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旅館・ホテル ■第2554号《2010年3月20日(土)発行》  

10〜12月の延べ宿泊者数は6.5%減

 観光庁はこのほど、宿泊旅行統計調査の2009年第4四半期(10〜12月)の結果を発表した。3カ月間の延べ宿泊者数は7299万人泊で前年同期より6.5%減少した。前回調査の9月は秋の大型連休「シルバーウイーク(SW)」の効果で11カ月ぶりに前年同月の実績を超えたが、第4四半期はすべての月で前年実績を下回った。外国人延べ宿泊者数は、第4四半期としては3.1%減の493万人泊だが、訪日旅行者数の回復に伴い12月は17カ月ぶりに前年の実績を上回った。

 調査対象は従業員10人以上の旅館、ホテル、簡易宿所1万38軒。このうち回答数は7212軒。

 延べ宿泊者数は、10月が6.1%減の2592万人泊、11月が8.7%減の2456万人泊、12月が4.6%減の2251万人泊。9月のSWの反動があったためか、10、11月の下げ幅が大きかった。

 10〜12月累計を都道府県別にみると、前年実績を上回ったのは4県だけ。青森県が5.9%、島根県が3.0%、香川県が0.5%、愛媛県が0.3%の増加。他は軒並みマイナスでシェア上位の都道府県をみても、東京都が8.9%、北海道が5.6%、大阪府が3.9%の減少だった。

 外国人延べ宿泊者数は、延べ宿泊者数のうち6.8%を占める。月別では10月が16.4%減の176万人泊、11月が1.9%減の156万人泊だったのに対し、12月が15.6%増の161万人泊と上向いた。

 10〜12月累計を外国人の国籍別にみると、中国が16.7%増の71万人泊となり、構成比でトップ。台湾は12.5%減の67万人泊、アメリカは6.9%減の60万人泊、韓国は4.0%減の59万人泊だった。

定員稼働率は3.0ポイント低下
 10〜12月の宿泊施設の定員稼働率は、全施設平均42.2%で前年同期より3.0ポイント下降した。施設のタイプ別でみると、旅館が31.8%、リゾートホテルが35.9%、ビジネスホテルが54.5%、シティホテルが57.6%。月別では、10月が44.5%、11月が43.6%、12月が38.6%だった。

 客室稼働率の方は、全施設平均で58.6%。月別では10月が62.2%、11月が60.3%、12月が53.5%。施設のタイプ別では旅館が49.8%、リゾートホテルが47.9%、ビジネスホテルが62.0%、シティホテルが69.1%だった。

09年累計 5.4%減の2億9252万泊
 09年1〜12月の年間累計の暫定値も出た。延べ宿泊者数は2億9295万人泊で前年より5.4%減少した。宿泊旅行統計調査を開始した07年以降の3年間で最低の数値。新型インフルエンザの流行、個人消費の伸び悩みなどが影響したとみられる。外国人延べ宿泊者数も、円高などによる訪日旅行者数の減少に伴い20.2%減の1776万人泊となった。確定値の公表は6月ごろの予定。

 延べ宿泊者数を都道府県別にみると、前年を上回ったのは5県だけ。青森県が5.4%、石川県が1.8%、千葉県が1.5%、福岡県が1.5%、新潟県が1.2%の増加だった。

 青森県は約5%を超える増加と伸びが目立つ。「前年の08年が東北の地震、ガソリンの高騰で落ち込んでいたため、09年はプラスになっているようだ。09年は太宰治生誕100年で斜陽館(五所川原市)などの観光入り込みが好調だったことも実績を押し上げた」(県観光企画課)。

 一方で2ケタの下げ幅が4県。愛知県が10.6%、三重県が17.3%、滋賀県が13.3%、大分県が10.2%の減少だった。シェア上位の都道府県も千葉県を除くと、東京都が6.8%減、北海道が6.8%減、大阪府が8.4%減、静岡県が5.7%減と軒並みダウンした。

 外国人延べ宿泊者数は、前年を上回ったのは2県だけ。山梨県が11.0%、秋田県が2.5%の増加。一方で40%以上の下げ幅を記録したのは8県に上った。福島県が54.4%、富山県が40.9%、佐賀県が42.3%、長崎県が47.5%、熊本県が47.7%減、大分県が46.9%、宮崎県が48.1%、鹿児島県が42.9%の減少。円高などによる韓国や台湾からの旅行者の減少がひびいた。



全旅連女性経営者の会、リピーター確保で議論
松田元青年部長を交えたディスカッション

 全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連)の女性経営者の会(JKK、清水美枝会長=埼玉県・小さなホテルセラヴィ)はこのほど、富山県南砺市の旅館「ふくみつ華山温泉」で定例会を開き、「何度も泊まりたい宿づくり」をテーマに講演とパネルディスカッションを行った。

 全旅連第16代青年部長の松田賢明氏(秋田県・秋田温泉プラザ)を講師に、「リピーター率の高い宿づくり」をテーマに講演。パネルディスカッションでは、稲熊真佐子前会長をコーディネーター、JKKメンバー3人をパネリスト、松田氏をアドバイザーに、「何度も泊まりたい宿づくりのために実践していること」をテーマに、様々な事例を発表した。

 定例会にはJKK会員20人と、富山県の会員外の女将3人がオブザーバーで参加。10年度の活動予定の確認、各委員会の活動報告などが行われた。総会は4月14日、東京の全国旅館会館で行われる。

 JKKでは、全国の旅館・ホテルの女性経営者を対象に会員を募っている。問い合わせは全旅連事務局(TEL03・3263・4428)。



信州DCのテーマは「健康と長寿」 戸倉上山田旅組
宮川代表

 戸倉上山田温泉旅館組合連合会(長野県千曲市、宮川光男代表)は10日、東京の全国旅館会館で報道陣との懇談会を開き、今年10〜12月の信州デスティネーションキャンペーン(DC)に向けた温泉地の新たな取り組みを説明した。同温泉では「健康・長寿」をテーマに、従来の温泉と歩く魅力に加え、食を前面に打ち出し、新たに開発した食品「まぁーず」や、「おしぼりうどん」、カフェ巡りなどを観光素材としてアピールする。

 「まぁーず」は、長野県旅館ホテル組合会青年部会が開発した調味料。地元特産品の味噌、酒粕、野沢菜を混ぜたもので、豆腐、肉、魚など様々な食材と掛け合わせて食べる。健康によいとされる発酵食材のコラボレーションが料理の味を引き立たせるとともに、食べた人の健康増進をもたらすという。今後、旅館の料理メニューで提供するほか、土産品として商品化も計画している。

 長野県は男性の平均寿命が全国1位(平成17年調査)で、1人当たりの老人医療費が平成2年度以降18年連続で全国一の低さを誇る。その長寿の秘訣として、温泉などとともに健康食をアピールする。域内ではこのほか、地元特産の辛み大根のしぼり汁と味噌を溶かして食べる「おしぼりうどん」や、温泉地に点在するカフェ巡りを観光魅力として提案する。

 懇談会で宮川代表は「地元では信州DCに向けて、新しい着地型商品を開発している。我々の意を汲み、宣伝にご協力を」とあいさつ。事業委員長の武井功氏は「一連の取り組みが温泉地に宿泊していただける動機付けになればありがたい。DC後も長野新幹線の延長開業を見据え、商品のブラッシュアップを引き続き行いたい」と述べた。




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