約8割が、旅行離れが進んでいるとされる20)、30)代だった。また参加者の約4割が通常から旅行をしている人だった一方で、過去1年間に日帰りを含めた旅行をしていない人も約3割参加しており、JRCは「コロプラが日ごろ旅行に興味、関心のない層を旅行に引き込むきっかけとなっている」(加藤史子研究員)とみる。
ツアー後に行った参加者の満足度調査では、ゲームとは関係のない、地域での体験プランや食事の満足度が高く、機会があればまた参加したいという声が多く寄せられた。加藤氏は「入口はゲームだが、最終的には旅そのものや地域での交流への関心を強めている」とコロプラツアーの成果を強調する。
コロプラと各企業のタイアップ企画は始まったばかりだが、旅行ニーズを喚起するきっかけの1つとして、注目を集めそうだ。
JATAキャンペーン、冬のテーマは「温泉旅館」
日本旅行業協会(JATA、金井耿会長)は、国内宿泊旅行拡大キャンペーン「もう1泊、もう1度(たび)」での冬のテーマを「木の香りのする日本式の温泉旅館」に設定。JATA会員の旅行会社にこのテーマに合った旅行の販売を促し、一般的にオフ期である12月から3月までの需要を喚起したい考えだ。
販促グッズとして活用してもらうための温泉と入浴の情報冊子「温泉健康美容読本」も10万部作成。今月下旬にも国内旅行を取り扱うJATA会員旅行会社に配布する予定。会員会社でのキャンペーン展開についてはテーマ以外は各社の裁量に任せる方針だ。
キャンペーンを前に今月11日には全国紙に1ページサイズの広告を掲載。畳敷きの宿で鍋料理を味わってくつろぐというイメージ写真で一般消費者の旅心をそそり、JATA会員への旅行の申し込みにつなげる内容。紙面では温泉読本の1千冊のプレゼントも行ったが、応募を当日に締め切るほどの反響があった。
今後の展開としてBS・CS放送でのCMも検討しているという。
JR、1〜3月は京の冬の魅力発信
JRグループは来年1月1日から3月22)日まで、京都市、京都市観光協会などと共同で、京都デスティネーションキャンペーン(DC)、「京の冬の旅キャンペーン」を開催する。普段見ることができない文化財の特別公開やそれらを巡る「定期観光バス特別コース」を運行するほか、京都の奥深い上質な魅力に出会う観光プラン「京都『千年の心得』」など、京都の真髄に触れることができる企画を多数用意した。
非公開文化財の特別公開は「幕末と世界遺産に出会う冬」をテーマに、NHK大河ドラマ「龍馬伝」の放映と「古都・京都の文化財」の世界遺産登録15周年を取り上げる。
金戒光明寺や知恩院山門、清水寺成就院など計14カ所の文化財が公開される。これら施設ではガイドによる案内も実施。見るだけでは気づかない歴史や文化を知ることができるようにする。
定期観光バス特別コースは、坂本龍馬ゆかりの史跡を巡る「うるわし」、幕末の動乱の舞台を訪ねる「やすらぎ」、世界遺産の大伽藍などを巡る「みやび」、茶店を発祥とする老舗の味と歴史を味わう「あじわい」など。
千年の心得は、能楽金剛流の特別公演や実相院を会場にボルドーワインと京料理を楽しむ「初冬の宴」のほか、京都を代表する老舗料亭瓢亭14代当主・高橋英一氏による京料理の話や、京都の家庭の味「おばんざい」づくりの実演が見られる「京の料理人・瓢亭当主が魅せる京料理のいろいろ」などのプランが用意されている。
さんふらわあ、期間限定で運賃割引
フェリーさんふらわあは来年1月1日から3月末まで、大阪〜志布志〜鹿児島航路の運賃を割り引く。船旅の快適さをアピールする「船に泊まろうキャンペーン」の一環。
インターネット予約が増加していることを踏まえ、ネット予約の割引率を現行5%引きから10%引きに拡大。また、往復利用を促すため、復路運賃を10%引きから40%引きと割引率を大幅に引き上げる。復路割引に関しては、「往路乗船日含む14日以内」「30日以内」に緩和する。
