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観光行政 ■第2543号《2009年12月19日(土)発行》  

TIJ、日観協との統合検討
舩山会長

 日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ)の舩山龍二会長は8日、日本観光協会(中村徹会長)との統合に向け、検討を開始する考えを明らかにした。舩山会長は「(統合は)そう簡単ではないが、可及的速やかに検討したい」と述べ、早い時期での統合実現に強い意欲を示した。

 同日、東京プリンスホテルで開かれた「ツーリズムサミット2009」の主催者あいさつの中で発言した。

 舩山会長は6月のTIJ通常総会で、観光関係団体の組織再編に取り組む考えを示唆しており、今回の発言はさらに踏み込んだものとして注目される。

 舩山会長は「本日(午前に)開いた理事会で、日観協とTIJの統合を視野に入れた組織の見直しについて検討していくことを決めた」と経緯を説明。「(統合は)そう簡単ではない」としながらも、早期の統合実現をにらみ取り組む考えを示した。

 また、来賓の大塚陸毅・日本経団連観光委員長も「政府は観光立国推進本部を立ち上げることを決めた。観光業界も従来の枠組みを超えて力を結集すべき時にきている。(関係者の)理解と協力を得て、積極的に、かつ具体的に早急に進めてもらいたい」と組織再編の動きを支持した。

 観光庁は8月、両団体に対し、「今後、一層の業務提携、協力関係の強化を行い、将来における組織のあり方についても検討してもらいたい」とする要請文を送付していた。



初の観光庁長官表彰に14人が受賞
観光庁長官表彰の受賞者ら

 観光庁はこのほど、観光地づくりやインバウンド振興など観光の発展に貢献した個人、団体を表彰する第1回の「観光庁長官表彰」の受賞者を発表した。大分・由布院温泉、亀の井別荘社長の中谷健太郎氏(75)、北海道・阿寒湖温泉、阿寒グランドホテル社長の大西雅之氏(54)、石川・和倉温泉の加賀屋・客室係教育リーダーの岩間慶子氏(72)をはじめ、14の個人、団体を表彰。14日に東京・霞が関の合同庁舎で表彰式を開き、本保芳明長官らが賞状などを手渡した。

 国土交通省地方運輸局や観光団体などから推薦があった177件を対象に審査した。最終的には11月10日、有識者でつくる観光庁長官表彰審査委員会(委員長=青木保・青山学院大学特任教授)で選考した。

 受賞者数は国内観光振興で4人、国際観光振興で5人、文化・芸能・伝統工芸による観光振興で1人、観光関係事業の経営者で1人、おもてなし・人材育成で1人、特別功労で2人。

 国内観光振興では、地域の自然や文化を生かしたまちづくりで由布院温泉の発展に尽力した亀の井別荘の中谷氏が受賞。中谷氏は「地域の中でがんばってきたことが、地域の外からも認めてもらえた。地域づくりはいろいろなギクシャクもあり、苦労も多いが、これからの地域づくりを担う人たちの励みになればうれしい」と話した。

 顧客満足度の高い旅館経営やヘルスツーリズムの実践などが評価された阿寒グランドホテルの大西氏は、観光関係事業の経営者の部ではただ1人の受賞。大西氏は「全国に多くのすばらしい旅館経営者がいる中で身に余る栄誉だ。周遊型旅行の多い北海道では自ずと地域との連携が重要になる。そうした地域の中での経営のあり方に光を当てていただいたと受け止めている」と語った。

 おもてなし・人材育成の部では、顧客本位のもてなしの実践、指導に努めてきた加賀屋の岩間氏が受賞。岩間氏は「お客さま、そして加賀屋の社員に支えられて、このような賞をいただくことができた。これからも賞に恥じないようにがんばりたい」と笑顔をみせた。

 また産業観光の普及に貢献したJR東海相談役の須田寛氏(78)、観光広報大使としてビジット・ジャパン・キャンペーンなどに活躍した女優の木村佳乃氏(33)が特別功労を受賞した。

 他の受賞者は次の通り(敬称略)。

【国内観光振興】
 川島聖史(岡山県美咲町産業観光課課長補佐)、小菅正夫(北海道・旭川市旭山動物園名誉園長)、福澤武(三菱他所相談役)

【国際観光振興】
 李硯鎬(ビコ社長)、李美順(ビコTS社長)、カトリーヌ・オーデン(フランス観光開発機構在日代表)、スーパーネット・ツアー・アンド・トラベル(台湾系米国旅行会社)、ハローキティ(ビジット・ジャパン・キャンペーン中国香港観光親善大使)

【文化・芸能・伝統工芸による観光振興】
 馮小剛(映画監督)




観光立国推進本部が初会合、3テーマを論議
観光立国推進本部の初会合(9日)

 前原誠司国土交通・観光立国担当相を本部長とする政府の観光立国推進本部の初会合が9日に開かれた。各省の副大臣らの参加する会合で、省庁が連携して観光政策を検討する。今後は外客誘致、観光連携、休暇分散化の3テーマについて各作業部会を開き、施策の方向性をまとめる。中国への訪日観光査証(ビザ)の要件緩和については、外客誘致部会で議論する。

 前原国交相は「観光は雇用の確保や地域経済の活性化の核。さまざまな省庁の協力が必要だ」と述べ、政府を挙げて観光関係政策を推進するよう要請した。推進本部事務局長は辻元清美・国土交通副大臣、事務局次長は藤本祐司国土交通大臣政務官が務める。

 外客誘致作業部会は、ビサや出入国管理などの課題を検討し、来年1月下旬に中間報告をまとめる予定。このほか、エコツーリズムや産業観光など省庁をまたぐ振興策を検討する観光連携作業部会は、民間事業者にヒアリングを行いながら来年6月中旬をめどに連携方策をまとめる。

 休暇分散化作業部会は、産業界や教育界などにヒアリングを実施し、国民的な議論の喚起方策などを検討する。国交省の成長戦略会議と連携した上で、来年3月をめどに今後の方策をまとめる。




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