帝国データバンクによると、今年1月の全国企業倒産(集計対象=負債額1千万円以上、法的整理による倒産)は949件で、前月比7.1%(1021件)、前年同月比17.9%(1156件)、それぞれ減少した。これで、5カ月連続で前年同月を下回った。ただ、負債総額は2兆5879億9千万円で、前月比763.1%、前年同月比199.4%のそれぞれ大幅増。日本航空(JAL)の倒産で、帝国データが倒産の集計基準を法的整理のみに変更した05年以降で2番目の高水準となった。
倒産件数は4カ月ぶりの1千件割れとなった。前年同月比の減少率は昨年9月の15.7%を上回り、同社の倒産集計基準変更後で最大となった。
同社は要因・背景として、建設業の7カ月連続前年割れや、地方圏での2ケタの大幅減少を挙げている。
倒産件数を7業種別にみると、すべてが前年同月を下回った。このうち5業種で2ケタ減となった。特に建設業が前年同月比30.8%の大幅減で、減少率は昨年9月の26.4%を上回り、同社の倒産集計基準変更後の最大となった。公共工事の前倒しなどが影響した。一方、小売業(同8.4%減)とサービス業(同2.0%減)の2業種は1ケタの減少にとどまった。
倒産の主因別では、販売不振、売掛金回収難などの「不況型倒産」が777件で、倒産全体に占める割合は81.9%。前月比1.0ポイント減少したが、前年同月比1.0ポイント増加し、8カ月連続で80%台の高水準となった。業種別では建設業が7業種で最も高い91.6%となり、サービス業も前年同月比9.8ポイント増加の76.0%となった。
地域別では、同社の倒産集計基準変更後、初めて9地域すべてで前年同月を下回った。特に北海道(前年同月比42.1%減)、東北(同33.3%減)など、地方圏の減少が目立つ。建設業の減少が北海道、九州などで目立っている。
負債総額は、リーマン・ブラザーズ証券が倒産した08年9月の5兆3197億9400万円に次ぐ高水準。JALなど3社が01年9月のマイカルを抜き、金融業を除く事業会社では過去最大の倒産となった。ただ、JALなど3社を除く負債総額は2658億900万円と低水準で、大型倒産の鎮静化は続いている。
負債5千万円未満の倒産が440件で、構成比46.4%。一方、負債100億円以上の倒産は6件にとどまった。中小企業基本法に基づく「中小企業」の倒産は945件で、全体の99.6%。「小規模企業」の倒産は788件で、同83.0%。小規模倒産は高水準で推移している。