国際観光旅館連盟(佐藤義正会長、1212会員)はこのほど、会員旅館に2008年度の業績を聞いた営業状況等統計調査の結果をまとめた。経常損益で赤字だった旅館の割合は全体の49.7%を占め、前年度から14.8ポイントも増加した。総売上高に占める営業利益の比率も全旅館平均で前年度比1.2ポイント減の1.7%に低下し、99年以来9年ぶりに2%を割り込んだ。08年秋以降の世界的な景気後退を受け、宿泊人員が減少するなど市場環境が悪化、経営は一段と厳しい状態にある。
回答旅館153軒のうち経常損益が黒字の旅館は77軒(構成比50.3%)、赤字は76軒(同49.7%)。赤字、黒字の割合は、大旅館(100室以上)、中旅館(31〜99室)、小旅館(30室以下)のいずれの規模でもほぼ半々。経常損益の平均を集計すると、557万円の赤字。小旅館は625万円の黒字となったが、大旅館は147万円の赤字、中旅館は1080万円の赤字だった。
年間の販売実績をみると、1軒当たりの平均では、宿泊人員が5万4593人で前年度から10.7%も減少した。規模別では小旅館が7.8%増の1万2581人と増加したが、大旅館は11.7%減の10万1922人、中旅館は7.6%減の3万5128人だった。
ただ、総売上高の平均は0.4%減の11億5890万円とほぼ前年度並みを維持した。宿泊客1人当たりの売上高も2201円増の2万1228円、1人当たりの宿泊料売上だけをみても1137円増の1万3418円に上昇しており、デフレに伴う単価の下落は調査結果には表れなかった。
規模別の総売上高は、宿泊人員を伸ばした小旅館が7.0%増の3億954万円。大旅館は宿泊人員が減ったが、1人当たりの宿泊料などが上昇し、2.3%増の21億8956万円。中旅館は1人当たりの売上高は微増だが、宿泊人員の減少が響いて4.9%減の7億2003万円だった。
総売上高に占める経費の割合は、全旅館の平均でみると、売上原価や営業経費(送客手数料、広告宣伝費など)はほぼ前年度並みで、管理経費(賃借料、水道光熱費など)がわずかに下がった。しかし、人件費と減価償却費が上昇した。その結果、営業利益率は小旅館が前年度を上回って1.1ポイント増の3.3%となったが、大旅館は1.6ポイント減の2.1%、中旅館は0.7ポイント減の0.8%に下降した。
一方で、総売上高に占める借入金の支払利息の割合は0.5ポイント増の3.8%と負担感は増した。中旅館は増減なしの3.3%だが、大旅館は0.6ポイント増の4.1%、小旅館は1.2ポイント増の2.7%だった。長期・短期借入金の総資本に占める割合「借入金依存度」は、全旅館平均で4.1ポイント良化し77.8%になったが、依然として高いまま。特に中旅館は91.2%に達している。
借入金の支払利息や資産の減価償却費を計上する前の運営利益を指す償却前営業利益率(GOP)は、前年度より0.7ポイント下降し平均9.0%。小旅館は0.4ポイント増の8.9%、中旅館は0.5ポイント増の8.6%と上昇したが、大旅館は1.4ポイント減の9.2%に下降した。