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トラベル ■第2552号《2010年3月6日(土)発行》
旅行4社トップ、国交省政務官に現状説明
藤本政務官(左)に説明する4社社長
田川博己・JTB社長、吉川勝久・近畿日本ツーリスト(KNT)社長、丸尾和明・日本旅行社長、石川邦大・トップツアー社長は2月25日、国土交通省の藤本祐司政務官を表敬訪問し、旅行業界の現状や各社の取り組みについて説明した。4社社長がそろって政府関係者を訪れるのは初めて。旅行業の現場の取り組みなどについて、今後も折をみて意見交換の場を設けたい考えだ。
観光経済新聞社の新春座談会がきっかけで、4社長が意気投合。当初は辻元清美副大臣を訪れる予定だったが、国会対応などにより、急きょ藤本政務官を訪問した。
旅行業が独自にキャンペーンを展開して各地の地域振興に寄与してきた歴史や各社が現在取り組んでいる事業などを説明したほか、訪日修学旅行の受け入れ態勢の現状や旅行業法の問題点など、長年旅行業に携わってきた4社ならではの視点から、業界の抱える問題点などを説明した。また、高速道路料金に関わる施策や旅行需要の平準化などについて、藤本政務官と意見交換を行った。
4社社長は、表敬訪問に一定の手ごたえを感じたよう。田川社長は、「藤本政務官は観光に関する造詣も深く、観光業界の現状などを良く知っておられる」と前置きしたうえで、「旅行業は非常に複雑なビジネスであるため、個別の問題にどのように対処するかなどの判断は、現場での経験などがなければ分かりにくい面もある。今後もこのような訪問を通して、さまざまな問題について意見交換できれば」と語った。またトップツアーの石川社長は、「特にこの4社は、旅ホ連組織を持ち、宿泊施設さんとの結び付きも強い。旅館・ホテルさんに直接かかわる問題なども今後説明していければ」と意欲を示した。
JR西日本、4月から鬼太郎キャンペーン
JR西日本は4月から3カ月間、鳥取県と大山山麓観光推進協議会、島根県安来市と共同で、「大山・鬼太郎キャンペーン」を展開する=写真はロゴ。中国地方の最高峰の大山、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者、水木しげる氏の出身地で妖怪の町として知られる境港、下町風情が今も残る米子、NHK朝の連続テレビ小説でドラマ化される水木しげる氏の妻で「ゲゲゲの女房」原作者の武良布枝(むらぬのえ)氏の故郷「安来」などにスポットを当てる。
テーマは「山・海・町で遊ぶ!味わう!磨かれる!」。特にキャンペーンに向けて、主な旅行会社からJRと宿がセットになった旅行プランを発売される。また、企画きっぷも「こだま&やくも指定席往復きっぷ」「こだま指定席往復きっぷ」などを発売する。
期間中、さまざまな特別企画を用意し、各観光スポットを楽しみながら巡る駅からの2次アクセスを充実させた。
大山寺圓流院では、天井に水木しげる氏の描いた108体の妖怪の絵がはめ込まれた一室が見学できる。国重要文化財の大山寺阿弥陀堂では座禅体験もできる。米子・安来エリアでは米子の下町を流れる旧加茂川と中海に遊覧船が運航される。
日本旅行決算、営収17%減
日本旅行は2月25日、09年度(1〜12月)決算を発表した。子会社を含めた連結では、営業収益が前年比16.6%減の492億9千万円に落ち込んだことから、営業で21億7400万円の赤字(前年は11億3600万円の赤字)を計上した。減収は3年連続、営業赤字は2年連続。営業外収益などを含めた経常損益は12億4500万円の赤字(同9500万円の黒字)、法人税などを控除した最終損益は18億8100万円の赤字(同3億8300万円の赤字)となった。
日本旅行単体は、営業16億200万円、経常6億5700万円、最終10億6200万円の各赤字(前年は営業13億100万円、経常2億8100万円、最終3億6100万円の各赤字)。
単体の営業収益は前年比17.3%減の415億9700万円。このうち国内旅行は同14.5%減の277億5300万円。景気の悪化や新型インフルエンザの影響で大きく落ち込んだ。海外旅行は同23.3%減の121億6600万円。国際旅行は同13.0%減の10億6600万円。
10年度の業績予想は、連結で経常11億3千万円、最終7億2千万円の各黒字。営業収益502億円。単体で経常10億5千万円、最終8億3千万円の各黒字。営業収益427億円。
JATAキャンペーン、グランプリはKNT
日本旅行業協会(JATA)は2月24日、国内宿泊旅行拡大キャンペーン「もう一泊、もう一度(ひとたび)」の一環として、宿泊旅行拡大に貢献した旅行商品や取り組みを顕彰する「もう一泊、もう一度大賞」を発表した。グランプリは、旅行商品ではKNT(近畿日本ツーリスト)の「しばし京都人」、観光素材開発などの取り組みでは星野リゾート・トマムの「雲海テラス」に決まった。
昨年4〜12月に催行された宿泊旅行商品、商品化された地域の取り組みを対象とした。22団体から47点の応募があった。岡本伸之・帝京大学経済学部観光経営学科教授やJATA国内旅行委員会委員長である吉川勝久・KNT社長らを委員とする審査会で2月29日、グランプリなどを選んだ。
