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地域観光 ■第2542号《2009年12月12日(土)発行》
商工会議所、観光に熱い視線
レトロカーも台数が集まれば集客の大きな手段だ(豊後高田市のホームページより)
地域経済活性化のため、観光に目を向ける商工会議所が増えている。日本商工会議所が全国約500の商工会議所を対象に観光振興への取り組みを聞いたところ、350を超える事例が集まった。自然、伝統文化、イベントの活用や農商工連携、食を切り口にした観光資源の開発など、地域資源の掘り起こしによる観光振興が目立つ。海外の旅行会社訪問などインバウンド振興に熱心な商工会議所もある。日商は、「新たな動きとして、都市型観光や、観光を『交流産業』として位置付ける取り組みも見られる」という。
調査は6〜8月に実施した。340商工会議所から回答があり、355の観光振興事例が集まった。日商はこれら事例を各地にフィードバッグし今後の取り組みの参考にしてもらう。
地域のイベントによる観光振興では、犬山商工会議所(愛知)が犬山市観光協会などと実施している「観光客誘致まちなか365作戦」がある。観光客を中心市街地に1日1千人、365日誘致することを目的に、「犬山城下まちまつり」や落語家による「町家寄席」などの事業を実施している。
豊後高田商工会議所(大分)は「昭和の町」および市全体の観光PRと誘客促進を目的に、行政などと実行委員会を組織し「昭和の町レトロカー大集合」というイベントを実施。
九州地方はもとより、広島や愛媛などから約100台のレトロカーと約150人のオーナーが参加した。クイズラリーのほか、ボンネットバスを使った周遊観光も行われ、「08年度は約5千人が集まり、PR効果も大きい」と日商は見る。
食を切り口とした新たな観光資源の発掘にも取り組んでいる。
佐久商工会議所(長野)は佐久拉麺会などと連携して、信州味噌発祥の地とされる佐久安養寺を資源とした「安養寺ら〜めん」を開発。積極的に情報発信した結果、マスコミでも取り上げられ、圏外からの客も増え、行列ができるほどの盛況だったという。
メディカルツーリズムに力を入れているのが前橋商工会議所(群馬)。重粒子線ガン治療などの高度医療を通じて他都市からの関係者の受け入れを推進。健康医療をキーワードに、多様な人々が世代を超えて触れ合えるまちづくりを目指している。
将来的には医療機関、周辺の温泉地や観光スポット、農家、バス業者らが「健康と医療」をテーマに連携して“前橋モデル”のバスツアーを実施し、新しい観光事業の礎創出を図る。事業化に向け産学官民一体となったスキーム作りを勧めている。
外国人観光客が多く訪れる京都。京都商工会議所は外国語で対応できる飲食店を増やすことを目的に、英語メニュー作成データベースを整備。中国語、韓国語でのデータ化も計画している。07年 11月には英・中・韓対応の接客ハンドブック「3カ国語でおもてなし」を発行している。
新たな動きとされる都市型観光の事例の1つに広島商工会議所(広島)の「ひろしま夜神楽」がある。伝統芸能として親しまれている夜神楽の上演を、市指定重要文化財(被爆建物)である旧日銀広島支店で実施。週末に延べ6回上演し、外国人観光客を含め約3千人を集めた。
将来的には、市民・行政・経済界などが一体となって取り組み、広島の新たな夜の賑わいとなるよう、定期上演化を目指しているという。
TIJ、観光圏の商品化推進へ
日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の国内観光旅行活性化部会は、観光圏整備法に基づく観光圏への誘客拡大策を検討している。国の認定を受けている30観光圏のうち5観光圏をモデル地域に指定し、すでに現地調査などを行った。モデル地域のブランド化を目指して、旅行会社による滞在型の旅行商品の造成を後押しし、来年度の早い時期に販売を始めてもらう考えだ。
TIJの休暇改革委員会のもとに設置されている国内観光旅行活性化部会(部会長=加藤誠JTB旅行マーケティング戦略部地域交流ビジネス推進部長)で検討している。日本旅行業協会(JATA)などとも連携して取り組む。
モデル地域に指定した観光圏は、富良野・美瑛(北海道富良野市、美瑛町など)、さっぽろ(同札幌市、石狩市など)、新たな青森の旅・十和田湖(青森県青森市、十和田市など)、阿蘇くじゅう(熊本県阿蘇市、小国町、大分県竹田市など)、新東九州(大分県別府市、由布市、宮崎県延岡市など)の5エリア。
個々の観光圏が持つ特性を生かしながら、観光資源や受け入れ態勢の充実を促し、広域エリアのブランド構築を目指す。旅行会社に造成してもらう旅行商品のコンセプトは、(1)連泊、2泊3日以上の滞在につながる(2)ニューツーリズムにつながる(3)旅行に行くきっかけとなる──を重視。各社が販売する商品には統一のキャッチフレーズなどの表示も検討して販売を促進していく。