高齢化に対応し、60歳以上を対象にシルバー割引制度を新たに設定。期間中、20%引きにする。
同社は関西汽船とダイヤモンドフェリーが今月1日付で事業統合、共同設立して発足した会社。資本金1億円、社長はダイヤモンドフェリー社長だった興村明仁氏が就いている。
阪急交通社、低価格のゴルフパック発売
阪急交通社は16日、国内屈指の名門ゴルフコース、フェニックスカントリークラブ(宮崎市)でプレーする「スーパーゴルフパック」を発売した。往復航空機利用、夕朝食付き、かつ2日間で2プレーでき、料金は1人4万9800円(3人1室利用)と低価格で、ゴルファーの注目を集めそうだ。
スーパーゴルフパックは名門コースでのプレーに、往復の交通機関と宿泊をセットにしたパック旅行。同社によると、首都圏ではすでに昨年実績の2万人を超える申し込みがある。
同クラブでは2日間2プレーでき「住吉、高千穂、日南の3コースを完全制覇してもらう特別パック」(同社)となっている。宿泊はシェラトン・グランデ・オーシャンリゾート。
設定期間は12月14〜25日で、19日のみ5万9800円となる。
日旅、沖縄県と組み、MICEフェア開催
あいさつする日旅の丸尾社長
日本旅行は沖縄県、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)と共同で12,全角)日、大阪市内で「沖縄MICEフェア2009in大阪『いちゃりばちょでぇ〜MEET&SMILE』」を開催した。
同社は近年、MICEへ取り組みを強化しており、体制強化やノウハウの蓄積、新たな素材の開発に取り組んでいる。今回のイベントは今年1月の東京開催に継ぐ第2弾となる。
冒頭、安里カツ子副知事は「沖縄はコンベンションアイランドとして、2000年のG8沖縄サミット以来、様々な国際会議、世界大会が開催されている。近年はスポーツコンベンションも盛ん。自然も豊かで元気になれる沖縄で皆さんと再会したい」とあいさつした。
会場ではOCVBによる沖縄MICEの映像紹介のほか、エイサーなどの伝統芸能披露や、沖縄県出身のアーティストの前川守賢さんらのライブコンサートも行われた。
日旅の丸尾和明社長は「沖縄は自然も海も芸能も泡盛も素晴らしい。『いちゃりばちょうでぇ』は沖縄の方言で、一度会えば皆兄弟の意味。このイベントを縁に兄弟のような気持ちになって、感動と勇気を与えてくれる沖縄に一緒に行きましょう」と述べた。
旅行業62社9月実績
観光庁が13日に発表した今年9月の主要旅行業62社の旅行取扱状況速報は、総取扱額が前年同月比5.3%減の5532億6780万円だった。前年実績割れは14カ月連続だが、9カ月ぶりに前年比の減少幅が2ケタから1ケタに縮まった。このうち国内旅行は同3.5%減の3255億1992万円、海外旅行は同7.3%減の2237億5691万円、外国人旅行は同29.0%減の39億9097万円。
国内旅行は11カ月連続の前年割れ。取り扱い57社中、前年の取扱額を超えたのは12社で、前月の3社よりも増えた。
海外旅行は前年割れが16カ月連続となった。取り扱い60社のうち21社が前年を超えた。
外国人旅行は13カ月連続前年比減。33社中9社が前年を超えた。
募集型企画旅行は、総取扱額が前年同月比3.8%増の1668億1784万円。このうち国内旅行は同1.0%減の900億7701万円、海外旅行は同10.1%増の764億7021万円、外国人旅行は同8.3%減の2億7062万円。
募集型企画旅行の総取扱人数は、前年同月比4.5%増の390万2487人だった。内訳は、国内旅行が同1.0%増の339万6789人、海外旅行が同38.6%の49万2048人、外国人旅行が同16.8%の1万3650人。
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