しばし京都人は、「本物の京都に触れるプラン。旅行というよりも“暮らす”感覚を打ち出している」(JATA)のが特徴。読み物風に仕上がったパンフレットも工夫されている。一方、雲海テラスは、雲を上から眺められる高地でお茶を飲む企画。「単純な観光素材だが、これまで取り上げなかったものに着目した」(同)。2作品は共に審査会で高い評価を受けた。
また、JTBの旅行商品「越後妻有 大地の芸術祭の里〜アートを道しるべに里山を巡る旅」は、グランプリに匹敵する作品と評され、ニューツーリズム開発部門賞と併せ審査員特別賞にも選ばれている。
JATAの興津泰則・国内・訪日旅行業務部長は「初めての実施だったが、いい内容の企画がたくさん集まった。宿泊拡大に向け次年度も継続していく」と話す。
その他の入賞は以下の通り。
【宿泊旅行価値創出賞】
JTB「お得な2泊チョイスプラン」▽北海道観光振興機構「泊まるたび巡るたび。北海道キャンペーン」▽びゅうトラベルサービス「1名様参加歓迎2連泊でめぐる たっぷりじっくり下北半島完全周遊の旅」▽読売旅行「お二人の『日本横断』の旅」
【ニューツーリズム開発部門賞】
全国農協観光協会「快汗 猫の手援農隊」▽日本旅行「赤色に染まる旅 秋の奥津渓と田舎&エコ体験」▽名鉄観光サービス「大人も子供も元気いっぱい日間賀島」
【審査員特別賞】
蒲郡市観光協会「周って楽しむ蒲郡の旅 がまごおり周樂旅行」▽休暇村大久野島「日本人よバカンスに目覚めなさい マンスリープラン」▽稲取温泉観光合同会社「Touch Down!東伊豆」
阪急交通社社長に生井副社長
生井一郎氏
阪急阪神交通社ホールディングス(HD)は1日、小島弘社長(67)が代表権のある会長に就き、新社長に木下昌幸専務執行役員(61)が昇格する人事を発表した。これに関連し、阪急交通社の社長には生井一郎副社長(62)が就任する。就任日はいずれも4月1日付。
生井 一郎氏(なまい・いちろう)1947年10月生まれ。慶応大卒、71年阪急交通社入社。取締役(旅行事業本部西日本営業部長)、取締役常務執行役員(旅行事業本部長)、代表取締役専務執行役員(同)などを経て、08年4月から代表取締役副社長。東京都出身。
JTB、関西まち歩きの魅力紹介
ガイドツアーの様子
エースJTB「関西まち歩き100選」の大阪・通天閣周辺ガイドツアーの現地取材会が2月28日に行われ、大阪周辺の旅館・ホテル関係者、マスコミなど約30人が参加した。
JTBは4〜9月、「日本の旬関西」を展開する。関西まち歩き100選は、日本の旬関西のメーン施策で、関西2府4県で100コースを設定した。
取材が行われた通天閣周辺ガイドツアーでは、通天閣の歴史や周辺にある「ジャンジャン横丁」の由来、行列ができる串カツ屋などを地元ガイドが軽妙な語り口で紹介。参加者らは、ガイドブックにはあまり載っていない、地域に精通したガイドならではの案内を聞きながら大阪の下町・新世界界隈を楽しんだ。
高木俊光JTB西日本国内商品事業部地域統括部長(大阪・兵庫・和歌山)は「関西まち歩き100選は無料で、予約不要。ツアー途中でも、好きなところで離れることが可能。コース途中の気に入った店で食事をしたり、休憩したり自由に楽しんでもらえる。気楽に参加してもらえれば」と話す。
同ツアーの参加には、エースJTBの宿泊付きプランへの申し込みが必要。日・祝日催行(一部例外あり)、所要時間は45〜90分程度。
JTBは「日本の魅力再発見」をテーマに、98年から「日本の旬」を開催。各地の「旬」の魅力を掘り起こし、旅行者に現地の魅力を感じてもらうことにより、国内観光地域活性化への貢献を目指す、JTBグループ最大の国内旅行キャンペーン。
主要12社1月実績
鉄道旅客協会によると、主要旅行会社12社の今年1月の総取扱額は、1808億9614万円で前年同月比8.8%減だった。内訳は、国内旅行が同9.3%減の1133億1515万円、海外旅行は同9.0%減の641億4601万円減。一方外人旅行は、同4.2%増の20億2717万円と前年を超えた。総取扱額で前年を上回ったのは、阪急交通社(同6.8%増)のみ。
国内旅行は、阪急交通社が14.0%増と大きく伸ばしたほかは、前年実績を割り込んだ。
海外旅行は阪急交通社が2ケタ増。日本旅行も前年実績を超えた。
外人旅行は、取り扱い11社中6社が前年超え。近畿日本ツーリスト(KNT)、名鉄観光サービス、農協観光の3社は2ケタ伸ばした。
その他の取り扱いは、同21.9%増の14億780万円だった。
4月からの累計は、総取扱額が前年同期比15.9%減の2兆4544億1063万円だった。累計総額が前年実績を超えているところはない。
内訳は、国内旅行が同12.3%減の1兆5777億6657万円、海外旅行は同22.2%減の8149億3400万円、外人旅行は同20.4%減の417億1564万円。その他は同3.0%増の199億9443万円。
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