活性化部会のメンバーは、今年10月に5つのモデル地域を現地調査。観光素材を把握しながら、地域の関係者と意見交換した。商品化への手ごたえをつかむ一方で、広域での推進態勢が不十分な地域もあったという。
加藤部会長は、11月30日に開かれた観光庁の第2回観光圏連絡協議会の中で、観光圏に対し「旅行会社と連携するには、市町村を横断したコーディネート機能、統一窓口としてのランドオペレーター機能が不可欠。これがなければ観光圏の意味がない」と指摘して、地域の態勢強化を求めた。
TIJでは、旅行会社と観光圏が連携した事業の成果に期待。観光庁が設置している国内観光旅行の振興に関する連絡会議でも、旅行会社をはじめ鉄道、航空会社などの関係機関が横断的に地域と連携した新たなデスティネーションキャンペーンなどの必要性が議論されている。TIJでは観光圏への取り組みを契機に関係機関と連携し、国内観光を活性化させたい考えだ。
新潟・湯沢町、「石川遼記念館」などを宣伝
花を添えた湯沢町のミス
新潟県湯沢町は3日、東京の品川プリンスホテルで「感謝の集い」を開いた。上村清隆町長はじめ、観光関係者らが出席。旅行業者などに「石川遼記念館」のオープンなど、現地の最新情報を提供するとともに、日頃の送客に感謝の意を述べた。
上村町長は「JR東日本が『ステーションルネッサンス』として、越後湯沢駅の再開発を進めている。大河ドラマ『天地人』の影響で町内に多くの集客があった。ゴルフの賞金王争いを繰り広げる石川遼選手の記念館が湯沢町にオープンした。厳しい経済状況だが、多くの明るい話題が湯沢町にはある」とあいさつした。
石川遼記念館は今年9月17日のオープン。石川選手ゆかりの品や写真が展示されている。
湯沢町のミス「ミスかぐら」の飯塚智恵美さんは「かぐらスキー場が11月23日にオープン。パウダースノーのどこにも負けないスキー場です。抽選会や豚汁のサービスなど、シーズン中はイベントが盛りだくさんです」とPRした。
花の万博20周年、大阪で記念事業
マスコットキャラクターの「花ずきんちゃん」
国際花と緑の博覧会記念協会は来年4月から、1990年に開いた「国際花と緑の博覧会(花の万博)」の20周年記念事業を大阪市で開催する。記念事業を通じ、花博の基本理念「自然と人間の共生」を次世代に継承していく。当時の人気マスコットキャラクター「花ずきんちゃん」も復活し、PR役を務める。総事業費は約1億円。
メーン会場の花博記念公園鶴見緑地(大阪市鶴見区)では、約33万本のチューリップの花びらを敷き詰めて作る「フラワーカーペット」(4月29日〜5月2日)の展示が行われる。フラワーカーペットに使うデザイン画10点は一般公募する。
花の万博当時の会場風景やコンパニオンのユニフォームなどを展示する「20周年メモリアル展示&写真展」(4月29日〜5月5日)なども開催する。
そのほか、大丸心斎橋ギャラリー(大阪市中央区)では4月14日〜26日、花の万博で展示した東山魁夷氏など日本画家の作品50点を展示。FM802との共催でロックコンサートなどを企画している。
同博覧会は、9月ぐらいまでの開催を予定しており、後半のイベント内容については後日発表する。
山形の旅館女将ら、都内主要駅で山形旅行呼びかけ
女将らが上野でPR
山形県内の旅館・ホテルの女将や自治体関係者らは5日、東京都内の主要駅で観光PR活動を行った。山形新幹線が同県新庄市まで延伸されてから10年を迎えることを記念する観光キャンペーンの一環。女将らは山形土産として知られる「ミルクケーキ」とキャンペーンチラシを配布しながら、「新幹線で山形に来て」と訴えた。
観光PR活動は、JR上野、品川新宿の各駅、銀座にある同県のアンテナショップ「おいしい山形プラザ」で行った。
このうち上野駅でのPRには約50人のキャラバン隊全員が参加。上野駅の中央コンコースを行き交う人に観光パンフレットなどの入った袋を手渡して、山形への旅行を呼びかけた。
また女将の代表が上野駅の池田祐一・営業総括を表敬訪問。女将らは「NHK大河ドラマ『天地人』で注目を集めている米沢から新幹線でさらに進めば、また違った魅力ある風景が広がっている」などとあいさつし、同県が来年から本格的に売り出す新品種米「つや姫」を手渡して山形のさまざまな魅力をアピール。これに対し池田氏は「山形は行ききれないほど豊富な種類の温泉があるなど、旅行先としての魅力にあふれている」などと話し、女将らとさまざまな情報交換を行った。
新幹線延伸キャンペーンは山形県とJR東日本仙台支社が1日から来年2月末まで展開するもの。2日間乗り放題のフリーパスと宿泊を組み合わせた専用商品を販売しているほか、抽選で特産品が当たるスタンプラリーなどを行っている。
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